結婚式場の裏方をやっていると、スピーチやら何やらの式次第が聞こえてきて、気分は7割方野次馬である。
いつまでもセンテンスの切れないスピーチとか、プロの司会の歯の浮くようなトーク等、密かに面白い。
そして、お客様のお祝いの歌は最早定石だ。
流行りだね、モーニング娘。は、ほぼ聞こえてくる。
親戚のおジさンが何をトチ狂ってか、ド演歌を披露していたりもするが、基本はご友人のポップスだ。
かつて、結婚式場で撮影アシスタントを務めた御仁は、連日「愛は勝つ」・「SAY YES」を聞かされて崩れ落ちそうになったとか。
時代だねェ。
まァ、こういう場での歌なんてなァ歌ってる当人以外にはお笑い種で、とっとと済ませてご歓談に入った方が皆様のため。
BGMはクラッシックなぞ静かに流れる訳だ。
すると合い方のおジさンが一言。
「ホゥ、メンデルスゾーンだね」
スゴい!
私は単純にも尊敬のマナザシになった。
曲は私も知っていたし、恐らく諸君も音楽の時間に聞いた事があったりするメロディーだ。
メジャーな旋律は映画やCM、或いはアニメーションで聞いたことがあっても、ズバリ原曲や作曲家が出て来るもンじゃない。
それもベートーベンとかモーツァルトみたいなサルでも知ってる名前じゃなくて、メンデルスゾーンときた。
ここで皮肉の一ツも言えれば上等だが、真空管の如く単純な私の頭脳は呆気なく「賞賛」の一字を点灯させてしまった。
諸君の中にも或いはクラッシックに造詣が深い者がいるかもしれない。
「それくらい常識でしょ」とシレッと言うかもしれないが、そっち岸ではどうか知らないが、すぎやまこういちサウンドに親しんでいたりすると、クラッシックをそうそう語れたりはしないのだ。
ビバルディを聞くと全艦砲雷撃戦用意をしたくなったり、ドボルザークを聞くと下校したくなったりするようでは、一言言える気がしない。
モーツァルトには予選終了ギリギリのタイムアタックとティー・タイムがよく似合う、と言い張っても同意する人間は多くはないだろう。
或いは音楽性に欠けているのかもしれない。
PC音源での楽曲の再生に際して、お好みに合わせて半音上げちゃおうかな?
なンて微塵も思わなかった段階で、道は完全に違ってしまったのか。
しかし、フリークかどうかはともかく、カッコウだけなら整えられない事も無いのではないか。
黙っていれば、分からん分からん。
例えば、
ベートーベンの第九、特に第四楽章、いいねェ。
バッハのヴァイオリンのためのパルティータ第三番、ことにガヴォット、泣かせるよ。
パッヘルベルの三声のカノンとジーグ、好きだなァ。
「オイ、それッてエ・・・」
だぁーーーーーーーーッ!!
黙れッつの!
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