傍聴絵日記

@さいたま地裁傍聴席

偽造(変造)免許証で海水浴

2014年10月30日 | 刑事事件
平成26年(わ)第1084号 

牧野 哲也 

道路交通法違反、有印公文書変造、同行使

【概要】
仮免に合格出来ず、免許取得を断念した被告人は両親には「運転免許を取得した」と告げ、日頃から自宅の車(父親名義)で無免許運転を繰り返していました。

事件当日、鎌ヶ谷市在住の友人女性と海水浴にいく予定だったところ、寝坊のため外環道を制限速度を37キロ超過する117キロ毎時で走行し、速度超過で交通取り締まりを受けました。
変造免許証を提示して、反則切符の交付を受け、一旦解放されました。

その後、予定通り友人と館山へ海水浴へ行くが、その間に警察では被告人の無免許運転が発覚し、海水浴から帰宅後に警察署に出頭しました。(当日走行距離約248km)

【免許証】
平成21年教習所で普通免許取得を試みるも、仮免許になかなか合格出来ず断念しました。
(教官と折り合いが悪かったと弁解しています。)
費用を負担した両親から免許取得の事を問われるので、翌平成22年に「原動機付き自転車免許」を取得し、これを改ざんして「変造普通運転免許証」を作成し、父親名義の車で日常的に無免許運転の犯行を繰り返していました。

免許更新時には、変造免許証を示す事が出来ないので,紛失したと虚偽の申告して再交付を受け再度の変造行為に及んでいます。つまり、有印公文書の変造行為が常習的とも言えます。(少なくとも2回は犯行を実行しています)

普通、無免許運転だけなら家宅捜索されることは無いと思いますが、被告人の場合カッターやニッパーが自宅から押収されています。突然の家宅捜索にご近所さんはさぞビックリした事でしょう。

【動機】
両親に免許証の事を問われたので、変造行為に及んだと弁解していますが、無免許運転をする理由ではありません。仮免許すら合格出来ない拙い運転技能で公道走行する正当性が見当たりません。

変造免許証を両親を納得させる為だけに使用し、無免許運転には使用しないで、そのあいだに運転免許取得に向けて再度教習所に通うという発想は無かったのでしょうか。(これなら捕まる事は有りません)
しかし、その様な努力をした様子も有りませんから、ずっと無免許運転をするつもりだったのでしょうか。

【証人】
情状証人である父親(教育コンサルタント)の証言から
3人兄弟の末っ子である被告人は優しい性格故に辛い事から逃げる傾向が有ると性格を分析しました。
最初の変造行為の頃、大学の出席単位が足りなくなり通知が来たそうです。
本人は大学とは別の進路(調理関係)を希望して悩んでいたと述べますが、この時期の被告人は大学も教習所も中途半端で一体何をしていたのでしょう。
大学中退後、たいめい軒に就職した被告人は本件事件で拘束され、自主的に勤務先を退職しました。在職中は仕事が多忙で、プライベートな時間が取れなかったと言いますから、この為に教習所に通えなかったのかもしれません。

【疑問】
(警察)
交通取締りで免許証の照会が現場で行われていないこと。
変造免許に警察官が直ぐに気付かないこと。(汚れには気付いていたと述べていますから,なぜ照会しないのが増々不思議です)
無免許発覚後に更なる無免許運転を容認している事。(海水浴場迄でも検挙に行くべき?)
(被告人)
無免許運転が発覚し、警察から電話連絡を受けた後も、最寄りの警察に出頭していません。
海水浴からの帰路も犯罪を犯している意識が極めて希薄だった事。
免許証の変造に費やす労力を教習所に向けられなかった理由。
そもそも、最近の教習所の教官は優しいと聞きますが違うのでしょうか。

【求刑】
懲役2年

被告人には特に前科が無い様ですので、実刑判決の可能性は極めて低いと思いますが、自由刑判決は不可避と考えます。無免許運転だけならば、罰金刑以下の可能性も有り得たと考えます。
本件で運転免許証を偽造した事によって、正規の手段での普通免許の取得は更に困難になるでしょうし、これからの多大な不自由を考えるならば、きちんと運転免許を取るべきでした。(と言うより、まだ免許取得するつもりの被告人にビックリです。)

事故やけが人が居なかったのは幸いです。

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