
ここは東京のとある街。
ネオン街からは少し外れたところに
【会員制】秘密倶楽部「オーヴ」の扉は設けてある。
特に看板は出していない。
重厚な扉だけが、この店の目印。
今夜も常連のお客がやってくる。
ここは会員制。一見さんはお断りなのだ。
そして、秘密。
ここであったことは全て秘密・・・。
不思議な空間に、秘密の事柄。
それがここ、「オーヴ」の楽しみ方なのだ。
「おひとついかが?」
そう言って差し出されたものを見ると、華奢なグラスに入ったアイスクリームだった。
彼女の左手にはトレイが載せてあり、その上には色とりどりのアイスクリームが花を咲かせている。
「お好きなものをどうぞ」
相変わらず、その声はくぐもっている。
「あぁ・・。そうだなぁ。こんなにあると迷ってしまうね。」
「うふふ・・・」笑い声もくぐもっている。
「キミのおすすめは何?」
「わたし・・・? わたしはコレ。」 彼女は右手に持ったグラスを差し出す。
ラムレーズン。
「わたし、コレが大好きなんです。
口に含むとほんのり、ゆったりと独特の甘さが溶けていって・・・
その瞬間、わたしは幸せになるの。とろ~りとなるの。
決して、お酒に酔ったせいじゃないんですよ・・・。」
仮面をつけた彼女の素顔はみえないが、頬をほんのり紅くした表情が目に浮かぶ。
「そうなんだ。じゃ、僕もそれにしようかな。」
「はい。どうぞ。」 くぐもった声が愛らしい。
「ありがとう。 ・・・乾杯!」
「うふふ。乾杯!!」
あなたの好きなアイスクリームはなんですか?
*イラスト by お玉さん
*写真 by ぷよPさん
と・トルコアイス!
彼女の手をとると、さらっとした布地ごしに、
しっとりとした湿度と、彼女の体温が伝わってくる。
「ストロベリーチーズケーキください」
のびーーるアイスですよね?>トルコアイス
「次回は、本場の人を呼んで
ビヨーンとしてもらいますね♪
もちろん、その方にもゼンタイ着用してもらって♪」
赤と白のマーブル模様。
グラスに咲く花のよう。
「どうぞ。おひとつ召し上がれ。」
と注文したら
「あいにくきらしております」
と、断られた俺は、しょうがなく、チョコレートとバニラのマーブルを。
カウンターの少し離れた席に座っていた紳士が
「いつものクッキー&クリームあるかい?」
と言うと、ママは
「いつものでございますね?」
と、カウンターの奥へ。
数分後、紳士の前には、形はよくないし、微妙に混ざりムラのあるクッキー&クリームが・・・。
運んでくるママの指先からぱらぱらとクッキーの粉が落ちる。
くそ・・。
変な嫉妬に熱くなる心臓を冷ますかのようにアイスクリームをかっこむ俺。
カウンターの紳士は、ニコニコしながらママに言う。
「あらっヤダ、ほんと!?今回もクッキー失敗しちゃったわね。」
明るく笑い飛ばしてはいるが、照れて少し困った顔をしている。
「ママはお菓子作りが昔から向いていない」
またも紳士は笑顔でつっこむ。
「あ~ら。それでも”いつもの”クッキー&クリームを頼むのはどなたなのかしら?」
そのやり取りを横で見ていた俺に、ママは気付くと
イジワルな目をしてグラスを差し出してきた。
「ちょっと難アリだけども、おひとついかが?」
ビヨーンとして(爆)
冷たいスプーンが無理やり押し込まれて、慣れない感触に
私は動揺した。
それでも、タイツ越しに私の舌は必死にうごめいて、それを溶かし、貪欲に味わおうとしている。
唇がイソギンチャクのようにゆるんで、窄まって、執拗に吸引を繰り返す。
この上なく下品で恥ずかしい私のその仕種は、
一枚の薄地に覆い隠されて、この紳士には見えていないはずだ。
ふいに、首輪のリードがゆるみ、紳士が動く衣擦れの音がする。
四つん這いになって、高々とあげられた
私のショッキングピンクのお尻に、ひやりと冷たいものが載せられた。
そしていくつもの熱い舌に覆われる感触。
『ああ』
これが好き。
これを待っていたの。
私の中で小さな爆発が起こり、
弓なりになった腰が痙攣した。
それでも言葉を発することは禁じられているのだ。
この空間では。
職人さんにお願いしましょう。
腕っ節のいいお方に(笑
ひときわ目をひくそのアイス。
「どうぞ、おひとつ召し上がれ」
☆お玉さん、お久しぶりです。
ステキなコメント有難うございました。