全国であがり、ネット上を座布団が飛び交った。
将棋名人戦第6局は、先手の森内名人が中盤以降
やや優勢を保ち、郷田九段のミス?もあって、
勝勢のまま最終盤へ。
名人やや変調ながらも、やがて
郷田の玉は受け無しとなり、
控え室の検討も打ち切られ、
毎日新聞は、永世名人誕生の記者会見の段取りを始めた。
しかし、郷田九段は諦めない。
詰めろを振りほどく筋を求めて、
時間に追われている森内名人の玉に王手を続ける。
独特の美学を持ち、不利になると諦めが早い、
といわれる挑戦者にしては、不思議なほどのクソ粘り、
に見えた。
そして131手目。
森内は郷田の王手に4七玉と逃げた。
これがなんとなんと、痛恨の逃げ間違い。
正解は一つ下の4八玉で、これなら森内勝ちだったらしい。
他にも勝つ手はたくさんあったらしいのに、
唯一ともいえる負け筋へと、
まるで魅入られたように自ら飛び込んでしまった。
世紀の大逆転というか、世紀の大ポカ。
九分九厘手中に掴んだと思った永世名人の座が、
一瞬で森内の指をすり抜けていった。
亡くなられた郷田九段のお父上のことなどもあり、
何か、人智を超えた力が働いたような感じがしたが、
これが、永世名人の重みというものか・・・
負けた名人はもちろんだが、
勝った郷田九段のほうもまた、
信じられない思いをしているだろう。
これで、勝負は最終局へと持ち越された。
この試練に耐えて永世名人となり、連覇を続けるのか、
それとも、ショックでずるずると無冠に転落してしまうのか。
森内名人にとって、棋士人生の正念場となる一戦は、
6月28日、29日に蒲郡の銀波荘で戦われる。
永世名人が懸かっている割には
盛り上がらないと言われている今期の名人戦だが、
これで少しは変わるかもしれない。
しかし、同じ、手に汗握る終盤、でも、
佐藤棋聖に渡辺竜王が挑戦している棋聖戦と比べると
ちょっとレベルが違う感じがするのもまた、事実だ。
郷田九段も、今回のことで一皮も二皮も剥けるような気がするし、
森内名人も持ち前のしたたかさを存分に出さざるを得ない展開、
とういことで、最終局こそは、名勝負を期待したい。
将棋というドラマはおもしろい。
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