昨日ブログでも取り上げたように、ドビュッシーの作品を演奏したというファリャ。
スペイン色の強い作風は個人的な親交の深かったラヴェルやドビュッシーに影響を与え、そのほかシャブリエ、ビゼーなど多くのフランス人作曲家に影響を与えスペインブームを巻き起こしました。
日本ではとりわけ三角帽子などのバレエ作品がよく演奏されますが、今日はスペインならではの伝統芸能、日本で言うと人形浄瑠璃のような「マリオネット」を取り上げた作品「ペドロ親方の人形芝居」をご紹介します。
歌劇『ペドロ親方の人形芝居』
このDVDは衣装や演出も素晴らしく、アルハンブラ宮殿やグラナダで収録されています。
デ・ラローチャの演奏するスペインの夜の庭(ファリャ)、ぺぺ・ロメロの演奏するアランフェス協奏曲(ロドリーゴ)なども収録されていて盛りだくさん!!
演奏はモントレアル/シャルル・デュトワさん指揮です。
《ペドロ親方の人形芝居(西語:El retablo de Maese Pedro)》はマヌエル・デ・ファリャManuel de Falla(西1876年-1946年)が作曲したオペラ。
原作:ミゲル・デ・セルバンテスMiguel de Cervantesの「ドン・キホーテ 第2部26章」よりファリャ自身が台本を執筆。
演奏時間:約30分
楽器編成:フルート1、オーボエ3(EH)、クラリネット1、ファゴット1、ホルン2、トランペット1、鉄琴、銅鑼、クラヴサン、ハープ、弦楽五部。
1919年にパリのポリニャック侯爵夫人から、自宅サロンで上演できるような人形劇のための音楽を依嘱により作曲され、1923年3月23日にセビーリャで演奏会形式で上演された後、同年6月25日にパリのポリニャック侯爵邸にて(ウラディミール・ゴルシュマン指揮、ワンダ・ランドフスカのクラヴサンにより)公式の初演が行われました。
時代設定と場所:中世、ラ・マンチャ(アラゴン)
☆歌手の配役
口上語り/人形芝居の口上を述べる少年 El Trujaman(B-Sop)
ペドロ親方/人形芝居団の親方 Maese Pedro(Ten)
ドン・キホーテ/人形芝居の観客の一人Don Quixote(Br)
その他 人形芝居を観に来た人々
人形たち
☆あらすじ
前口上 Pregón
人形芝居団の親方ペドロが前口上を述べる
「これより世界一素晴らしい人形芝居、捕われたメリセンドラ姫の救出劇をご覧に入れましょう」
人形芝居の舞台が組まれた馬小屋に、観客が続々と集まってくる。
ペドロ親方のシンフォニア(序曲) Sinfonía de Maese Pedro♪
そこへドン・キホーテが現れ、ペドロ親方に促され特等席で観覧。
観客が揃ったところに口上語りの少年が登場
「これからご覧に入れます物語は、フランスの史実に基づくもので、ドン・ガイフェロスという騎士が、ムーア人(モーロ人)に捕われの身となったメリセンドラを助け出す..というお話です。」
(以降人形芝居は、全てこの少年の口上のみで内容が語られていく)
第1場:シャルルマーニュ帝の宮廷 Corte de Carlomagno
騎士ドン・ガイフェロスはドン・ロルダンとチェスに熱中し、モーロ人に連れ去られる妻メリセンドラのことなど全く気にとめない。
♪美しい宮廷舞曲が流れる。
メリセンドラの父であるシャルルマーニュ皇帝(フランク王国カール大帝)は
「自分の妻さえ助けられないようでは、騎士の恥だ」と頭を杖で殴る
ドン・ガイフェロスは、ドン・ロルダンに彼の名剣を借りて、武装し妻の救出に向かう
第2場:メリセンドラ Melisendra 、 マルシル王の宮殿(サンスエニャ)
♪メランコリックな音楽が流れる
捕われの身となったメリセンドラが、お城のバルコニーから祖国フランスに思いを馳せ嘆いている。
そこへ美しいメリセンドラにひとめぼれしたモーロ人が影から現れ、いきなりキスをする。
驚いたメリセンドラは、大きな叫び声をあげ、偶然その場を目撃したマルシリオ王(イスラム帝国王)がそのモーロ人を捕え、処罰場へ連行。
口上語りの少年が、「モーロ人は検証の余地なく処罰はすぐに行われる」と言う。
すると、ドン・キホーテは現実とお芝居の世界が交錯し、すでに物語の中に完全に入り込んでしまっているので「証拠なしに処罰などできるはずがない!」と野次を入れる。
慌てたペドロ親方がその場を取り繕い、少年の語りとお芝居は続けられる。
第3場:お仕置き La Persecución 、サンスエニャの広場にて
そのモーロ人は、街の広場でムチ打ち刑となる。
そしてすっかり意識を失ってしまったモーロ人を、兵士たちは引きずっていく。
第4場:ピレネー山脈 Los Pirineos
メリセンドラの夫ドン・ガイフェロスは馬を走らせ、捕われた妻を助け出すためにサンスエニャの町へ向かう。
妻メリセンドラのいるバルコニー前に辿り着いたドン・ガイフェロス
メリセンドラは、騎士を見つけると、夫と知らずに、
「旅人よ、もしフランスへ立ち寄ることがあるならばドン・ガイフェロスという騎士をおたずねください」と言う。
その旅人が兜を取ると、自分の夫ドン・ガイフェロスが現れメリサンドは喜ぶ。
第5場:逃亡 La Fuga
ドン・ガイフェロスはバルコニーから飛び降りるメリセンドラをしっかと抱きとめ、馬の背に乗せ一路フランスを目指す。
第6場:追跡
口上語りが「メリセンドラの逃亡に気付いたマルシル王は、兵を出し鐘を鳴らした。」と述べると
またドン・キホーテが「モーロ人は鐘など鳴らさぬ!」と野次る。
ペドロ親方が慌てて出てきて「芝居というものはでたらめなもの。皆さんが喜んでくださればいいのです。」となだめる。
終幕 Final
逃亡する夫婦二人を追う兵士たちの芝居を見て、今度はドン・キホーテは自分も剣を抜き、兵士たちをくい止めようと人形相手に斬りかかって大暴れし、ほとんどの人形を壊してしまう。
商売道具の人形を壊されてしまったペドロ親方は、「止めてください」と懇願するが、ドン・キホーテは一顧だにせず、そして人形のドン・ガイフェロスと妻メリセンドラに「ご安心くだされ。追手は全て倒しましたぞ。我こそはドン・キホーテなり!」と名乗る。
あきれ果てる客たちに気付いたドン・キホーテは、ボロボロになった人形たちを見て我にかえるが
「これが真の騎士道というものなのだ~!」
と古えの勇士たちの名を連ね始めた。
観客たちは呆れて帰り、取り残されたペドロ親方はガックリと肩を落とす。
その傍ら、ドン・キホーテは、いつまでも闘志に燃えているのでした。
おしまい
とっても面白いので、いつか演奏できたらいいなぁと夢見ています♪
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