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「キャップ、相談です。佐久間さんを今月9回もごっつぁんに誘ったのに来てくれません。
自分は1人の男としてどうあるべきなのでしょうか。」
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「入部してひと月も経たないのに、そこまでしつこく誘えるなんて、やはり君はあっぱれな漢だ。しかしどうだろう。ヤツはもう、君のことを自分が好きな1モブとして認識してしまっており手厚く扱う必要はないと感じているのではないかな。」
「そしてやつは異性から好意を向けられなれていない。それで照れている、という見方もあるだろうな。そこをくすぐっていけ。」
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「なるほど。わかりました。これからも自分の道を貫きます。」
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「自分の存在を認識させることも重要だ。だが、お前にはこの真実の方が重要だろうな。今から話すことは、お前にとって少し残酷なことかもしれない。心して聞け。」
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「それはどういった事なのでしょうか。自分は自己の欠点すらも愛し、如何なる困難にも超人の如く立ち向かう精神力を身に付けるべく日々精進を重ねています。どんな残酷な真実にもめげません。ぜひ教えてください。」
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「ヤツは面食いだ。」
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「そんなのどうしようもないじゃないですか!!!自分は目だけは竹内涼真に似ているとよく言われるんです!!目以外を濃硫酸で焼ききれば、自分はイケメン顔認証されるのでしょうか?」
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「無駄だ。女性は一度生理的に無理だと判断した人間の誘いには二度と乗らない。坂田↔藤本ケースがその一例だ。」
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「そんな!自分はこのまま孤独死するなんていやだ!星空のハネムーンをぶちかますまでは死ねません!」
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「そう悲観するな。実は佐久間は駆け引きを好む。押し引き、いじりいじられ、そういった技術を磨くんだ。そのうちにヤツはお前があっぱれな漢だと気づくことだろう。」
「また、あいつは歯が黄色い時がたまにある。おそらく気が抜けているんだろうな。その時が駆け引きの狙い目だ。お前のフィジカルを存分に活かして、欲しがりおばさんを翻弄してこい。」
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「なるほど!敵を知り、己を知れば百戦危うからず!アプローチの方法を考えれば、結末は変わらずとも人間賛歌を紡ぐことは十二分に可能!」
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「佐久間さん、待っていてください!明日の拒絶に向けて、頑張ります!」
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「白旗をあげるにはちと早いぞ。実は今回、対女性関係のスペシャリストをお呼びした。お前に更なる選択肢を示してくれるだろう。適任、という言葉はこの人の為にあるのではないかな。紹介しよう。」
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「前主将の中島さんだ。」
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「もう頼れるのは中島さんしかいません!教えて、旧キャップ!」
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「ようこそ、精神と時の部屋へ。これから君には柔道部が四季爛漫の折々に積み重ねてきた偏見と妄想のレッスンを始めよう。それではsection1から始めようかな。「女に要求を断られたなら」
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「なあんだ、そんな難しいことを考える必要はなかったんだな!女にはマウントからのキックしてパンチ!そんな凛々しさを大事にしていきます!」
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「それは良かった。今後の人生がこれで少しは豊かになったかな。重畳重畳。少しでも同志が増えてくれるのは嬉しいものだ。またいつでも話してくれたまえ。」
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「石田お前、いい顔するようになったじゃんか。キャップとして鼻が高いよ。北大はまた1歩、七帝戦での勝利に近づいたようだな。」
キャップ達は、経験がないが知識は玄人並みなんだ。どんどん相談しよう!