「スマホを操作するのもつらく、病院探しは大きな負担だった」。新型コロナの後遺症に2年以上、悩まされている大阪府の大学院生の女性(26)は、そう振り返る。

 感染したのは2021年1月。高熱は数日で治まったが、ひどい疲労感でソファから起き上がれなくなった。頭にモヤがかかったような感覚で、不眠や吐き気など複数の症状があった。

 府外から引っ越してきたばかりで、かかりつけ医はいない。大阪府が後遺症に対応する医療機関を公表するようになったのは同12月で、女性が探した当時は参考にできなかった。

 保健所に紹介してもらった医療機関10か所近くに電話したが、「後遺症には対応していない」と断られた。仕方なく自分でネット検索し、数日後に東京のクリニックのオンライン診療を受けた。今も倦怠感などが残り、大学院を休学して、知人から紹介された大阪市内の別のクリニックに通う。

 

 女性は「住んでいる地域で受診しやすさに差が出ないよう、自治体は医療機関の情報をもっと出してほしい」と訴える。

 大阪市の会社員男性(48)も、女性と同様の経験がある。20年11月に感染後、頭痛や下痢が続いたため、ネットで見つけたクリニックを訪ねたが、「かかりつけの患者しか診ない」などと言われた。男性は「どうしたらいいか分からず、パニックに近かった」と話す。仕事は感染して以来休んでいるという。

 現在受診している堺市の邦和病院もネットで見つけた。1600人以上の後遺症患者を受け入れてきた和田邦雄院長は、治療経験をまとめた本を1月に出版。「症例を共有し、対応できる医療機関が少しでも増えれば」と語る。