斯く語りき

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狂気を演じられる役者が減っている🤔

2021-03-09 15:45:00 | 日常部(写真ブログ含む)
単に役者といっても、その範囲は広くて、主役級もあれば三枚目、汚れ役を演じる人など様々いる訳です。勿論、誰もが簡単に主役にはなれませんし、中には脇役だからこそ活きる場合もありますから、如何に経験値を積んできたかが出てくると思うんです。



そんな中でも異質といいますか、滅多に出来ない役柄こそが“狂気”だと思います。多少は性格的に人間的に偏った人物を演じることはあれど、完全にイッてしまった狂気という役は誰もができることではありません。

例えば、今から40年前に東京は深川で起きた連続通り魔事件をドラマ化した際に犯人役を演じた大地康雄さんは滅多にいない“狂気を演じられる”役者だと思いますね。



あの犯人の風貌から特徴を可能な限り再現できるのは大地康雄さんしかいないと思いますし、そんな彼を起用した番組プロデューサーの目の付け所は大したものだと思います。

然し乍ら、そんな大地康雄さんも高齢になり、当時の様な役どころを演じることが難しくなってきました。当然、若手が出てくるべきなんですが、果たして現時点で狂気を演じられる役者は存在するんでしょうか?

正直に言って、現在の若手で狂気を演じられる人は皆無だと思わざるを得ません。私の主観になりますが、どうも最近の若手の選考(起用)傾向が『爽やか路線』で、花はあっても毒がないんです。また、人物としての線が細すぎるのもありますね。



昨年に放送された、嘗て埼玉県で起きた猟奇殺人事件の犯人且つ死刑囚で獄中死した関根元の役をベテランに位置する鶴見辰吾さんが演じていましたが、加齢し役者としての経験値が高い鶴見さんでさえ狂気を演じるには爽やかすぎるんです。あの役は泉谷しげるさんが演じるべきだったと思いますね。

そんな泉谷さんも狂気を演じられる人だと思うのですが、ご本人が敬遠しているのか狂気の役をしていたのを見たことがありません。まぁ、もともと泉谷さんは歌手ですから、その部分でのイメージもあったのでしょう。

大地康雄さんであれ泉谷しげるさんであれ、共に昭和の時代から存在している立場ですから年齢的にも狂気を演じることが今後は更に難しくなるでしょう。だからこそ若手の登場が不可欠なんですが、とても現状では期待できません。

近年だと気色悪いという部分がクローズアップされますが、気色悪いと狂気は違うと思うんです。やはり先述の深川での連続通り魔事件は覚醒剤が絡んだ犯罪でもあったので基本ラインからして狂気だったんです。そんな状態の人間を演じることが可能な若手の役者はいないでしょう。



然し乍ら、普段から放送されているドラマの大多数が爽やか系では軈て飽きられますし、現実に視聴者は飽きています。狂気や毒を時々混ぜることによって適度な刺激を受け、それが実際の事件が元となっていたら事件を振り返る切っ掛けにもなるんです。

まぁ、昨今はテレビといえど思い切った表現が難しくなってきているのでしょうが、だからといって全てを爽やかにしてしまったら何の為のドラマ化なのか判らなくなってしまいます。特に実際の事件ものはリアリティを追求しなければ右から左に抜けていくだけで視聴者は何も学びません。それでいて類似の事件が起きて右往左往するなんて愚の骨頂ですよ🙄。