ここは東京のとある街。ネオン街からは少し外れたところに【会員制】秘密倶楽部「オーヴ」の扉は設けてある。特に看板は出していない。重厚な扉だけが、この店の目印。
今夜も常連のお客がやってくる。ここは会員制。一見さんはお断りなのだ。そして、秘密。ここであったことは全て秘密・・・。不思議な空間に、秘密の事柄。それがここ、「オーヴ」の楽しみ方なのだ。 . . . 本文を読む
「誕生日祝いに・・・。」
そう言って花束を贈ってくれた。
いつでも彼は、決まって黄色の花を私に贈る。
そんな昔話を思い出し、今年も部屋一面に咲いた黄色い花を眺めながら
ひとつ歳をとる。
彼には奥さんがいた。
直接会ったことはないけれど、彼好みの小柄なアジアンビューティーらしい。
私達が出会った時には、彼にはもう奥さんと子供がいて本当に幸せそうだった。
私が彼に近づいたのは、その幸せを分けて . . . 本文を読む
今夜もあの重厚な扉の向こうには
妖しくも美しい、不思議な空間がある。
「秘密倶楽部・オーヴ」
不在の店主の代わりに切盛りしているのが、チーママのお玉である。
今日は新人面接を行うため、少し早めの出勤をしていた。
ラウンジやバーの募集広告というのは、極めてシンプルである。
たいていは、年齢制限と時間帯を書いたものだが
ここ「オーヴ」では、店の形態が少々特異なため、更に簡素な募集広告になっていた。 . . . 本文を読む
ここは東京のとある街。
ネオン街からは少し外れたところに「オーヴ」の扉は設けてある。
特に看板は出していない。
重厚な扉だけが、この店の目印。
一見さんはお断り。そして地位も名誉もある人間だけがこの扉を開けることができる。
政財界のトップが、夜な夜な訪れるちょっと不思議な空間だ。
ここの店の主人はフジコ。
いつも店に出ているワケではない。
たまに店に出ていると思えば、VIP客といつのまにやら奥の . . . 本文を読む