おじさんが恋愛したら(仮)

一部事実の恋愛小説

こんなに悲しい恋愛あるの?(仮)『』

2020-09-17 18:06:23 | 日記
なんにもない。
かれこれ1時間、東京から、名古屋で乗り換えた、高山本線、特急列車の車窓をながめてた。

車内アナウンスが、私の降りる駅をつげた。
そこは、とても特急列車が泊まるような駅ではなく、ホームから、100メートル離れたコンビニのあかり以外、少ない街灯。
家はあるものの、夜8時で、人気すら感じない。
特急列車が走り去ると、駅に向かい車がやってきた。
無人駅の改札をでると、(島屋通信メンテナンス)とかかれたカローラバンが留まった。

『遅くなりました。吉村正弘所長さんですよね。
私、玉城優たましろゆうです。』

目の前には、150センタくらいの可愛い女の子が、うちの作業着をきて、ニコニコしてる。

『えっ、たましろまさる、さんじゃ』
あわてて、先程まで見ていたiPadの電源をいれようとすると、

『あ、ここ通信エリア外なんで、見れませんよ。笑、荷物つみますね』

私のキャリーバックを、彼女がトランクにつむ間、呆然と立ち尽くした。

私は、2週間前まで、東京、八重洲にある、島屋通信メンテナンスの、本社営業5課で、主任だった。
歳は48才。ちなみに、課長は38才。

20年前、主任昇格と同時期に母親が脳梗塞で倒れた。父親も25年前に事故でなくなり、子供は私一人。病院と自宅で介護してきたが、一月前に亡くなった。 
うちの会社は、北海道から、沖縄まで、
島屋電気が販売している特殊な装置を、
メンテナンスする関連会社で、高速道路や一般国道が取引先。
介護を理由に転勤しなかったため、48で主任のまま。ついでに、独身。

『おい、吉村、ちょっといいか』

昔から、世話になっている、大山人事部長に、かたをたたかれた。

すごすご人事部長室にはいると、

『大変だったな。お母さん。
  あのな、これお前行けよ。なっ』

目の前には、島屋通信メンテナンス岐阜飛騨営業所準備室について

『お前、ここの所長にきまったからな。 ラストチャンスだ。でな、
なんにもなくて、、、部下はひとり、、、たましろまさる、、、』

何一つあたまにはいらないまま、急遽自宅マンションを片付けて、荷物はそのまま、とりあえずいまにいたる。

『所長、お店ここしかないですからね。ちなみに、ここから、一時間走りますから、買い物しましょ』

言われるまま、コンビニについてゆき、タバコカートンと、好きなエナジードリンクを20本くらい買った。

コンビニを出て、すぐの交差点をまがると、いきなりさらなる山道に。曲がる前に、飛騨インターナショナルスキー場の看板があった。ここから50分。

『あの、玉城さん、スキー』
『あ、もうスキー場は潰れてます。
そのスキー場の入り口が、飛騨横断道路のインターチェンジで、、、』

ひとしきり、私も調べてきてるので知っていることだが、丁寧に説明してくれるので、黙っていた。すでに、富山側からは開通していて、岐阜県の終点になる。

『よくわかったよ。でね、たましろまさるさんは、、、』

彼女は、ケラケラと笑った。なんでも、同期に、たましろまさる君がいると言う。ようは、人事部長が勘違いをしていただけ。

人事部長も、いい加減なもんだ。

暫くはしると、突然インターチェンジがあらわれた。まだ、無料開放区間なので、料金所の建物すらない。   
その、近くには、プレハブのゼネコンなどの事務所が並ぶ。
ならびにある、洋風のペンションに車は止まった。

『ここが、うちの事務所ですよ』

たしかに、入り口に、うちの社名が書いてある。

荷物を車からだし、中にはいると、食堂が、会社らしく事務机などがある。

『あれ、ペンションのかたは?』

先程、鍵を玉城さんが開けてたので聞いてみると、

『なにも、所長きいてないの?2階に、住み込みですよ。だから、私と所長で、まあ、合宿ですね。私は同棲になっても、かまわないけどなあ。ね、ひろくん。
おぼえてないか。』

は?ひろくん?ひろくんなんて、小さい頃言われたことない。。。

「わかんないか。20年以上まえに、、、、」

彼女が話している間に、思い出した。

私が新入社員時代、実家は父親が勤める会社の社宅に入っていて、向かいに幼稚園に通う女の子が引越してきた。

両親がお互いに勤めていたこともあり、世話好きの母親が良く女の子を預かっていて、私にも懐いてくれていた。
たしか、眞島優ちゃん。

全くわかるわけもないし、名字が、、

「所長が、転勤で実家でたあとね、
しばらくして両親離婚してね。
私は母親の名字に。」

まさか、あの優ちゃんが、

「でも、なんでまた、うちの会社に」

「それはさ、ひろくん、、あ、所長にあいたかったからさ。おばさんなくなるまで、私年賀状とか。メールしてね。たまにさ。だから、新東京工業大学いってさ、この、会社入れば逢えるかなって。
ね。」

そう話ささながら、珈琲をいれてくれた。
どういう意味か、自分はまだきづいてない。

すると、私のとなりにすわり、

「ね、昔はお風呂はいったじゃん。
今日から、また入ろ!」

私は、呑んだ珈琲を危うく、ふきだしかけた。
たしかに、小さい頃、お風呂に入った。

恥ずかしいからいやだったが、毎回彼女が入ってきた。
中で歌を、一緒に歌ったのを、思い出した。

ガタガタと、揺れだすと、ドン!としたから突き上げると、同時に電気がきれた。

「キャーキャー」

彼女が抱きついてきたと同時に電気が
切れた。
激しい揺れに、何か倒れる音。
時間にして、1分くらい、
全くなにもできない。

収まりはじめて、スマホの照明を照らすと、部屋の中は色々ひっくりかえり、
あしのふみばもない。

震える彼女に、重要なものを、もって、外にでようと。彼女を抱きかかえながら、
外にでると、周りの事務所などから人がでてきていた。
そのとき、誰かがさけんだ。

山が、、

明らかに、やみの中で土の匂いがしはじめてる。激しい地響きに、ただ彼女を抱きしめた。暫くして、ゆれもおさまり、車の中に。

時計は、23時。
とにかく、ここにいても危険なのは間違いない。

「ねぇ、大事なもの。もういちど自分のものを、1度部屋の中から、取ってこよ。避難するから。」

彼女の手を握り、2階に上がってバックに詰め込ませて、車に戻る。
廻りも、騒然とした中、とにかく高速の入口まで行き、富山方面に走り出した。
無料解放区間なので、誰もいない。
当然停電の中、トンネルに入る。
事故や火災も考えたが、あの場所よりはましなはず。

次のインターチェンジまで、8キロ近くはトンネル。非常電源で最低限の照明はついていた。

「怖い。死にたくないよ」

抱きつき、震えている。

「大丈夫なんでしょ?トンネルの方が安全なんじゃないの?」

正直不安だった。このトンネルは難工事で昔から落盤などがたえないことで、社内でも有名だった。














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