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傍聴絵日記

@さいたま地裁傍聴席

高齢運転者の右折死亡事故(さいたま市)

2016年07月07日 | 刑事事件
平成28年(わ)第662号 

稻川 龍男  

過失運転致死

【概要】
信号のない交差点を右折する際に横断歩行者を見落として、接触事故を起こした高齢運転者。

連休前の為に(銀行等の支払いに行こうと)急いでいたので、横断歩道に気付か無なかったと弁解します。

【証人】
被告人の長男が情状証人として被告人の監督を約束しますが、被告人が運転免許証の再取得を容認する意向の様です。
被告人は現在も大工として稼働していますが、道具や資材の運搬に自動車が必要だと訴えます。行政処分で運転免許が取り消しになっている間は、家族が協力して運転を代わるがそれぞれに仕事が有るので、被告人に再取得させると言います。
被告人は聴力に問題が有る事は本人も自覚していますし、法廷内の誰の目にも明らかです。安全な運転の為に必要な身体的条件(この場合は聴力)を満たしていない様です。
証人はその点を判事に指摘されると、「別に大きな音でラジオを聞いている訳ではないので大丈夫です」と答えますが、全く質問の意図を理解出来ていない様です。

被告人は日常生活に於いて補聴器を使用していない様ですから、運転時に音によって異変(危険)を察知する事が出来ずに、本件事故の回避に少なくない影響が有った可能性が伺えます。
少なくとも、私の目には運転業務に関して不適格に見えます。
高齢になって、未だ現役で仕事をする姿勢は立派ですが、自身の晩節を汚さない為にそろそろ引退を含め検討する必要が有る様です。可能であれば仕事の調整で対応出来ないのでしょうか。

【判決】
禁固1年8月、執行猶予3年(求刑、禁固1年8月)訴訟費用被告人負担

【私感】
安全の為、日常生活でも補聴器の装着をお勧めします。


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