深夜の電話ボックス。
迷いに迷い、どう切り出そうか悩み結局は深夜。
こんな時間に起こしたら・・・
携帯も部屋にも電話の無い時代。
遠く離れた郷里の家人にどう、無心を懇願するか・・・
どうしても言い出せず、
結局は受話器を握りしめたまま諦めた。
若かりしの一夜である。
頼めば、嫌とは言いはしないだろうが
心配させてしまう事に気がひけた。
仲良くしていた多くの友の中に憧れの異性がいた。
仲間とわいわいと戯れ、おくびにも言い出せず、
しかし、思いはつのる。
意を決して、向かうボックス。
やはり、迷い、悩み、結局は諦める。
青春時代の苦いステージがここにはあった。
しかし、今は町中で見る事もめったに無くなってしまった。
思い立てば、いつだって掛ければいいし話すのが嫌なら
メールで済ます。
悩みや迷いの時間が無くなった。
自分と他者について深く考えれなくなった。
知らず知らずに、ひとを傷つけてしまってはいないだろうか。
自分の浅い想いが・・・