浦和学院野球部元コーチの飲酒死亡事故２（浦和区）

平成２７年（わ）第１８３５号

片桐 淳

危険運転致死、道路交通法違反

【概要】
ブラックな職場で鳶職として稼働していた被告人が常習の飲酒運転の末居眠り運転で自転車を巻き込んだひき逃げ死亡事故です。

【パチンコ】
高校卒業後、警察官、自衛隊員等希望の進路に有利との理由で国士舘大学に進学しますが、パチンコ、スロットなどのギャンブルに熱中するあまり、単位が足りなくなり、大学を中退しています。

その後、大学在学中にアルバイトをしていたつてで、母校の浦和学院で野球部のコーチとして働く事になりました、コーチを経て将来的には正規の学校職員としての雇用を約束されていたと言いますが、野球部の寮長職に付くと「自由時間が少ない」こと等を理由に６ヶ月程で辞職しています。
自由時間が無いと言いつつも、買い出しに行った時間の合間に学校側にバレない様にこっそりパチンコに通っていたと言いますから、真に足りなかったのは、パチンコをする為の時間だったのではないかと思えてなりません。

【情状証人】
被告人の父親が証言します。
（被告人は）反省していると思いますか？の問いに「反省していると思います」と答えますが、前日の目撃者の証言と全く異なる不合理な弁解に終始する被告人に、同じ感想を抱いた人は法廷には居ないと思われます。
証人の弁によれば、被告人が酔って駅で保護された事があったと言いますから、被告人は節度有る飲酒が出来なかった様です。

被害者遺族から、証人が日テレの「すっきり」のインタビューに応えた時の事を問われると、「おぼえていません」と、考える素振りも見せずに即答します、被告人共々真摯に対応しようとは毛程も思っていない様です。
「飲酒運転は今回がはじめてだと思う」とインタビューに飲酒運転の常習性を否定する発言をする一方、遺族への謝意が感じられなかったと遺族は憤っています。
確かに法廷でも、それは感じます。被告人父はのそのそっと証言台に移動して、被害者遺族に一礼しません。（義務とは言いませんが、人として最低限すべきかと思われます、後の被告人質問での被告人も同様です）

被告人の借金がいつのまにか手に負えない程増えていたと述べる一方で、問題を解決しようと何らのアクションを起こしていません。
（事故以前も、フナコシと頻繁に飲み歩いていた様ですから、無くなる筈の借金も増えて当然だと思うぞ）

【被告人質問】
飲酒運転を始めた原因を問われると、フナコシに誘われる以前にも他の友人が飲酒運転する姿を看過して、罪の意識を感じなくなっていたとも言います。

謝罪文の受け取りを遺族に拒否された事から，謝罪の気持ちを公判の場で被害者遺族に伝えなければならない、との思いを抱いて公判に望んでいると言いますが、件の謝罪文は母親宛も妹宛もほぼ同じ内容だった様です（遺族側弁護士の弁）。

犯行当日飲酒運転を開始するにあたり、駐車料金を踏み倒した糞野郎です。もうこの辺りで規範意識の麻痺具合が充分伺えます。（駐車場に向かうまでは払うつもりで居たと弁解します）

犯行当日の同乗者フナコシの裁判を被害者遺族は傍聴していました。
そのなかで、「ごめん、自転車とぶつかった」と被告人がフナコシに話したとするフナコシ証言を引用します。本法廷で被告人は、自転車には気付かなかったと、ぶつかった事も、車両の後ろに自転車が倒れていた事も気付かなかったとの弁解に終始しています。
遺族によれば（ソース失念）、被害者の遺体を目にして、「うわー」と何度も声を上げていたと言います。それもそのはず、被害女性の遺体は右足は太ももから切断され，内臟がはみ出していた様ですから、思わず口をついて出たその声も納得出来ます。
被告人車両に後ろから追突された被害者はフロントグラスに後頭部を激しく打ち付け、その後被告人車両と街路灯の支柱に挟まれた様です。

「本当の事を話していますか」との遺族の問いに「はい（怒）」と不貞腐れた子供の様に一際大きな声で即答します。ああ、（先述した）父親とそっくりだ。（ですから駄目親からの監督は期待出来ませんね）
「反省していますか」との問いに対してもも再度同様の返答ですから、思わず心の中で色々と突っ込んでしまったぞ。

【元気があれば追記します】

【私感】
法廷での不合理な弁解は、遺族感情を弄び、被害者の死の尊厳を蔑ろにする、卑劣な行為です。

【求刑】
懲役１２年

【弁論】
懲役７年が相当と述べます。