ひな祭りと言えば！（｀∇´)

明かりをつけましょ雪洞(ぼんぼり)に
　お花をあげましょ桃の花

五人囃子に笛 太鼓
　今日は楽しい　ひな祭り。


　・・意外と覚えているものだ。

それにしても何故桃の花なのか、気になっていた仕方がない。

「そりゃあ栗の花だと何かとエロくてだめだろう。」

頭の隅がそう呟くと自然と口角が上がってくる。
これと言って何かを連想した訳でもないはずなのに、”栗の花”と聞いただけでニヤけてしまうのは何故だろうか。

ケータイを握り締め、吹き出しそうになるのをぐっと堪える。
こんな所で突然笑い出せば、明らかにおかしな人に思われてしまう。

そう自分に言い聞かせて深く静かに深呼吸をしてみた。


店の自動ドアが開いて一歩足を踏み入れると、大きさも装飾も色とりどりな様々なひな壇とひな人形が並んでいる。

雛人形の首から上だけを見ていると妙に怖くなってくる。

この人形の髪が毎日少しづつ伸びたら・・
なんて考えると、アデランスやリーブ２１に通い詰めている人達はきっと悔しがるに違いない。

一通り店の中を見回ってみたけれど、やっぱり驚くほど高いものばかりのようだ。

途中、女の店員さんが
　「娘さんにですか？」
　などと微笑みながら尋ねてくるので、少しその気になって返答してみた。

「そうなんですよ。もう早いもんで三歳になりましてね。　元気なのはいいんですけど時々噛み付いてきますからね。　小さい頃は毛も少なかったのに、今はもうフサフサで。」

女の店員さんは相変わらず微笑んではいるけれど、少しづつ目が丸くなって来ている様子で。

「特に背中の縞は綺麗でしてね、よく食べるからかよく寝るからか、けっこう艶々してるんですよね。　それとやっぱり壁なんかも素早く登り下りしますよね。もう部屋のフローリングと一体化して見える程ですからね、茶色の毛並みが。　三歳のくせにやんちゃでやんちゃ。」

あっけに取られている女の店員さんは口を開けたまま言葉を飲み込んでいる。

それを尻目に、さも何事もなかったかのように振舞って去って行く。
離れてから横目で見ると、まだ頭を抱え込んでいる様が可笑しくてしかたがなかった。


このまま帰ってしまってはひな祭りが終わってしまう。

「いっその事ひな人形になってしまおうか、。」

　早速奥にあるジオラマへ。

運良く、七段の飾りに十四人が集まっていた。
どうやら左大臣のポジションが空いているようだったので入らせて頂いた。

　今日は楽しい　ひな祭り


着物をきかえて帯しめて
　今日はわたしもはれ姿

春のやよいのこのよき日
　なによりうれしい　ひな祭り
　←こっち？　or　こっち？→