鑑定モノの番組を見ていると、何がどう良い仕事なんだかよく分からないが百万円だ1千万円だという値段が付く風景が現れる。
名人が作ると高いのは、まあシロウトより上手だから高い、というのは理解できるとして、それにしたってどこから百万円、というプライスが出て来るのか、その根拠はやっぱり判然としない。
設備投資、人件費、材料費、そんな経費に少々イロを付けても、百万円はアコギではないのか。
1千万円に至っては話にならない。
諸君の中には或いは異論のある者もいるだろう。
「この味わいが」とか、
「この景色が」とか、
説明になってるようななってないような、多分お前受け売りそのまま口にしてるだろ、というようなセリフを臆面も無く吐いていたりするかもしれない。
そんな価値を見出せない理由として、実用面での価値しか認識できない、という事はありうる。
皿は例えば刺身を乗せるのに役に立つための機能、平たいとかゆがみやそりがないとか一人前に手頃なサイズとか、があれば良い。
汚らしいとか不衛生である、などという要素は問題外として、見た目にいささか上品であれば充分過ぎる。
ここまでを満たすのに百万円を提示されたら、入札場から叩き出したくなっても、不思議は無い。
ツールとしての値段としては不当だからだ。
仮にそれが1万円として、残りの理解出来ない99万円は何者か。
これに納得し、あまつさえ喜んで払う人々が見ている物は。
それこそは「趣味」だ。
「道楽」といってもいい。
「おたく」ですらあるだろう。
仲間内独自の価値基準を設定し、その中で収集・落札・トレーディングを行う。
物理的必要性や有効性とは世界を異にした閉塞空間である。
閉塞しているが故に、時としてそれはワク外の人間から見れば著しく常軌を逸している、と戦慄させる場合がある。
この場合は1万円の機能価値に99万円が上乗せされている、という状況である。
何なんだこの99万円は?
それで良い訳!?
良いの。
基本的には。
1万円札を百万円だと思い込んでるスットコドッコイ野郎の仲間内の話である。
やらせとけやらせとけ。
基本はそれでいいが、ステージが上がると事態は変質する。
応用編。
「この世界の素晴らしさをまだ知らない気の毒な人に教えてあげよう!」
本来関係無い人間を巻き込み出した段階で、高級な趣味も豊かな芸術性も、単なる言い訳に過ぎなくなる。
ましてや、陶芸品に開運御加護今なら化粧箱にお入れして驚くなかれ、8万円の浄財寄進でございます、などというのは言語道断である。
ざけんなッ!
冷静に戻って見れば、そんな子供だましな話があるか。
あああ。
石神井公園の池の底で永遠に眠れ。
と、オフィシャル設定では言って歩いているが、これはフィクションであり、本当は名古屋中川区を流れる庄内川に思い余って叩き込んだのである。
ロケーションのメジャー度を考え、演出を加えてしまいました。
名古屋で正気に戻った瞬間から、上京するまで辛抱出来るほどハートの導火線は長くはなかったのだ。
煮えた頭は冷めた、ハズだった。
しかし、それは表面がぬるくなっただけで、中身は煮え煮えだった事を数ヶ月後には思い知る事になる。
今日まで多くの事件を綴る中で、ツボにすがったりアクセサリーに頼ったりするのはいかに愉快ツーカイな姿かをウィットに富んだまなざしで見守る局面もあった。
仏像しかり。
五重塔しかり。
スーパーダイエット・ファターシェしかり。
だが、世の中には英会話カセット・デッキ付きを購入してしまうのと同じ位滑稽な一幕は用意されていたのだ。
そのステージの名は「絵画」だッ!!
うわーッはっはっはっはっはっはっはーーーッ。
そしてこの事件を伝えているこの人物!
この男がまんまとひっかかったバカな被害者だーーーッ!!
ひゃッひゃッひゃッひゃッひゃおかしいだろ!?
諸君!
ああッ。
笑っていいぞーーーッ。
金額も明かにするべきだろう。
¥554,610ッ!!
だーーーッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッはッ!!
今度は冷静な今日に至っても、怒りに任せて荒川に叩き込む訳にはいかない。
何故なら、本当に私の物、と権利を主張できる部分がいまだ5分の1程であるからである。
全てが私の物になるのは平成17年2月28日。
その日までの生活の目算も立っていないのに、支払いのスケジュールだけは冷徹なまでに構築されている。
家のローンは終われば堂々と住むという目標が立つが、絵とあってはローンが終わろうと、その先には何も無い。
頭煮え煮えならそンな事には気付きもしないだろうが、私は既に気付いてしまった。
庄内川に掛かる歩行者専用橋の上で、私はこれでもう霊感商法や催眠商法にひっかかる事はないだろうと悟った。
否、悟ったつもりだった。
又引っ掛かった。
安っぽいセールストークにだまされるのは何者か、と思っていたが他でもないし。
これでもう同レベルのサギ紛い商法にだまされはしないし、だまされる訳にはいかない。
常に3歩先の不幸を!
会長を先頭とするポーの会の歩みは止まらない。
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