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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「善徳女王」第33話

 新国の国号シルラ(新羅)はチンジ王が定めたもので先のチヌン大帝は、シルラ(新羅)という国号はファラン(花郎→硬軟兼備の武人たち? ちょっと花の慶次<傾奇者のあつまり>みたいなところがある)の三つの意味である、とおっしゃった、それを調べよ、というものであった。
 ユシン、アルチョン、トンマン王女らは集まってその解読を始める。
 そして、一つ目は「武力の増進」。二つ目は「新興勢力の育成」と解く。しかし、三つ目でつまづく。
 トンマン王女はふと、ムンノの投げかけてきた問いを思い浮かべる。
「王とは何だとお考えですか?」
(第32話より)

 シルラ(新羅)という国名の持つ意味の解読を進めるトンマン王女とユシンは、細筆という言葉から、チンジ王の遺品、ソヨプ刀にたどりつく。虫眼鏡で覗いてみると、はたして刀の柄には「徳業日新、網羅四方」と細かい文字で書き付けられてあった。さらにユシンは「三韓一」まで文字を読み取り、トンマン王女と目を見合わす。
「徳業日新、網羅四方の意味するものは・・・三韓一統です」
 ユシンは叫んだ。
 二つ目のピジェ合格裁定の日がやってきた。
 円卓の座に顔をそろえたファランらの前に、ムンノが最後に登場して裁定が始まった。
「ふたつ目のピジェはシルラ(新羅)の国名が持つ三つの意味だった。調べたか」
 誰も答える者がいない。ムンノは怪訝そうにみなを見回した。
「どうなのだ」
 ソクブムが口を開いた。
「恐縮ですが、二つしか意味がわかりませんでした」
「そなたは」
「私も同じです」
 目を向けられたイムジョンもソクブムに話をあわせた。
 トンマン王女は隣席のミシルをにらみつけた。彼らはミシルの指示に従っていたのだ。
 三つ目の意味を知った者は誰もいないのか、と訊ねるムンノにみんなは黙りこくっている。
 ミシルはしたり顔で言った。
「今回のピジェは誰も正解者がいないようです」
 ムンノがあきらめかけたところにユシンが朗々とした声で切り出した。
「徳業日新、網羅四方」
 ムンノが振り返ると、確信にみちた声で続けた。
「徳業日新の新、網羅四方の羅です」
 ムンノの顔に喜悦が浮かび出た。
「そうだ、それだ。お前が正解をあてた。して、その意味は」
「国家の大業、日々新たにし、地方を網羅しろとのことです」
「ならば、その言葉の持つ真偽は何だ・・・その言葉の持つほんとうの意味は何だ」
「そこまでは考えませんでした」
 これで、二つ目のピジェはユシンの勝利となった。

 ユシンの勝利を報告してうれしそうなチュクバンの言葉を受けて、じつは私もみんなみたいに小躍りしたいけど、耐えてるんです、とトンマン王女もお茶目に喜びを表す。
 庶民王女の面目躍如の場面だ。王女様、とそれをたしなめるソファ。
「いいじゃないですか。私と王女さまは仲よしなんですから」
「それでも」
 王女たるもの、お行儀を悪くしてはいけない、と言いたげなソファに、チュクバンはほっとした表情を覗かせる。ソファを見つめて言った。
「だけど・・・もう言葉も話せるし、おきれいになってよかったです」
 二人のやりとりをほほえましそうに見やるトンマン王女。
 ちょっとはにかむような仕草をするソファ。あれれっ? 二人の間に微妙な空気が流れてるぞ。
 トンマン王女に従い、そのままプイと行ってしまうかに見えたソファは、途中でチュクバンの方を振り返ったではないか。こんなとこでソファとチュクバンの間に恋が発生か(ちょっぴりユーモラスだ。すると、お互いはそれぞれの場所に戻っていく、というようなチルスクとソファのやりとりはきちっとした別れ話だったんだな・・・)? 

 ユシンに一勝を持っていかれ、ふんまんやるかたないミシルとその取り巻き。
 結局、真偽のほどはわからなかったのでしょう、というミセンに、ミシルは言った。
「いいえ、トンマンもユシンも答えの意味を知っています」
「どうしてそれを言わなかったのでしょう」
「答えを知っても口にはできないと言ったでしょう」
 そう言って、考えに沈むミシル。
(トンマンに指導するつもりか。それともトンマンが大義にふさわしくないと分からせるつもりか。ムンノはいったい何を考えている・・・)

 一方、トンマン王女はムンノを訪ねていた。ムンノのそばにはピダムが立っていた。
「徳業日新の新、網羅四方についてお話があります」

 ユシンは両親にピジェの結果報告を行っていた。
「何だと! その意味を知っている? ならどうして言わなかった」
「どうしてだ。いったい何なのだ」
 息子の胸の内をいぶかるキム・ソヒョンとマンミョンであった。

 画面の繰り替えがあり、トンマン王女とムンノの場面に戻ってくる。
「そのせいですか。私が王になるのを反対する理由は。私がシルラ(新羅)の王の役目を果たせないと思うから」
「はい」
「私が女だから」
「おそれながら、その通りです」
「女の能力を認めることができない」
「そうではありません。ミシルの力を見ていれば、女の能力を軽んじることはできません」
「ならば」
「大業をなせるような何かをお持ちですか」
「私は大業をなすために個人的な野望を持っています。ミシルは自身の個人的な野望とシルラの大業を一致させることはできません。生まれつき宿命と大業をなす使命を持つソンゴル(聖骨)ではないから。・・・そうです。私はソンゴルです。ですが、そんなものは重要ではありません。私にとっては大業をなすための最初の道具であるというだけ」
 ピダムは目元をピクピクさせている。トンマンの言葉にいちいち感応している演技だが、見る者には彼の野望のうねりが感じられて面白い場面を作り出している。
「ムンノ公がいま判断なさることは、何をやるかということです。王権の強化ですか。貴族勢力の強化ですか」
「もちろん、王権です。しかし、女王には反対です」

 ユシンも両親を相手に説いている。
「鳥の鶏冠か、龍の爪か。我々は龍の爪にならねば」
「影の存在に徹しろということか。クヘ王がそう選択したように」
「あらゆる誘惑に打ち克ち、彼らよりは上に立ち、王よりは下でなければ」
「しかし、王女と結婚すればお前が王になるのも夢ではない」
「カヤ出身の私が王になれば、シルラの貴族はみなミシルの味方につき、反乱を起こすでしょう。つまり、カヤ系とシルラ系の内戦に・・・」
 考えに沈む父、ソヒョン。
「徹底して王女様の補佐につき、王座につけるのが我々の進む道です」
 シルラの国を思って、トンマン王女との恋を捨てたユシンの言葉には堅固なるものがあった。

 再び、トンマン王女とムンノ。
「王女様。いままで一度も女王が出ていない理由をご存知ですか」
「・・・」
「王室における権力争いを防ぐためです。そうなると、婿の座を狙う権力争いも激しくなります。いいえ、女性が王になるというだけでも貴族たちの反発は相当なはずです」
「・・・」
「そのような紛争と分裂した国論の中で大業をなしとげる。それができるのなら、王女様がするまでもありません。歴史上稀に見る女性政治家のミシルがいます。彼女がやるでしょう」
「ミシルにはできません」
「なぜです。ミシルはソンゴルではないから」
「いいえ。ミシルには夢がないから。ミシルは王になる能力はあっても、王を夢見なかったゆえ、その座につくことはできません。夢を持つ者だけが計画を立て、方法を見つけだします」
 感銘を受けているらしいピダム。
「紛争と分裂した国論をどう解決するのか。ムンノ公が、私が王になれないとおっしゃる三つの理由、それを使います。その一、怒り。私の怒りでミシルに虐げられた者の怒りを鎮めます。その二、ソンゴルという私の身分で貴族たちを制圧します」
「それから・・・」
「私が不可能な夢を持つように、シルラにも不可能な夢を持たせます」
「それは何ですか」
「希望です」
 ピダムもつぶやく。
「き、ぼ、う・・・」
「シルラ人なら、もののふなら、ファランなら、すべてをかけて身を投じたくなるような、そんな希望・・・」

 トンマン王女からムンノ、ピダム、ユシンと顔画面が切り替わっていき、いちばん美味しいところをユシンが両親に説いている。
「三韓一統・・・これだけが私とカヤ、王女様とシルラ、みなが生きる道です」

 そこから再びトンマン王女とムンノ、ピダムの画面に戻り、トンマン王女も説いている。
「三韓一統・・・その希望を、私や貴族や民たち、みなに抱かせるつもりです」
「・・・」
「広い領土と今よりもっと豊かに暮らせるという、そんな希望です。それが徳業日新、網羅四方の真意ではないですか」

 必ずプンウォルジェになると誓うユシン。
 亡きチョンミョン王女に、私にできるかな、と問いかけるトンマン王女。
 トンマン王女とムンノをやりとりを聞いたピダムにも三韓一統に向けての大望が開きかかろうとしている。自分の生きてきた道を静かに顧みるピダム(自分にもひょっとするとそれをになう資格があるのではないか・・・というような)。
 ピダムは自分の出生について知るため、ムンノに内緒でひとりトギル寺を訪ねていく。使いだと偽って書庫に入り込む。そこで二通の書状を見つける。
 一通目は人明(徳曼)の生年月日。
 二通目は烔宗(ピダム)の生年月日。
 一通目を見た時は、何だこれ? の顔をしていたピダムだったが、二通目の烔宗という名を見た後、ふと、ソファがムンノに、自分と王女を結婚させたくなかった、と言っていた言葉を思い起こす。
 武術に励むユシン。配下の地盤固めも着々と進んでいるようである。しかし、ユシンに忠誠を誓うウォルヤも彼の真意は伝わっていないようである。
 トンマン王女の前に現れたピダムからは、すでに最初の頃の無邪気さは消えているようである。トンマン王女に誕生祝いだと言って摘んできた野花を差し出すが、その魂胆はトンマン王女の誕生日を確かめるためだった。小賢しい知恵は、さすがミシルゆずりというところか。
 そして、烔宗を調べたピダムはチンジ王とミシルの間に生まれた子であると知り、それがどうやら自分であるとも気付いたようである(ミシルとのやりとりを見る限り、九分九厘)。
 どうやらミシルもまたそれを感じたようである。
 ミシルとのお目通りを終えたピダムはつぶやく。
「ミシルが母親なのか・・・」
 一人でトギル寺にいき、秘密にしていた書状を見たピダムを叱り付けるムンノ。
 自分の予定調和の世界しかない師匠ムンノに反発して部屋を飛び出していくピダム。
 トンマン王女のもとへ行き、王女さまのお望みどおりにしてあげます、ユシン殿はプンウォルジェになるでしょう、と申し出るピダム。その表情には悲壮な決意が感じられた。
 亡きチョンミョン王女の前で、最後のピジェについて報告するトンマン王女。トンマン王女はピダムの言った言葉が気にかかっていた。
「王女さまのお望みどおりにしてあげます、ユシン殿はプンウォルジェになるでしょう」
 
 最後のピジェの舞台に、ピダムが登場してきた。
「何のようだ」
「このピジェに私も参加します」

「何だと! ピダムが!?」

 風雲急を告げてきた感じだが、このところ議論の場ばかりが続いた。ここらでファランたちが思い切り、武を競う姿を見たいものである。次回はピダムがカッコいいところを見せてくれそうな雰囲気だ。肩がこったところをほぐしてくれると期待しよう。
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