あの月夜から、何日がたっただろう。僕たちは、いつものとおり、普段の生活を送っていた。
まりさんは怒りを隠し、待さんは、釈然としないままの安定感のある暮らし、カナコさんは相変わらず疲れた暮らしを送っていた。
そして、僕はカナコさんに養ってもらいながら、カナコさんの愚痴や独り言を聴く毎日を送っていた。
夜は、月の光を浴びながら、僕達は音楽をよく聴いた。
彼女がクリスタルビーズにテグスを通し、一つずつ透明な世界を作っていった。
その間に、彼女達の世界は変わっていった。
まりさんは派遣の契約終了を言い渡され、本格的に仕事を探し始めた。カナコさんは、ついに体調を崩し、寝込みがちになった。待さんだけ、相変わらず頑張っていた。
まりさんから、職探しの話を聞きながら、カナコさんは未来への決意を固めていっているようだった。横たわって僕を撫でる指先に、着実に変化を感じ始めた。迷い、悩みが深まり、ここで契約終了したら、吹っ切れると言った。どうしようが彼女の勝手だけど、体の調子が気がかりだった。
秋の風が僕達を包み込む時、僕は皆の体に残った濁りを持っていってもらえないか願った。あまりにも、やりきれなかったから。
体の中からの綻びが、出てきている。長い間、隠していた痛み。三人三様の辛さ。
この痛み苦しみを新しい始まりに向けて、これらを新しい力に変えていけますように。
願う僕に、風は微笑んだ。大丈夫。あの人達は、立ち直るから。いや、今いる場所より高いところにいるわ…と。
まりさんは怒りを隠し、待さんは、釈然としないままの安定感のある暮らし、カナコさんは相変わらず疲れた暮らしを送っていた。
そして、僕はカナコさんに養ってもらいながら、カナコさんの愚痴や独り言を聴く毎日を送っていた。
夜は、月の光を浴びながら、僕達は音楽をよく聴いた。
彼女がクリスタルビーズにテグスを通し、一つずつ透明な世界を作っていった。
その間に、彼女達の世界は変わっていった。
まりさんは派遣の契約終了を言い渡され、本格的に仕事を探し始めた。カナコさんは、ついに体調を崩し、寝込みがちになった。待さんだけ、相変わらず頑張っていた。
まりさんから、職探しの話を聞きながら、カナコさんは未来への決意を固めていっているようだった。横たわって僕を撫でる指先に、着実に変化を感じ始めた。迷い、悩みが深まり、ここで契約終了したら、吹っ切れると言った。どうしようが彼女の勝手だけど、体の調子が気がかりだった。
秋の風が僕達を包み込む時、僕は皆の体に残った濁りを持っていってもらえないか願った。あまりにも、やりきれなかったから。
体の中からの綻びが、出てきている。長い間、隠していた痛み。三人三様の辛さ。
この痛み苦しみを新しい始まりに向けて、これらを新しい力に変えていけますように。
願う僕に、風は微笑んだ。大丈夫。あの人達は、立ち直るから。いや、今いる場所より高いところにいるわ…と。