甥っ子の音楽活動

　世界は狭くなったものだ。世界の裏側もすぐそこにあるようなものである。つくづくそれを感じる。
　カナダから音楽活動する甥っ子の報が届いた。
　インターネットでダウンロードした彼の音楽を聴く。ヘビメタまでいかないかもしれないが、ハードロック音楽であった。聴いてびっくりした。ボーカルの歌唱力が物凄いからである。留学生連中の日本人や韓国人らによる混成バンドだと聞いていたから、正直、趣味のグループに毛のはえた程度だと思っていた。
　その程度の感覚で聴きはじめたわけだった。
　このグループにエージェントがつき、最後にスカウトされたのは甥っ子だったようである。甥っ子のギターは趣味程度のはずだったが、カナダに留学してから相当打ち込んだのであるらしい。でないとエージェントがつくようなバンドメンバーの一員になるはずがない。
　どうやら親に聴かせてもいいと周囲から言われて、妹に連絡を寄越したようだ。向こうにいったまま連絡を寄越さないと妹は嘆いていたが、こういうことであったらしい。
　九月頃に日本に戻ってきて本格的に活動を始めるときいた。
　ともかく音楽を聴いてみた。
　楽曲はすべて英語バージョンだから、僕にはどのレベルの仕上がりなのかは正直わからない。あるいは、向こうではゴマンといる中の一バンドに過ぎないかもしれない。
　ただ、演奏レベルも大したものだが、それにも増して女性ボーカルの凄さは群を抜いている。日本においてなら、トップクラスの歌唱力だろう。これほどの声量、これほどのテクニックで歌う歌手を見つけようとしてもすぐには思い浮かばない。かつて「ボヘミアン」という歌をうたった歌手に似たハスキーボイスの声で、高音も凄く伸びる。
　女性歌手だから容姿や顔が男として気になるが、妹の説明によると美人だそうである。
　甥っ子はベース担当だと聞いた。
　母親である妹ならずとも、伯父である僕も甥っ子らどういう活動にするのか今から楽しみではある。