言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

森をゆく

2020-11-14 21:59:33 | 言葉





ひとり
この道を歩く
つまずかぬよう転ばぬよう
立ち止まることの無いように と

振りかえれば

色褪せた季節たち
わたしをすり抜けていったひとたち
しあわせかなしみくるしみよろこびが
こちらに手を振っているのが見えるから

歩く あるく
迷いながらも 前へと

踏みしめる 噛みしめる
確かに生きている 今この瞬間を


帰りたい場所
愛したひと
求めるもの
掴めなかったひかり

すべてが

振り返れば すぐ
そこにあると知っている
だから今は背を向けて 歩く あるく
おそれながら追い求めながら 森の先へ さきへと







お越しくださるみなさま
または
はじめましての、あなたへ。

お読み下さり、ありがとうございました。

秋深まる地域にお住まいの方も、
冬が始まった地域の方も。
それぞれの「森」で、どんな景色に出逢いましたか?

しばらく多忙、体調を崩していたわたしは、
たくさんの季節の移り変わりを見逃してしまいましたが、
足もとに咲く乾いたモミジや、夜の静寂などから、
確かな季節を感じております。

寒くなると、やはり冬のうたが恋しくなりますね。



yu,


森の中

2020-10-19 23:25:47 | 言葉




静まりかえった
森のような
夜が
霞んでいる

外灯が落ちた場所には
あたたかな円がうまれて
ところどころが
虹色に光る

あと数時間で明けてしまう森を
やがて消えるやわらかな円を
ゆらり静かにたなびく霞を
壊してしまわぬように

指輪の頂点にある
ダイヤモンドにも似た
つかの間の輝きを
かき消してしまわぬように

静まりかえった
深い ふかい 森のような
とっぷりとした夜に潜む
かすかな温もりを

この身にまとって 歩いた















お久しぶりです。
いつもお読み下さり、ありがとうございます。

初めて迷いこまれた方にも、感謝を。


yu,










肌色モミジ

2020-09-28 00:26:25 | 言葉






秋ですね 
かさかさの肌色モミジが
ささやいています

今日はすこしだけ寒いから

ほぉ ふぅ
重ねたモミジのすき間を
あったか吐息で満たしましょう


ずっとそばにあった
夏のにおいや
にじむような暑さは
みんな みんな
いつの間にか
秋めいて―


白いウロコを見やり
つめたい陽射しを浴びて
歩く町からは懐かしい薫り

からだいっぱいに秋を浴びながら

すりすり と
ぬくもりが不足した
肌色モミジをこすり合わせるのです



















今日の価値

2020-09-26 22:17:53 | 言葉





どこかで見覚えのある今日が終わる
何日前に重なるのかさえ
もう思い出せないが
それでも良かった
と思えることを
喜んで良いのか
悪いのか

確かなことはひとつ、今日が終わる
「有意義な一日でしたか」
そう言われて泳ぐ視線の
定まるところは
上 下 右 左……
肯定と否定の
透き間

わたしの横を通りすぎた風に
舞うコスモスの
花にとどまり空を見つめる
トンボの視線にさえ気づかぬ日もあった

時の砂粒が詰まったのではないか
そんな心配を抱くほどに
なにも無く
ただ生きているだけの日もあった

その 繰り返し
その 連なりを
同じと思うのか
違いを見出すか
一日を濃いと感じるか
   薄いと嘆くのか

見覚えのある一日
何も無く終わる今日を
価値ある日だった
と言えるのは
この世でただひとり

そう 自分だけ

















スマイル

2020-09-20 22:55:56 | 言葉








それは花のようなもので

つぼみでいる時間が長い日もあるし

夜のほんの一瞬に綻ぶこともあるでしょう

あるいは気長に待たなければならないかもしれません


強いて咲くものではなく

同じ空を綺麗だと感じたり

独りではなく一人だと知った瞬間

すうっと息を深く吸った時

眠れることが嬉しい

食べるものが美味しい

服を着ることが楽しい―……


ありふれた日常の中で

生きていることを噛みしめている時に

それは咲くのです

自分でも気がつかないほど

しずかに やさしく 笑顔は綻ぶのです


つめたく暗い空の朝

時の流れが遅く気だるい真昼

理由も無くもの悲しい夜

深い眠りの森の中

たとえ いつ どこにいても


ヒトは わたしは わたし達は 咲くのです

















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生きているとあまりにも、いろんな事がありすぎて。
それは他人にしてみれば些細な事であって、
けれども当人にとっては、大事で。

笑えない日もある。
だからこそ笑ってやろうとも思う。
いつも上手に笑える訳ではありませんが、
笑う事で変わる、変えられるものは、確かにあるようです。

少なくとも俯く自分の心持ちだけは、
上向きに変えられるでしょう。
そう思うのです。