【ワシントン時事】オバマ米大統領は28日、安倍晋三首相を国賓待遇で歓待、共同記者会見に応じなかった2年前とは様変わりの対応を見せた。大統領の姿勢の変化には、同盟強化に動く首相への評価に加え、この2年間で中国への警戒感が高まったことがある。
「日米、和やかに」と俳句披露=安倍首相との夕食会で「ようこそ」「おはようございます」「(若者に人気なのは)空手、カラオケ、漫画、アニメ、絵文字」。大統領は28日、ホワイトハウス南庭で開かれた歓迎式典で、片言の日本語を織り交ぜたあいさつを披露し、首相を温かく出迎えた。
執務室に移った大統領が「桜が散って残念だ。ワシントンの桜は日本からのプレゼントだ」と切り出すと、バイデン副大統領が「(日本からは)野球選手も来ている」と引き取って笑いを誘い、首脳会談は打ち解けたムードでスタートした。
27日にはボストンから到着したばかりの首相を大統領専用車に乗せてリンカーン記念堂に連れ出すサプライズも用意。両首脳はその際、通訳を交えず会話を交わした。大統領は28日の共同会見で「リンカーンは、衝突の後は和解がなければならないと信じていた。首相はかつての敵が最も近い同盟国になれることを思い出させてくれる」と強調した。
首相がホワイトハウスを前回訪れたのは、自民党が政権に返り咲いてから間もない2013年2月。関係筋によると、当時、リベラルなオバマ政権内部には保守色の強い安倍政権に対する不信感が漂っていた。ホワイトハウスや国務省には、日本より中国を重視する意見もあった。
その空気を一変させたのは、中国が13年11月、東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定したことだった。その後、中国が南シナ海での挑発行為を加速させると、中国への警戒感が拡大。これに伴い、日本との協力強化が必要だとの声が急速に高まったという。
ローズ大統領副補佐官は首相訪米を前に「(アジア重視の)リバランス(再均衡)の要は同盟国との関係。日米同盟は同盟・友好国ネットワークの中心だ」と言い切った。(2015/04/29-14:44)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます