現在ではシャッターを押せば写真が写ってしまう時代になった
技術の進歩を否定するわけではない、素晴らしい事だ
写真の写る条件は、絞りとシャッターの組み合わせによる露出と、結像する為のピントで決まる
通常のカメラの場合、レンズの光軸はフィルム面(受光部)中心に直角にある
一部の特殊レンズではずらす事が出来るものもあるが、一般的ではない
しかし、大判カメラはレンズとフィルム面を蛇腹で繋いであるのでフィルム面に対してレンズの光軸をずらす事が出来る
アオリと言う物だ
アオリで何が出来るかと言えば、先ずはピントの調整
簡単にいうと、条件によっては絞り解放で近景から遠景までピントを合わせる事も出来るし、部分的にピントを合わせる事も出来る
絞りに依存する被写界深度の概念がなくなってしまうのである
他には、像の歪みを修正する事
ビルなどを見上げて写真を撮ると上の方が小さく写るのが普通で、遠近法を考えれば当然であるが、アオリを使うとビルを四角く写す事も出来る
だからと言って良い事ばかりではない
先ず、カメラがデカい
フィルムサイズが大きいカメラなので仕方がないと言えば、それだけの事だ
それに伴って、重い
そして、ズームレンズなるものは存在しないしオートフォーカスも無い、露出計も付いていなければプログラムモードも無い
したがって、単体露出計を使い、絞りやシャッタースピード自分でセットしなければならない
先に、アオリの利点を挙げたが、操作は自分でしなければならないし複雑で面倒
デカい・重い・めんどくさい
三重苦が漏れなく付いてくる
しかし、全ての設定を一つ一つ行い撮影した1枚は、写真を写したという感動が付いてくる