厚さが5センチ以上はあろうというずっしりとした文庫本。
帯に記された短い言葉に、思わず手が伸びる。
「愛することが、罪だった。 会えないことが、罰だった。」
世界中コンビの主演ドラマということもあり、寝苦しい病床で手に取った。
時間を持て余していたこともあったが、それでもこれだけの長編を、息もつかず一気に読み終えた。
読後感。
決してカタルシスはない。
重苦しくなる心と、向ける場所のない悲しみ。怒り。
直木賞作家の筆は、決して主人公2人の心情を描写しない。行動を主体的に描かない。
だからこそ読者は焦れ、より多くの状況証拠を求め、ページを捲る。
どこかに釈然としない気持ちを抱えつつ……2人の安寧を願いさえしてしまう。
真犯人?
すべてが嘘かも知れない。
すべてが妄想かも知れない。
99%真っ黒な灰色でも、残りの1%にかけて、白く塗り籠める。
それは太陽の昇らない白夜のようで……。
太陽が沈むことのない白夜のようで……。
白夜行 |