仙之助の日記

ありし日の父の日記をここに移し書きして父の気持ちになってみよう。父をもっと知りたいと思う。

仙之助の日記写し (1971年1月) 

2012-03-01 11:41:09 | 仙之助
1/1 金

晴天 暖かい
別に変ったこともない
また同じ一月一日が始まる
交わる人を変えたらと思う
だが実行不可

親父の履歴書を掛けて眺めていてもあまり良い知恵もでてこない
今の世の中は何か金になるものがと思う
努力も必要だが運が一番


1/2 土

本家には主がないように思う

商店街の景品出ない

午後8時頃の銀座本町猫の子一匹通らず


1/3 日

伊藤祐三君
伊藤新平君
  めずらしい正月
亀崎姉来たが 両君にすしを取られてしまった
億万長者の御来訪
  親は長生きしなくては
    過去を知るものが殆どなくては
      現在の金のみ
他に光り見える

新道の大山雑貨店が焼け82歳の主人死
とんだことがと息子は思いうろたえているだろう


1/4 月

今日は一年の計を立ててみたい
二十年以上のドロ沼はなかなか深く抜けず
援け舟が必要になるかな

45年末の商店街売出し
最低の売上げ
チョット考えもの


1/5 火

午前6時半頃
地震あり
鉉より見舞い電話
(7時半)
10時高根姉より電話 

桜井春雄君より返信あり

榊原幸一君宅へ訪問
次男スペインよりまだ帰らない


1/6 水

南知多からの年賀状とどかず
公務員の怠慢に憤慨

日本一の豆腐屋さん
今年七十才
人間として一番の美しさを感ずる
年賀状に 身辺を整理して思いを残さないようにと書いてある
七十才ともなると寿命のつきることを感ずるものかな


1/7 木

警察の近くで
市役所所有の土地売出す
二十日入札
関係筋にきけばよい場所で
二十万円と云う


1/10 金

晴天

ロイヤルボールへ集金に行った
朝からボーリングの客百人程で大繁盛
驚いてしまった

景気のよいのはレジャー産業、造船、センイ、鉄工、電キ
其の他一切悪い

アメリカ公定歩合引下げ 


1/14 木

智子スキーへ出掛ける
昭和薬品400人十台のバスだと云ふ
驚いたなー

出来てくる品と作る品
値段は作る側でいかようにもなる
婦人連中目先買ってもすぐにしてやられる
毎日ついている訳にゆかず


1/15 金

松下カラーテレビ15% 20%値下げ発表

金持ちの価値なし
消費者連盟アホーではないか

鉉ちゃ達の研究した技術がアメリカジェネラルエレクトリックへ技術輸出された



1/16 土

墓の入り口で姉と出会う
なにかの巡り会わせ
おばあさんの墓参り
あの付近の山の手一面宅地造成が行はれている
今年中には宅地過剰の時がくるのではないか
満つれば欠ける

世の人は現状にすっかり酔って方向が一方的になり
自分を見い出すことをわすれているようだ
あまり考えすぎていては遅れてしまうかもしれない

智子山の中から電話くる
ビックリシタナー


1/17 日

大井の丹羽商店へ妻とともに行く
南知多の風景を眺め中央道にてかへる

どこも目に付くことは新築の家の多いこと
経済成長なるかな
おくれんぼになって
残念至極

八方尾根より智子首尾よく帰って来た
温かい半田の方が寒いと
何事も知る事だ

鉉より電話
専門的な事でエライ人に面接あり
きつい質問をされたそうだ
大会社であり大いに勉強すべきだ
ガンバレよ
鉉君のその後の話 早くききたい

奥川さん三回忌 角糖の御用命アリ


1/18 月

私学医大入学寄付金1000万円
ビックリした


1/19 火

昼から座り込み多し
三井さん来店
加周(製材業)の山下 土地売買よくやるそうだ

鉉ちゃのところへ手紙を出した


1/20 水

農耕跡地 二十五万円にて入札
ビックリ


1/21 木

一日小雨
半田早く梅ほころぶ
三月下旬の暖かさ

何でもかんでも高い高いビックリビックリ
頭の中が混乱
砂糖相場がボツボツ高い


1/22 金

本日より通常国会始まる
物価 中国問題 重要なること山積
愈々国の経済急をつげる

本日は晴天 風少々あり

豊浜栄屋より久しぶりに注文あり
忘れられていないことに心が安らぐ
内海オクカワさん法事用角糖届ける
往復 中央道


1/23 土

今日はちょっと冷えて来た
河和日本一(豆腐屋)へ配達

新築がどこでも多く目につく
建築ブーム
いつまで高度成長かな

鉉 本日あたりスキーに出掛けるではないか
暖冬 ナダレ注意


1/24 日

3人にて亀崎へ行く
お互いあとよいとこ十年
親交充分にと考へる

首相議会演説に物価、公害、中国問題
両三年物価問題が重要であるがキメテナシ
中国問題アメリカに先を越されそう
命取り


1/25 月 

乙川関さんの話スバラシク思う(注:多分娘智子の結婚話?)
成功を信じたい

暇な一日
よい日を期待している

四時頃より小雨となる

子の夢に亡き母心今思ふ
信ぜよ我信ぜらる


1/26 火

晩ごちそう
 何にするかと
   妻はいい

平凡に暮らした壱萬日
  のこるは僅か三千日

1/27 水

初春の
 裏の枯れ枝に
   鶏来たり鳴く

幾年も
 ほほをあわせて
   行けぬ思いを

関さん訪問
おくさんに特にお願いして来た
最上の話旨く運ぶように祈っている

めぐりきて
 梅一輪や
   かの人へ 

1/28 木

南組
 長老消えて
   雑魚ばかり

小栗衡平氏死去
南組の長老 ほとんど去って逝く


1/29 金

ジェネラルエレクトリック社より技術者来て
無線研究所大いそがしときく
世界に躍進する松下
この大船に乗って大いに羽ばたいて下さい 

1/30 土

午後五時頃
イッテキマシタと
云って元気で鉉帰ってきた
一年中に家に帰ってくるのが約一七八日
イツマデモ半田が自分のものだろー

材料第二開発室にかわったそうだ
基礎研究とも創造している
勉強が必要

1/31 日

日曜は町が静かだ
ここ二三年と違って休日が暇になった
一日鉉君と話していた

小言もなく帰っていくことを見ると愉快で過ごしているようだ
実に安心出来た

歩も強く
 うしろ姿の
   たのもしき
    (半田駅にて)