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モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

虎ノ門の奥地にある「ラーメン」という名の奇怪なラーメン屋は実は……Xserve

2005-07-22 | ヌルヌルアーカイブ
ぁゃι ぃ。ぁゃι すぎる――。

会社の近所にある、奇怪なラーメン屋。その名も「ラーメン」。んー、こんな店名って、あり? しかも、看板を見ると、「ラーメン」と書いてある横に、ナゾのスペースが空いているし。んー、わけ分からん。意味不明。……と、ふつーならここまでの感想で終わらせるところなんだが、俺にはちょっとした予備知識があった。

●伝説のラーメン屋「ラーメン二郎」
首都圏で、チェーン化せずにのれん分けだけで増殖してきた伝説のラーメン屋がある。その名は「ラーメン二郎」。薄暗く、そしてにんにくの匂いであふれかえる店内は、カウンター席のみで狭苦しく、なのに店の周りは行列でいっぱいで、食券制だが選べる種類はほとんどなく、麺はやたらぶっとくて固く、汁は醤油ベースでこゆい味。周りでは席についた客たちがしきりに「やさい!」とか「にんにく!」とかわめいている。それにつられて思わず「やさい、にんにく」とか言ってしまったら……キャベツともやしと刻みにんにくがどんぶりにこれでもかと山盛りされた――しかもその下にぶっきらぼうにでっかいチャーシューを垣間見せる――ラーメンが、ここぞとばかり出てくる。その、もはや「ラーメン」という既成のフォーマットの概念を超越した、あまりにあまりな存在感。面食らう。「これ、ぜんぶ食えるのかよ……」

俺はこの、ラーメン二郎が好きだ。巷では二郎好きの輩のことを「ジロリアン」と呼称したりもするらしい。

●「ラーメン」と「ラーメン二郎」の間に隠された知られざる確執
ラーメン二郎のファンサイト(http://www.geocities.co.jp/Foodpia-Olive/3433/)をむかし見たときに、虎ノ門店があることはなんとなく見ていたような気がしていて、この近くで働くようになってから、ずっと気になっていた。そんなある日、ひょんなことから同僚とラーメン二郎の話になったんだ。

「俺さぁ、ラーメン二郎ってとこのラーメンが好きなんだ~!」
「え、それなら近くにあるよ。ゴーちゃん!」
「まじ? じゃぁ行くべ!」
(移動:10分)
「着いたぁ~! って、あれ、なにこれ。『ラーメン二郎』じゃなくて、『ラーメン』ジャン!(ラムネもあるジャン)」

ああ、神様。ラーメンの神様。仏様。こんな……こんな悲劇、あっていいのでしょうか? こらえきれない涙はどんぶりに注がれる調味料となってスープを“辛め”にし、


血走った目はトッピングを説明する看板の下の方に書かれた「ラーメン○○虎ノ門店」の「○○」の部分に否が応でも注がれ、


あふれた感情は単純に、そしゃく回数を爆増させる。
俺は、あるひとつの質問を店のおいちゃんに投げかけずにはいられなかった。

「なんで、店の名前から『二郎』が抜けてただの『ラーメン』なんですか?」

と。
おいちゃんは言った。

「二郎本店が、『二郎』を名乗るなら、金払えって言ってきたの。だから、取ったの」

なぁんだ。簡単な理屈だ。徒弟制度的なのれん分けでその勢力を広げてきた二郎は、いつのまにか現代的なフランチャイズシステムを導入し、ラーメンコンツェルンへと着実にその歩を進めはじめていたのだ(でも、だからって「ラーメン」はねーだろ)。

さらに調べてみると、「二郎フードサービス」という会社があり、ここにロイヤリティーを支払っている店は「フーズ系」と呼ばれ、ジロリアンたちの間では1ランク下の二郎として認知されているらしいことが判明。たしかに、古くからののれん分けでロイヤリティーを支払っていないっぽい目黒店は、味も店構えもぶっきらぼうさ加減も、「ラーメン」とは比べものにならないくらい“モノホン”だ。

ああ、なんて奥が深いんだ。ラーメン二郎。

参考:livedoor東京グルメ「ラーメン虎ノ門店」
http://gourmet.livedoor.com/item/300/T7700/