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AERA 2012.6.11号 買って読んでください。
医師出身議員らが動物愛護法改正に抵抗
削除された「幻の改正案」
いまの国会で改正を目指している動物愛護法。
その改正案から、実験動物に関する項目がすべて消えた。何が起きたのか。
【削除】
5月31日、衆議院第二議員会館内で開かれた民主党の動物愛護対策ワーキングチーム(WT)の会合。
そこで示された動物愛護法改正案の「骨子」には、そう記された項目があった。
「多くの議員の先生方から意見をいただきました。これまでの議論も、また様々な団体からの要望も、意見が真っ二つに分かれている状況です」
WT座長の田島一成衆院議員は書類に目を落としながら、絞り出すように語り出す。
そして、こう続けた。
「『実験動物に係る届出制等』の項目について、今回の骨子からは削除するという決定をさせていただきました」
遅れてきた情報公開
2010年6月から、環境省中央環境審議会の動物愛護部会やその小委員会などで数十回にわたって議論されてきた動物愛護法改正をめぐる問題。
今回の法改正において目玉の一つとされてきた実験動物に関する項目が、この日、すべて消えてしまったのだ。
なぜ、こんなことになったのか。
アエラでは、WT役員会が目指していた「幻の改正案」とも言える当初案を入手した。
この当初案から、経緯を追っていきたい。
改正議論のなかでクローズアップされてきたのは、一部の実験動物施設の情報公開が進んでいない、という問題だった。
そのため、実験動物の取り扱い方が不適切だったとしても表面化しなかったり、災害時に実験動物の行方がわからなくなったりする可能性が指摘されてきた。
こうした状況を改善するため「幻の改正案」には次の2項目が盛り込まれていた。
(1)実験動物の飼養・保管に関する届出制度の創設
(2)代替法の活用及び実験動物利用数の削減を義務化する
5月17日、これらの案が初めてWTと環境部門会議の合同会議に示された。するとその場で、医師出身議員から極論ともとれる激しい異論が噴出した。
民主党が真っ二つ
「正気の沙汰とは思えない。国家戦略を阻害し、雇用も減る。テロリストが施設の構造などの情報を手にすれば大変なことになる」
(吉田統彦衆院議員)
「実験動物の関係者からは、懸念が出ている。別法で対処してほしいという声も理解してくれないか」
(岡本充功衆院議員)
「『動物実験』と『実験動物』とを明確に分けることはできない。実験が止まってしまう」
(足立信也参院議員)
この日から風向きが変わり始めた。
党の政策決定にかかわる中堅議員も強く反対。
党内の意見が真っ二つに割れ、動物愛護法の改正そのものが頓挫しかねない状況が生まれつつあった。
妥協案として出てきた実験動物にかかわる項目の「別法化」についても、医師出身議員から独自案が出てくるなどして議論が混迷。
並行して、一部の動物愛護団体から「別法にすることで、実態把握が困難になるのでは」という懸念も示された。
そしてついに、実験動物に関する改正案はすべて消える。
環境副大臣のころから動物愛護法改正の成立に精力的に取り組んできた田島氏は言う。
「(今回の改正案には)8週齢規制など重要な事項を盛り込んでおり、法案を成立させていくスピードを遅らせるのは忍びない。動愛法改正の成立に向けて、断腸の思いで削除しました」
今後、この改正案は民主党案として了承を得た後、与野党協議へとステップを移す。
だが自民党や公明党は8週齢規制に対する考え方を明確にしておらず、自民党の環境部会では党内意見の食い違いも露呈している。
与野党協議という「政治」によって、これ以上、動物愛護法の改正が骨抜きになってはならない。
編集部 太田 匡彦
――――――
AERAと太田 匡彦さんに感謝。
2012/6/6
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AERAアエラ 2012年6月11日号 | |
朝日新聞出版 |
医師出身議員らが動物愛護法改正に抵抗
削除された「幻の改正案」
いまの国会で改正を目指している動物愛護法。
その改正案から、実験動物に関する項目がすべて消えた。何が起きたのか。
【削除】
5月31日、衆議院第二議員会館内で開かれた民主党の動物愛護対策ワーキングチーム(WT)の会合。
そこで示された動物愛護法改正案の「骨子」には、そう記された項目があった。
「多くの議員の先生方から意見をいただきました。これまでの議論も、また様々な団体からの要望も、意見が真っ二つに分かれている状況です」
WT座長の田島一成衆院議員は書類に目を落としながら、絞り出すように語り出す。
そして、こう続けた。
「『実験動物に係る届出制等』の項目について、今回の骨子からは削除するという決定をさせていただきました」
遅れてきた情報公開
2010年6月から、環境省中央環境審議会の動物愛護部会やその小委員会などで数十回にわたって議論されてきた動物愛護法改正をめぐる問題。
今回の法改正において目玉の一つとされてきた実験動物に関する項目が、この日、すべて消えてしまったのだ。
なぜ、こんなことになったのか。
アエラでは、WT役員会が目指していた「幻の改正案」とも言える当初案を入手した。
この当初案から、経緯を追っていきたい。
改正議論のなかでクローズアップされてきたのは、一部の実験動物施設の情報公開が進んでいない、という問題だった。
そのため、実験動物の取り扱い方が不適切だったとしても表面化しなかったり、災害時に実験動物の行方がわからなくなったりする可能性が指摘されてきた。
こうした状況を改善するため「幻の改正案」には次の2項目が盛り込まれていた。
(1)実験動物の飼養・保管に関する届出制度の創設
(2)代替法の活用及び実験動物利用数の削減を義務化する
5月17日、これらの案が初めてWTと環境部門会議の合同会議に示された。するとその場で、医師出身議員から極論ともとれる激しい異論が噴出した。
民主党が真っ二つ
「正気の沙汰とは思えない。国家戦略を阻害し、雇用も減る。テロリストが施設の構造などの情報を手にすれば大変なことになる」
(吉田統彦衆院議員)
「実験動物の関係者からは、懸念が出ている。別法で対処してほしいという声も理解してくれないか」
(岡本充功衆院議員)
「『動物実験』と『実験動物』とを明確に分けることはできない。実験が止まってしまう」
(足立信也参院議員)
この日から風向きが変わり始めた。
党の政策決定にかかわる中堅議員も強く反対。
党内の意見が真っ二つに割れ、動物愛護法の改正そのものが頓挫しかねない状況が生まれつつあった。
妥協案として出てきた実験動物にかかわる項目の「別法化」についても、医師出身議員から独自案が出てくるなどして議論が混迷。
並行して、一部の動物愛護団体から「別法にすることで、実態把握が困難になるのでは」という懸念も示された。
そしてついに、実験動物に関する改正案はすべて消える。
環境副大臣のころから動物愛護法改正の成立に精力的に取り組んできた田島氏は言う。
「(今回の改正案には)8週齢規制など重要な事項を盛り込んでおり、法案を成立させていくスピードを遅らせるのは忍びない。動愛法改正の成立に向けて、断腸の思いで削除しました」
今後、この改正案は民主党案として了承を得た後、与野党協議へとステップを移す。
だが自民党や公明党は8週齢規制に対する考え方を明確にしておらず、自民党の環境部会では党内意見の食い違いも露呈している。
与野党協議という「政治」によって、これ以上、動物愛護法の改正が骨抜きになってはならない。
編集部 太田 匡彦
――――――
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2012/6/6