これで2連敗からの3連勝となり防衛に王手。
挑戦者の佐藤棋聖にとっては先手番でもあり、
絶対に負けられない戦い。
一方、竜王にとってもまた、流れを変えないためには
負けられない一局。
というわけで、両者の気合が正面からぶちあたった
ガチンコ勝負の名局だった。
終盤までは棋聖がほんのわずか優勢に進めていたようだが、
最終盤、秒読みに追われたこともあり、
難解な勝負を勝ちきることができなかった。
こうなってみると、
第3局を勝ちきれずに落としたのがとても痛い。
そこから竜王の流れになり、
本局もまた、それをとめられなかった、という印象だ。
それにしても、竜王の強さが光る。
勝負師として、一局一局、修羅場をくぐるたびに
強くなっているという感じで、
まだまだ伸び盛りを感じさせる。
相手の切っ先をぎりぎりで見切り、かわしつつ、
じりじりと間合いを詰める勝負術。
そうやって相手が焦り、自滅するのを誘う。
そういう手が、それほど深く読むこともなく、
自然に、直感にしたがって指せているように見える。
それはあたかも、
将棋なんて、最善を尽くさずとも、
悪手を指さなければ容易には負けない、
と悟った老練な指し手を思わせる。
反面、棋聖のほうは、勝負どころで
最善を求め過ぎたあまりに、
かえって悪くしてしまったような感じだ。
今日の将棋を見ていると、
棋理を探求し、最善を求めるでもなく、
新手を試み、定石を開拓、整理するでもなく、
パズルのような奇想と戯れるでもなく、
ただ、淡々と、勝負して、勝つ。
そういう印象の大山康晴に、今一番近いところにいるのが
渡辺竜王かもしれない、と改めて感じた。
三強の一角であり、
現時点で最も充実しているはずの佐藤棋聖が、
ここから意地を見せるのか、
それとも、森内名人に続いて、
若くして既に老練の趣のある竜王の軍門に下ってしまうのか。
来週水曜日からの次局もまた、見逃せない戦いだ。
こんな熱い戦いが、毎週のように無料で、
リアルタイムに、解説つきで観戦できるのだから、
ほんとうによい時代になったものだ。
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