中島京子さんが書かれた本"小さいおうち"という本のなかに
こんなくだりがあります。
やっとお家のことが片付いて、旦那さまと奥様にご挨拶をしたら
私は2畳の部屋へ戻り、そっと風呂敷を開くのである。
そこには、奥様から頂いたお下がりの銘仙が入っている。
数日前からこつこつと、正月用に仕立て直しているのだ(中略)
奥様の下さるものはお品がいいから着ていてとても気持ちが良かった。
(中島京子作・小さいおうちより)
昭和12年頃のお話です。
調べてみたら、銘仙は第二次世界大戦前まで
日本の衣料に欠かすことのできない織物だったそうです。
今、新啓織物さんの秩父銘仙のストールを手にする時、
時代は変わっても美しい布をまとうそのことは
不変なのだと思いました。
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