(ズシャァァァッ!!)
いきなり死んでる場合じゃない。
「サクラ大戦・3」を見届けるまで、死に切れるもンじゃない。
諸君等にしても、この世に未練は多々ある事だろう。
しかし、人は死ぬ。
必ず死ぬ。
死なない方がコワい。
即ち、死は常に身近な存在である訳だが、周りに無闇やたらと死体が転がっているか、といえばそうでもない。
無論、連日ニュースでは血生臭い事件事故が報じられ、葬式屋がきっちり食っていけているのは確かだ。
それにも関わらず、世間は平穏でもある。
私もいい加減短くも無く生きてきたが、今だかつて死体など見た事ない。
テレビや写真ではともかく、両のマナコでザ・死体なンてものは目にした経験は無い、と断言する。
故に、大概死体やらヒトの死にちょくちょく接するなンて事はマレな話ではないのか、と、疑うのだ。
或いは、諸君の中には「イヤ、しょっちゅう見るケド」とハナで笑う者もいるかもしれない。
まあ、私が例外的に死臭と縁が無いッてェなら、今後もぜひそうあって欲しいと願わずにはいられない。
それでもしつこく、葬式ボーズや検死官みたいにビジネスとして積極的に関わる人々でもないと人生でやたらと死体とご対面なンてしないンじゃないの?
と腹の底では思わざるを得ない。
なにしろ私の知り合いで、猟奇殺人のエジキなンて1人もいないンだもの。
「人がどう死ぬのか試したかった」と、そこいらのじいサマを刺し殺す世の中だ。
皮膚感覚で人が死んでいなくなっちゃう、という気分を知る経験は淡々と生きてると出くわさないのだ。
やたらと命の大切さを思い知ってしまうガザ地区やらベイルートみたいな環境も、ちょいと不健康だろ。
凄く体に良くない。
すると、死の重みはフィクションで語られる比重が強くなる。
お正月映画、「バトル・ロワイヤル」。
R指定の殺戮アクション。
刺激的な内容に、政治家ご一行がノコノコ試写会に現れたそうな。
で、あンのじょう、「ンマァ、こンな残酷な映画を公開するなンてとンとンとンでもないワ!」と分かり易い良識的ご立腹をなさっていた。選挙区の有権者の見識あるお母さま方から、ビシッとキメてくるようハッパをかけられてきた、と情けない事を力説するセンセイ方。
一見正しそうな事をキャンキャンわめく「母の会」など、あンまりマトモだった話は聞かない。
仁義無き監督、深作欣二は「メッセージは見たお客様には、ちゃんと伝わっている!」と、さすがの強気。
「殺人」自体はあらゆる媒体で日常的に扱われているテーマであって、それ見て人殺しッてンなら、その短絡さが異常だろ。
それに、映画を通して述べられるのは「生きるとはなんぞや?」であって、そのために「死とはなんぞや?」が提示される。
ヒーロー物のエッセンスだ。
ただ、見た人全員が同じ感想を持つ、なンてのは幻想で、9割「命ッて大切だね」と涙しても、1割くらい「オレも殺してェ」と思うかもしれない。
だが、文部省推薦、愛と感動のドラマを見せても同じような現象は起きるだろう。
平和の象徴・戦争の悲惨さの物言わぬ証人、原爆ドームを見て、感想文を提出させたら、9割「戦争はいけない、平和ッて大切だなァ」と書いてくるだろう
が、1人2人「いい加減ボロくなったし、作りなおしたらいいと思う」とか書いて、職員室に呼び出されて反省文まで書かされたりするかもしれない。
てゆーか、充分反省しましたすいません。
人殺しの重大さをトンと理解してないハナタレ共に、嫌がらせのようにして作った反語的映画「バトル・ロワイヤル」、ぜひ中学生がこっそり見に行って補導されて欲しい。
だって、「新・仁義なき戦い」なら見ていいなンて、世の中間違ッてる。
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