選挙戦初日、日曜日が終わりました。
初日、私は市内266か所中、108か所のポスターを自分で貼って回りました。
さいわい、割り当てられたポスター掲示位置が低い所だったので、体の自由が効かない今の私でも、何とか手が届きました。
定数22に対し候補26人。掲示板に熱心に見入る方、掲示板前で政談をくりひろげる方々、みずからポスターを手にする候補者にねぎらいの言葉を下さる方。いつもの選挙以上に、市民の方々の関心が高いことを肌で感じました。
さて、政策第二弾は、市役所の立て直しについて。
市職員だった私の提案は、いわゆる行政改革とは、少し違います。ようするに、「市職員がやり甲斐を感じながら、7万市民の求めに応えて奉仕できる、ちゃんとした市役所」にするだけのことです。
あっ、市役所の「立て直し」であって、「建て直し」ではありませんので、ねんのため。
■2-1:「お役所仕事」の実情を知らせましょう。
市役所の業務は、近年どの分野でも複雑化・高度化・増大の一途をたどっています。
国や県の仕事だったものが、どんどん市の仕事に変わっています。
市役所だけでできる仕事よりも、事業者や協議体とともに行う仕事が増えています。
その一方で、合併以来、職員数は減り続けています。
つまり、職員ひとり当たりの業務量は加速度的に増え、調整・解決・達成はますます難しくなっています。
決して、昔の感覚で役所を見ることはできないのです。
まずはそのことを、市役所がみずから、数字でわかりやすく示す必要があります。
誤解から始まる議論は、不毛です。
市役所は、まずは傷だらけの実情を、隠したり偽ったりせずに、正直に丁寧に示して下さい。
■2-2:行政改革の手段をまちがえないようにしましょう。
市役所の中から、無駄な仕事をなくし、キツイ仕事を公平に分担し、適正な法手続きの中に収めることで、市職員にやり甲斐と笑顔を取り戻しましょう。
効率化を唱えながら、むしろ非効率化と業務の集中をすすめるような、まちがった行政改革は、要りません。
そのためには、まず、今の事務分掌を階層化していくことが有効です。
市役所の仕事は、事務分掌というハサミで分けられています。
とはいえ、これは課・担当ごとに所管する業務を「単語だけ」で定めるものにすぎません。
担当内の業務ひとつひとつの内容、ノウハウ、手段、それぞれの関係は、それぞれの非公式な引継ぎ文書のみに任され、上司もそれを把握しきれていない場合が多いのです。
その結果、業務はタコツボ化し、業務の集中する部署では、ひとりで業務を抱えて孤立し、押しつぶされる職員が、続々と生まれてしまいました。
また、業務がどの法律のどの条文に対応しているか、法令がどんな目的でつくられて、いつどのように変わって、それに応じて業務をどう変えなければいけないか、理解しきれず危うい状態で業務に当たっている職員が増えています。
決して、職員が望んでそうしているわけではないのに。
いま民間企業では、職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を作成して、どのような業務をどのように、どの範囲まで行うかを明確化し、業務の平準化・効率化・生産性アップを目指すところが増えています。さらに、職務記述書と法令・例規との対応関係を明確にすれば、異動初年度でも業務で迷うことはなくなります。
市役所の事務分掌を階層化し、職務記述書を作成・アップデートし続けることで、無駄な仕事をなくし、キツイ仕事を分担し、適正な法手続きの中に収めましょう。
そうすれば、真に市民が求める働き方に近づき、職員自身も心からの笑顔で、来庁者をお迎えできるはずです。
■2-3:人材育成の仕組みを作りましょう。
地方公務員は人の入れ替えが少なく、人材育成の重要度が高いにもかかわらず、現在の南アルプス市役所の人事評価の仕組みには、「育てる」視点が根本的に欠けています。
現在行われている研修は、忙しい職員の業務を圧迫しているにもかかわらず、効果が薄いものがほとんどです。
まるで、組織に「使える人」「できる人」を増やそうという意思が無いようです。
私は、市長に「他にできる人間がいないから」と膨大な業務を負わされ、辞めることすら許されずに体を壊しました。
でも、「できる人がいない」わけではありません。
むしろ逆です。
市役所幹部に使いつぶす発想しか無いから、職員は「できる人」と見られることを恐れているのです。
こういう症状の組織では、「できる人」「異動してきて能力が伸びた人」「部下を育てて伸ばした人」を評価する仕組みと、給与に連動するインセンティブが有効です。
未来の市役所で、ひとりの職員が背負う業務の量と難度を想定すると、職員ひとりひとりの能力を継続的に向上させ、新しい課題、複雑な状況、難しい意思決定に対応できる高度人材を育てるための仕組みづくりを、急がなければいけません。
まずは人事評価に「スキル、マインド、コーチング」の3要素を組み込んでサイクルを回し始めるべきです。
このまちの未来を支えるスーパー職員を、大切に、確実に育てましょう。
■2-4:人材再生の仕組みを作りましょう。
市役所の仕事は、サッカーや野球よりもラグビーに似ています。
プレーの中断がほとんどなく、業務はどんどん押し寄せ、ディフェンスラインをすり抜けて、容赦なく職員を襲います。
業務に押しつぶされて倒れた職員を、もう一度立ち上がらせ、再びスクラムに加えて、連携しながら押し返していかなければ、未来の勝利は得られません。
上でも述べたように、市役所幹部に使いつぶす発想しか無いから、職員は「できる人」と見られることを恐れています。
がんばった人ほど、壊されます。
多くの職員は、壊されるのが嫌だから、仕事のできないふりをしているうちに、仕事への情熱も、向上心も、笑顔も無くなってしまうのです。
ですから、まずは市長と幹部が責任をもって、復帰と再発防止を促すべきです。
地方公共団体の首長は、企業の経営者と同じように、職員の人生に、その家族の人生にさえ、責任を負っているのですから。
まずは、「健康管理計画」を策定した上で、職員の心身両面のケアのために専門家である「産業医」「臨床心理士」を招聘し、職員の福利厚生を保障しましょう。
職員が病んでいては、市民に奉仕できません。
同じことは、市内公立学校についても言えます。
産業医らの専門家を、同時に市内公立学校教職員もカバーする存在と位置付けることで、心身ともに健康な学校づくり、いじめをなくすことを目指します。
教師が病んでいては、子どもたちを助けられません。
武田信玄公は言い残しました。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
石垣が崩れたら、また積んで、何としてもこのまちを、未来まで守り抜かなければいけません。