このところ、タイトル戦や順位戦で、
「羽生マジック」がほとんど見られない。
ここ一番での圧倒的な強さも陰をひそめ、
むしろ、ここ一番で脆さが出ている感じだ。
先日の竜王戦の決勝トーナメント準決勝、佐藤二冠との対戦も、
永世竜王になるためには負けられない、ここ一番の戦いだった。
序盤、相手の研究に飛び込んでやや不利に。
ここまではいつもどおり。
その後、佐藤二冠の攻め急ぎで、差が縮まり、
逆転したとも言われた。
こうなると、絶対に負けないのが
以前の羽生さんだったのだが、
しかし、この将棋は、終盤の入り口で
あっけなくぬるい手を指してしまい、
再逆転で佐藤二冠に押し切られる形になった。
らしくない。
思えば、三期前の名人戦七番勝負の最終局、
永世名人を目前にして、森内名人との
ぎりぎりの勝負を落として以来、
昨年の春には、谷川九段との順位戦プレーオフを落とし、
そして、今回もまた、竜王戦の事実上の挑戦者決定戦を
落としてしまった。
衰えは隠しようがない。
羽生さんが圧倒的に強かったのは、
もちろん、特異的な読みの能力もあったのだろうが、
それに加えて、将棋の情報化の最初の波を
最も巧みに利用したことが大きかったのかもしれない。
過去の棋譜が簡単に参照できるようになり、
膨大な情報が利用可能になったとき、
誰よりも、そうした情報を柔軟に消化し、
自らのものにしてゆくのが速かった、
ということではなかったか?
いまや、情報はありふれたものになり、
それを利用するやり方も、
平準化したように見える。
そこで、どうやって差をつけるのか?
王位戦でも苦しんでいる羽生さんが、
このまま下降していってしまうのか、
それとも、今は次の段階への移行期なのか、
予断を許さない。
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グレイ
Unknown
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