日日不穏日記gooブログ版

“わかりやすい”と“本当にわかっている”の間

 いわゆるこういった薀蓄系の文章をたくさん書いていると「博識」だの「奥が深い」などと言われたりする(自分で書くなよ)が、そんなことはない。書いてることは隙だらけ、間違いの連続であって指摘されない事実誤認などいくつあるかわからんのだ。本当に怖い怖い。ただ、当たり前のように書いていることが、実際には自分がよくわかっていないという程度の自覚はある。例えば発がん性。この欄では食品添加物のアカネ色素について触れたものの、じゃあ発がん性そのものの定義をきちんとわかっているのか?リスク評価がどのように行われているのか?ガンリスクの中で食品添加物はどのくらいの位置を占めるのか?そうした「基礎」を踏まえて書いているのか?と問われれば俺の理解力はなはだ心もとないレベルなのだ。アメリカにおける原因別ガンの割合でいうと食生活35%、タバコ30%・・・アルコール3%で食品添加物はたったの1%というデータもある(ビヨルン・ロンボルグ『環境危機をあおってはいけない』文藝春秋/P.370)。ガンの原因の一番は添加物じゃなくて食生活なのだと。ロンボルグは「脂肪、肉類、肥満を避けて、果物や緑黄色野菜、繊維中心の食生活に変えれば食事関係のガンはほとんど、あるいは全部なくなるだろうと考えている」とまで書いている。添加物や農薬、環境的要因が人の健康を著しく蝕んでいるという言い方は俗耳に入りやすいし、わかりやすい。だから生協や消費者運動に「運動的側面」で “食の安全”を強調する時に添加物だ、BSEだ、遺伝子組み換え食品(GMO)のリスクを過剰に言いすぎている側面はないか、という意識を常に持っている必要はあると思うのだ。それを持たないと「亜硝酸ナトリウムの急性毒性は青酸カリに匹敵する」(市販のハム食った人皆死んじゃうよ)「化学調味料で脳障害を起こす」(おい、こら!)なんていう“脅し”が広まって消費者がパニックを起こしちゃったりする(『買ってはいけない』騒動)わけだ。わかりやすい説明は一度眉につばをつけて疑ってみよう。書いている側がわかっててわかりやすく書いてるか、わかっているつもりになってるだけなのか。案外後者であるような粗雑な論理が消費者運動の周辺に結構あったりするのは、その前年、消費者がパニックを起こした「環境ホルモン問題」で行政や学会、NGOの資料を集めまくり、マスコミ報道を追っかけて、運動の論理に異を唱えた中西準子氏、川口啓明氏(元日生協職員)、高橋久仁子氏、渡辺宏氏(この人も元生協職員→この人のサイトは自分の担当者ニュース等の最も有力な情報源で食材を知るには必見!)という人たちの論旨と日本消費者連盟などを代表とする従来型の告発運動の論理をつき合わせてだんだんわかってきた(大してわかってるわけではないけどね)のだ。ま、そんなこと言いながらも添加物なり、GMOは(それ由来のリスクを減らせるという面で)避けたほうがよいとは思っている・・ただ、それが人に避けることを強要できるほど危険なものではない、と承知した上で食べないに越したことはないと判断しているわけである。

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