1月14日に企業再生支援機構とJALが再生スキームの一部を発表した。
その内容は以下のものを含んでいるという。
・商取引債権については、従来どおりの支払いが行われる。 ・航空券については、従来どおりの利用(変更、払戻しを含む。)が可能となる。 ・航空機リースについては、従来どおりの支払いが行われる。 ・お客様のマイレージについては、従来どおりの利用が可能となる。 ・すでに発行された株主優待券は、従来どおりの利用が可能となる。 |
会社更生法の適用といってもいったんすべてを保全するのではなくて、オペレーションさせながら再建するという米国破産法的な再建スキームをとることを示唆しているように思う。
あるブログでの解説によると、
発表1と3は、法的整理した際に、燃料代や機材リース料を現金で請求され、運航困難になる懸念を、政府保障をつけて回避する内容。
発表2は、2001年に破綻した「アンセットオーストラリア航空」で、購入済みの航空券が使えなくなる被害が出たことをフォローするものでしょう。
発表4と5は、個人利用客やビジネス利用客のJAL離れを防止する目的でしょう。前述の、アンセットオーストラリア航空では、マイルも無効になりました。
マイレージ・JAL JGC/ANA SFC修行「企業再生支援機構の日本航空への支援スキーム発表」から
一応、飛行機は飛ばし続ける(便数や就航地は減るだろうけれど)ことを早めに知らせて客離れ、サプライヤ離れを防ごうということのようだ。
その一方で、ワンワールド陣営は最後の巻き返しに出てきたようだ。12日、AA、BA、CX、QFが合同記者会見を開き、JAL再建に対する提案のプレスリリースを出した。出資は再生機構のスキームにははいっていないので取り下げられたものの、収益モデルをすでに持っていることをアピールする内容だ。
アメリカン航空は、同じくワンワールド(oneworld®)アライアンス創設メンバーであるブリティッシュ・エアウェイズ、カンタス航空およびキャセイパシフィック航空と共に、日本航空に今後3年間で20億ドル相当の事業提携効果をもたらす提案をまとめました。これは、日本航空の将来にとって最善の方策を提供すると共に、日本の政府と納税者へのリスクを最小限に抑えながら旅行者の便益を最大化するものです。
アメリカン航空プレスリリース「アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、カンタス航空、キャセイパシフィック航空およびワンワールドアライアンス日本航空へ総額20億ドル相当の事業提携効果を提供 日本航空と旅行者、日本国民に様々な便益をもたらす計画を提案」から
AAは年間1億ドルの利益保障を積み増した。QFはジェットスターのノウハウを供与すると。さらに、BAは羽田~ヒースロー線や欧州内のコードシェア拡大の他、あれほどかたくなにこだわっていた成田の第1ターミナルを放棄し、11月に第2ターミナルに動くとまで言ってきた。これら各社はAAに引っ張られたとはいえ、かなり本気だ。ところがCXには具体策はない(笑)。やっぱりちょっと冷ややかなのだよねぇ。
これでJALの決断が覆るとも考えにくいが、JALがある程度の便数を運航し続けるというのなら、この選択肢は悪くないと言えよう。ただ、再生機構と新経営陣はとにかく戦線縮小を狙っているようにも思われ、太平洋線をほぼ撤退状態にするのであれば便数の多いスカイチームの方が有利になるだろう。個人的にはアメリカ本土に行くのにNWには乗りたくないぞ。