「サイッッッコーのギグにしますよ」
その日――スーパーエースのそのひとことは、文字通り“サイッッッコー”にジャズィなシェイプで、現実のものとなった。
「少し大人になる初春 ~2005、ゴーは旅立ちます~」
彼が名付けた、このけったいなタイトル……そう、これが――俺の送別会のタイトル。
エース:「何人くらい呼びたいですか?」
俺:「ん~、100人」
エース:「……」
俺:「あと、生ギターでライブやりたいので、PA必須ね」
エース:「……」
ここから、彼の悪戦苦闘が始まった。同じく幹事としてクレジットされていた、スーパーMCとスーパー合コニストも、フル稼働。まず、このキャパを収容できる店を探す。六本木、西麻布、赤坂から表参道まで、あれよあれよという間に十数店舗がリストアップされる。平行して進む電話攻勢と実地調査……それらの結果、ものすげぇ店が見つかった。西麻布「Birth」――まるで、絵に書いたようなラグジュアリーっぷり。しかし、それだけにやはり値段が張る。交渉に交渉を重ねた結果、「3時間貸し切り&料理&飲み放題付きでお一人さま6千円ポッキリ」という、サプライズプライスが実現したのだった。さすが、極悪ヅラが3人そろうと、価格破壊も底なしだ(とはいえかなりの持ち出しもでちゃったらしい)。
しかし、1点だけ問題があった。ライブできるPA機材がない……そこで、スーパーグルメ男の出番だ。彼に自慢のフェンダーのアンプを持ってきてもらい、マイクやスタンドなどほかのこまごまとした機材は、俺が家から持っていくことにした。
そして、いよいよ当日――。
最大の心配は、本当に人が集まるのか? と、いうことだった。年度末である3月の最終金曜日という日取りは、決して会社を出やすいシチュエーションではない。さらに、サッカーの日本代表戦もある。また、天候もあやしい……あと、3人の幹事も、ぁゃι ぃ。とりあえず、なぜか全員が全身黒づくめだ。黒澤明「隠し砦の三悪人」のような伝統的スゴミと、「メン・イン・ブラック」のふたりと彼らにキャプチャーされたユウザロック★のような、未来的ファニーさをあわせ持つ。
しかし、そんな心配もどこ吹く風。バラバラと人が集まりだし、最終的には総勢70人もの人々が参加してくださった。もろもろの事情で参加できない方も少なからずいたのはとても残念だったが、充分すぎる数字。文句なし、掛け値なしの、S達成。
始まりのあいさつ。
回りだす――元「バーフアウト」な――DJの選曲。
プロジェクターに映し出される、お世話になったリーダーや事業部長からのメッセージ。
すばらしき同僚たちからの生メッセージ。
俺の生ギターライブ 「STAY STAY DREAM(寒いオリジナルソング含む)」。
花束贈呈と、サプライズプレゼント。
ご歓談、ご歓談、ご歓談……。
俺が事前に知っていたもの、知らなかったもの、すべてのイベントが――まるで「東京フレンドパーク」の番組最後のエアホッケーのように――中空をすべるかのごとく、進行していく。「こっち来て……次、あっち行って」という感じで、俺の身ひとつも完璧にコントロールされる。それは、骨身まで染み渡る、最高の心地良さ。
感動的な場面も何度もあった。でも、不思議と涙は出なかった。それは、ただただ嬉しかったから。そして……最高に、楽しかったから。
……そして続いた、2次会3次会が終わるころには、すっかり夜は明け、その日5回目くらいの俺のスベるあいさつで、サイッッッコーのギグ(=オルガスム・ギグ)は終焉を迎えたのだった――。
あとで、いろんな人の感想を聞くと、「送別会というよりは結婚式の2次回みたいだった」という意見があって、なるほど、と思った。あと、3人の幹事の黒服姿――特にスーパー合コニストの格好――が、女子にえらく評判だったらしい。
俺も、彼らに合わせて黒のスーツと白シャツにえんじ色のネクタイでキメていたのだが、「七五三みたい」とか、「北○鮮の人みたい」など、さんざんな言われようだった。
七五三……はまだしも、北○鮮たぁどういう了見だ、こんちきしょーっ。
――って、それは彼の芸風でした。私が言いたいのは、次のたった一言です。
3年間、ありがとうございました!
その日――スーパーエースのそのひとことは、文字通り“サイッッッコー”にジャズィなシェイプで、現実のものとなった。
「少し大人になる初春 ~2005、ゴーは旅立ちます~」
彼が名付けた、このけったいなタイトル……そう、これが――俺の送別会のタイトル。
エース:「何人くらい呼びたいですか?」
俺:「ん~、100人」
エース:「……」
俺:「あと、生ギターでライブやりたいので、PA必須ね」
エース:「……」
ここから、彼の悪戦苦闘が始まった。同じく幹事としてクレジットされていた、スーパーMCとスーパー合コニストも、フル稼働。まず、このキャパを収容できる店を探す。六本木、西麻布、赤坂から表参道まで、あれよあれよという間に十数店舗がリストアップされる。平行して進む電話攻勢と実地調査……それらの結果、ものすげぇ店が見つかった。西麻布「Birth」――まるで、絵に書いたようなラグジュアリーっぷり。しかし、それだけにやはり値段が張る。交渉に交渉を重ねた結果、「3時間貸し切り&料理&飲み放題付きでお一人さま6千円ポッキリ」という、サプライズプライスが実現したのだった。さすが、極悪ヅラが3人そろうと、価格破壊も底なしだ(とはいえかなりの持ち出しもでちゃったらしい)。
しかし、1点だけ問題があった。ライブできるPA機材がない……そこで、スーパーグルメ男の出番だ。彼に自慢のフェンダーのアンプを持ってきてもらい、マイクやスタンドなどほかのこまごまとした機材は、俺が家から持っていくことにした。
そして、いよいよ当日――。
最大の心配は、本当に人が集まるのか? と、いうことだった。年度末である3月の最終金曜日という日取りは、決して会社を出やすいシチュエーションではない。さらに、サッカーの日本代表戦もある。また、天候もあやしい……あと、3人の幹事も、ぁゃι ぃ。とりあえず、なぜか全員が全身黒づくめだ。黒澤明「隠し砦の三悪人」のような伝統的スゴミと、「メン・イン・ブラック」のふたりと彼らにキャプチャーされたユウザロック★のような、未来的ファニーさをあわせ持つ。
しかし、そんな心配もどこ吹く風。バラバラと人が集まりだし、最終的には総勢70人もの人々が参加してくださった。もろもろの事情で参加できない方も少なからずいたのはとても残念だったが、充分すぎる数字。文句なし、掛け値なしの、S達成。
始まりのあいさつ。
回りだす――元「バーフアウト」な――DJの選曲。
プロジェクターに映し出される、お世話になったリーダーや事業部長からのメッセージ。
すばらしき同僚たちからの生メッセージ。
俺の生ギターライブ 「STAY STAY DREAM(寒いオリジナルソング含む)」。
花束贈呈と、サプライズプレゼント。
ご歓談、ご歓談、ご歓談……。
俺が事前に知っていたもの、知らなかったもの、すべてのイベントが――まるで「東京フレンドパーク」の番組最後のエアホッケーのように――中空をすべるかのごとく、進行していく。「こっち来て……次、あっち行って」という感じで、俺の身ひとつも完璧にコントロールされる。それは、骨身まで染み渡る、最高の心地良さ。
感動的な場面も何度もあった。でも、不思議と涙は出なかった。それは、ただただ嬉しかったから。そして……最高に、楽しかったから。
……そして続いた、2次会3次会が終わるころには、すっかり夜は明け、その日5回目くらいの俺のスベるあいさつで、サイッッッコーのギグ(=オルガスム・ギグ)は終焉を迎えたのだった――。
あとで、いろんな人の感想を聞くと、「送別会というよりは結婚式の2次回みたいだった」という意見があって、なるほど、と思った。あと、3人の幹事の黒服姿――特にスーパー合コニストの格好――が、女子にえらく評判だったらしい。
俺も、彼らに合わせて黒のスーツと白シャツにえんじ色のネクタイでキメていたのだが、「七五三みたい」とか、「北○鮮の人みたい」など、さんざんな言われようだった。
七五三……はまだしも、北○鮮たぁどういう了見だ、こんちきしょーっ。
――って、それは彼の芸風でした。私が言いたいのは、次のたった一言です。
3年間、ありがとうございました!