安倍晋三 首相
「渡していないのは証明しようがない。いわば悪魔の証明だ。籠池氏らが出してきたものが本物だったか、しっかり検証されるべきだ」
共同通信 3月28日
名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。国有地の格安払い下げ問題に端を発し、安倍昭恵首相夫人の関与、籠池泰典理事長の証人喚問など、国民的関心事となった森友学園問題。今週は籠池氏が公の場所に登場しなかったこともあって、ややトーンダウンした格好。
森友学園問題について野党からの追及を受け続けてきた安倍晋三首相だが、28日の参院決算委員会で民進党の斎藤嘉隆議員から籠池氏が証言した昭恵夫人からの寄付について否定する根拠をただされると、「民進党の辻元清美氏にも同じことが起こっている」と反論してみせた。
これは28日、産経新聞が報じた辻元氏に関する「3つの疑惑」について語ったもの。正直なところ、なぜここで辻元氏が引き合いに出されるのかがよくわからないのだが、ネットは民進党と辻元氏への批判で非常に盛り上がった。辻元氏の疑惑を報じた産経新聞政治部長の石橋文登氏も「蓮舫氏の『二重国籍』疑惑も含めて今後も政界の疑惑は徹底的に追及していきたい」(産経新聞 3月31日)と意気上がる。
また、ここで安倍首相が切り札にしているのが「悪魔の証明」という言葉だ。自分が昭恵夫人の疑惑を否定する根拠を示すなら、辻元氏も自身の疑惑を否定する根拠を示してみなさいよ、ということなのだろう。安倍首相は「悪魔の証明」という言葉が好きなようで、3月1日の参院予算委員会で共産党の小池晃氏からの質問に対しても「悪魔の証明」と切り返している。
安倍首相は「悪魔の証明」で逃げ続けることができるのか、それとも新たな展開が待っているのか。まだまだこの問題からは目が離せない。
飯間浩明 日本語学者
「『忖度』という言葉が汚れてしまった気もしますね」
BuzzFeed Japan 3月29日
森友学園問題で一躍注目を集めたのが、「忖度(そんたく)」という言葉だ。籠池氏は会見で、土地取引のスピードが上がったのは「忖度」があったからだと語っている。昭恵夫人の秘書に問い合わせたのをきっかけに、財務省の官僚たちが夫人の意向を「忖度」したという主張だ。また、松井一郎大阪府知事は日本維新の会の党大会で「忖度には、悪い忖度といい忖度がある」(THE PAGE 3月25日)と発言した。
辞書編纂者で日本語学者の飯間浩明氏は「もともと忖度に良いも悪いもなかった。ただ人の心を推測するってことですから」と説明するが、一方、「『忖度』という言葉が汚れてしまった気もしますね。これから『もっと人の心を忖度しなさいよ』と言うと、悪いイメージになるかもしれない」とも述べている。今後、自身が編纂する三省堂国語辞典に「役人が政治家の考えを忖度する」という例文を付け加えることも検討するという。
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文科省担当者
「パン屋がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りないため」
朝日新聞 3月24日
「パン屋」は「和菓子屋」に、「アスレチック」は「和楽器店」に。多くの人が唖然とした小学生向け道徳教科書の検定結果。いずれも文科省が道徳教科書の検定で「学習指導要領の示す内容に照らして、扱いが不適切」だと指摘し、出版社が改めたものだ。
これまで道徳では教科書ではなく副読本が用いられてきたが、2018年度からは小学校で教科書が使用されることになる。そのための教科書検定の結果が「和菓子屋」や「和楽器店」への変更だった。文科省が直接変更を指示したわけではないが、教科書作りにより積極的に関与しようとする姿勢を示したものだろう。
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