
おばちゃんは常連らしく、運転手とずっとしゃべっている。
発車して、最初の交差点を過ぎるともう山道に入る。これが半端でない山道。ちゃんとセンターラインはあるものの、ものすごい九十九折。大阪の生駒山を越える阪奈道路みたいなものだ。運転手はそんな山道を思いっきり攻める、攻める。酔いそうだ。この峠道、荃錦公路というらしい。沿道はとても香港とは思えない風景だ。

かなり高度を上げたころ、おっちゃん4人組が乗り込んでくる。いでたちからするとハイキング客のように見える。もうひとつ先でおばちゃんが降りる。やがて峠のてっぺんに到着。右側に高い山が見える。大帽山というらしい。ちょうど国立公園になっていて、休日はにぎわいそうなところだ。
やがてくだりに入る。これも攻める攻める。はるか眼下にこれから行くであろう町並みが見える。エンジンブレーキ使えというバス会社の表示があるのも日本とよく似ている。ところどころ、黄色いバス停標識があり、必ず停車することになっているらしい。暴走を防ぐためだと思われるが、この運転では役立つのだろうか?
やがて、軍の施設の中に入ってくる。イギリス軍時代からの施設らしい。香港の気候だと、標高の高いところが好まれたのだろう。平地には空軍の滑走路もあるようだ。
やがて平地に出て、ほっとする。石崗というところでおじさんたちは降りていった。変わって村人が一人二人と乗ってくる。そうこうするうちに、バスは終点の錦田に到着した。