本当は、「このページをよく見てください、食肉衛生検査の統計情報です。 http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/nikuken/food/nikuken/kennsakekka-sochi.html 」 と紹介するだけで良いはずなんです。
だけどしっかりとは見てもらえない、見てもよく分からない、が現状だと思ってるので記事にします。何時間もかかっちゃいますが。
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静岡県浜松市の人口は81万2683人です。日本の人口が約1億2800万人なので、150分の1ぐらいです。
なので、単純ですけどこれから出てくる数字を150倍にして考えてください。
それが日本の現状です。
浜松市食肉衛生検査所の様々な統計情報を紹介するページです。(平成24年度 2012年度)
◆【鶏の処分別内訳】
簡単に言うと、
「殺したけど売り物にならないからゴミ」にされた鶏の数が年間1万5758羽、全国では237万羽(推計)
「病気だからこの部分はゴミ、この部分は売ろう」が2万3153羽、全国では348万羽(推計)です。
この年の検査頭数が17万7254羽なので、飼育されていた鶏の約22%がとても重い病気。
●鶏(ブロイラー)の解体禁止の内訳
円グラフ:鶏の解体禁止内訳
疾病等/羽数
削痩及び発育不良/12,642羽
総数/12,642羽
鶏の解体禁止処分(羽毛の除去または内臓摘出の禁止)の内訳です。
解体禁止処分となった全ての鶏が、削痩(さくそう)・発育不良であることがわかります。
疾病名の解説
削痩・発育不良
様々な原因により、正常に発育せずに著しくやせているものをいいます。
●鶏(ブロイラー)の全部廃棄の内訳(疾病名別)
円グラフ:鶏の全部廃棄内訳
疾病等/羽数
大腸菌症/2,024羽
削痩及び発育不良/1,065羽
放血不良/27羽
総数/3,116羽
鶏の疾病名別全部廃棄数の内訳です。
全部廃棄処分(と体やその副産物の内臓・皮・骨などの全てが廃棄処分)となった鶏のほとんどが削痩(さくそう)・発育不良と大腸菌症であることがわかります。
疾病名の解説
大腸菌症
大腸菌が原因菌であり、敗血症(病原菌が血液中に流出して全身感染を起こしたもの)を起こしているものをいいます。
削痩・発育不良
様々な原因により、正常に発育せずに著しくやせているものをいいます。
放血不良
様々な原因により、放血がうまくいかなかったものをいいます。
●鶏の一部廃棄の内訳(理由別)
円グラフ:鶏の一部廃棄内訳
理由等/羽数
炎症/21,275羽
変性/1,545羽
出血/333羽
総数/23,153羽
鶏の理由別一部廃棄数の内訳です。
一部廃棄処分(と体の一部や内臓などの副産物の一部が廃棄処分)となった鶏の処分理由のほとんどが炎症であることがわかります。炎症が特に多い臓器は心臓と肝臓で、頻繁に「炎症による一部廃棄処分」となっています。変性は筋肉、特に深胸筋(ササミ)に多くみられ、「変性による一部廃棄処分」となっています。
●鶏(ブロイラー)のとさつ禁止の内訳
平成24年度はとさつ禁止処分に該当するものはありませんでした。
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◆【豚の処分別内訳】
「殺したけど売り物にならないからゴミ」にされた豚の数が年間44頭、全国では6600頭(推計)
「病気だからこの部分はゴミ、この部分は売ろう」が3万3000頭以上、全国では495万頭以上(推計)です。
この年の検査頭数が11万5354頭なので、飼育されていた豚の約30%がとても重い病気。
●豚の全部廃棄の内訳(疾病名別)
疾病等/頭数
膿毒症/23頭
敗血症/11頭
高度の水腫/7頭
全身性腫瘍/2頭
豚丹毒/1頭
総数/44頭
豚の疾病名別全部廃棄数の内訳です。
全部廃棄処分(枝肉やその副産物の内臓・皮・骨などの全てが廃棄処分)となった豚の主な病名は、膿毒症、敗血症や高度の水腫であることがわかります。
疾病名の解説
膿毒症
化膿性の細菌感染によって、様々な化膿性疾病の経過中に病原菌が血液中に侵入することで、体内の各臓器や身体の各所に転移性膿瘍を起こした状態の総称です。
敗血症
一般に、病原菌が血液の中で増殖しているもの、あるいは細菌病巣から菌が断続的に血液の中に流出し、全身感染したものをいいます。
高度の水腫
様々な原因により、血管から組織内への水分流入量が、組織内から血管への水分流出量を上回り、組織液が全身の細胞間隙に増加・貯留している状態をいいます。
全身性腫瘍
家畜にできる腫瘍のなかで特に、全身に転移しているものをさします。様々な種類の腫瘍が含まれます。
豚丹毒
豚丹毒菌の感染による疾病です。豚丹毒菌は人にも感染することが知られています。
●豚の一部廃棄の内訳(各器官系別)
器官系/件数
消化器系疾患/32,993件
呼吸器系疾患/30,489件
循環器系疾患/9,882件
皮膚神経系疾患/4,455件
運動器系疾患/4,120件
泌尿生殖器系疾患/1,805件
その他/30件
総数/83,774件
豚の各器官系別一部廃棄数の内訳です。
一部廃棄処分(枝肉の一部や内臓などの副産物の一部が廃棄処分)となる豚の疾病は様々な器官系に及んでいます。特に呼吸器系と消化器系の疾病は、合わせると全体の76%を占めています。豚のと畜検査で最も頻繁にみられるのが、この二つの器官系の疾病であることがわかります。
疾病名の解説
消化器系
主に胃、腸、肝臓の疾患です。特に多いのは腹膜炎、肝臓の疾患、腸炎などです。
呼吸器系
主に肺の疾患です。特に多いのは肺炎、胸膜炎です。
循環器系
主に心臓の疾患です。最も多いのは心外膜炎です。
皮膚神経系
主に皮膚の疾患です。そのほとんどが皮下組織の出血などです。
運動器系
骨、筋肉、関節などの疾患です。最も多いのは筋肉の膿瘍です。
泌尿生殖器系
腎臓などの泌尿器と子宮などの生殖器の疾患です。特に多いのは膀胱炎、腎嚢胞、尿結石症などです。
●豚のとさつ禁止・解体禁止の内訳
平成24年度はとさつ禁止・解体禁止処分に該当するものはありませんでした。
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◆【牛の処分別内訳】
「殺したけど売り物にならないからゴミ」にされた牛の数が年間25頭、全国では3750頭(推計)
「病気だからこの部分はゴミ、この部分は売ろう」が3920頭、全国では58万8000頭(推計)です。
この年の検査頭数が3920頭なので、飼育されていた全ての牛がとても重い病気。
●牛の全部廃棄の内訳(疾病名別)
疾病等/頭数
敗血症/9頭
高度の黄疸/6頭
牛白血病/6頭
高度の水腫/2頭
膿毒症/1頭
尿毒症/1頭
総数/25頭
牛の疾病名別全部廃棄数の内訳です。
全部廃棄処分(枝肉やその副産物の内臓・皮・骨などの全てが廃棄処分)となった牛の主な病名が敗血症や高度の黄疸、牛白血病であることがわかります。
疾病名の解説
敗血症
一般に、病原菌が血液の中で増殖しているもの、あるいは細菌病巣から菌が断続的に血液の中に流出し、全身感染したものをいいます。
高度の黄疸
血液中の胆汁色素(ビリルビン)濃度が上昇して、粘膜や皮膚が黄染する病態の総称を黄疸といいます。
黄疸の直接的な原因としては肝臓や胆道などの肝臓の疾患、あるいは重度の溶血性貧血などがあります。
牛白血病
獣医学では、造血系細胞(リンパ球、白血球など)の腫瘍を総称して白血病といいます。動物では、主にリンパ腫が多く発生します。
牛白血病の多くは、牛白血病ウイルスによって引き起こされます。
高度の水腫
様々な原因により、血管から組織内への水分流入量が、組織内から血管への水分流出量を上回り、組織液が全身の細胞間隙に増加・貯留している状態をいいます。
膿毒症
化膿性の細菌感染によって、様々な化膿性疾病の経過中に病原菌が血液中に侵入することで、体内の各臓器や身体の各所に転移性膿瘍を起こした状態の総称です。
尿毒症
尿路系の障害などによる排尿障害によって、尿成分が血液中に吸収されて起こる、一種の中毒症で、神経系および消化器系などの障害を起こすものをいいます。
●牛の一部廃棄の内訳(各器官系別)
器官系/件数
消化器系/3,919件
呼吸器系/1,255件
皮膚神経系/1,163件
泌尿生殖器系/1,019件
運動器系/720件
循環器系/434件
その他/101件
総数/8,611件
牛の各器官系別一部廃棄数の内訳です。
一部廃棄処分(枝肉の一部や内臓などの副産物の一部が廃棄処分)となる牛の疾病は、様々な器官系に及んでいます。特に牛では消化器系の疾病が多く、一部廃棄疾患全体のおよそ46%であることがわかります。
疾病名の解説
消化器系
主に胃、腸、肝臓の疾患です。特に多いのは肝臓の疾患です。
呼吸器系
主に肺の疾患です。その多くが胸膜炎です。
皮膚神経系
主に皮膚の疾患です。そのほとんどが皮下組織の出血や変性などです。
泌尿生殖器系
腎臓、膀胱、卵巣、子宮、乳房などの疾患です。その多くが尿結石症です。
運動器系
骨、筋肉、関節などの疾患です。筋肉組織の出血や変性、関節炎が多いです。
循環器系
主に心臓、血管の疾患です。そのほとんどが心外膜炎です。
●牛のとさつ禁止・解体禁止の内訳
平成24年度はとさつ禁止・解体禁止処分に該当するものはありませんでした。
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※病気の件数は頭数ではないので、例えば1頭が消化器系で胃、腸、肝臓とも病気だった場合にそれで消化器系が3件と記載されているとすれば上に書いた頭数は変わってきます。
2013/12/30