羽生三冠対藤井九段の対局が先週の金曜日にあった。
ここまで、羽生三冠は3勝2敗、藤井九段は4勝1敗。
羽生三冠が名人挑戦に絡むためには、
もうひとつも負けられない。
朝10時に藤井九段の先手で始まった双方持ち時間6時間の戦いは、
両者の「負けたくない」という気持ちを反映するように、
お互いの動き探り合う、じりじりとした駒組みが延々と続き、
戦いが始まらないまま、対局開始から10時間半後の20時33分、
千日手指しなおしとなった。
ここまでの消費時間は、羽生4時間23分、藤井3時間45分。
30分の休憩の後、21時3分から開始された指しなおし局は、
先後を入れ替えて、羽生三冠の先手。
羽生の居飛車、藤井九段の四間飛車で、相穴熊へと進行した。
羽生が果敢に仕掛けた後、お互いほぼ最善の戦いが続いたが、
73手目の羽生の手がやや悪かったようで、藤井が優勢となった。
角金交換から馬を二つ作った藤井が羽生の飛車の動きを
押さえ込もうとし、あわや完封かと思われたのだが、
そこからの羽生の凌ぎがすごかった。
先に一分将棋になっているにもかかわらず、
なんとか飛車を逃げ回りながら、勝負手を連発し、
相手に、容易にはあと一歩の踏み込みを許さない。
あれこれと手を作り続け、ついには、
自陣の穴熊を崩して攻めに出る。
攻めると見せては受け、受けると見せては攻める、
という幻惑的な手の流れが藤井の判断を狂わせたのか、
あるいは、長い対局による疲労からか、
0時をとおに回った112手目、千日手局と通算では186手目、
ついに藤井が痛恨の悪手を指してしまう。
それでも、まだ形勢は互角かと思われたのだが、羽生は、
そこから、一気の端攻めで藤井の王に猛然と襲いかかる。
少ない手駒を文字通り駆使して攻め続けるる中、
藤井のミスもあって、双方一分将棋の末、2時45分に、
181手までで藤井九段が投了。
今期一番の逆転劇、藤井九段の言によると、
「生涯でベスト1の逆転負け」となった。
普通、投了の際には、駒台の上に手を軽く
触れる程度なのだが、駒台のの駒を盤上に投げて、
文字通りの投了をしたというから、
藤井九段の無念さが察せられる。
羽生三冠も、さすがに疲労困憊したのか、
月曜日に行われた、棋王戦の敗者戦決勝では、
佐藤に敗れている。
竜王戦第5局の渡辺竜王、
竜王戦第6局の佐藤棋聖、
本局の羽生三冠、と、立て続けに、
本物の勝負への執念を見せてもらった感じ。
そして、明日からは、いよいよ竜王戦の最終決戦。
将棋観戦ファンにとって、至福の日々が続く。
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