ある日
買い物に出た
売場に着いた
その後ろから
『う～、これはダメ、う～、これはいい、う～』
という唸り声のようなものが
独りの、ご老人が、何やらお探しであったが
探すことに夢中で、周りが見えていないご様子
ああなるほど
ワタクシも、独り言はやめよう
ちゃんと窓は開けとけ、あんたは臭いが濃いんだぞ
ちゃんとアタマ使って働けよ、１ヶ月以上居て気づかないのかよ
自分で判断して動きな(といいつつ、勝手に動くなと)
へたくそが迂闊に手を出すなよ(といいつつ、何ボケっと見てんだよ)
▪▪▪▪▪▪▪▪(殺気の籠ったため息)
麦となれ刀と思えその覚悟
何かあったのだろう
鬱陶しいという言葉が聞こえた
鬱陶しい
鬱に陶器の陶
陶器は、冷たくて、湿気も感じられる
じっとりして動かない
つまりワタクシを指していったんだな
確かに鬱陶しいな、ワタクシは
一般社会で暮らすからには、他人とも触れ合わねばならぬ。
ペタペタ触らずとも、相手の目ん玉と鼻の前に立たねばなるまい。
臭いと云われた。
体臭は、自分ではなかなか気づかぬもののようで。
或いは、部屋干しの、洗剤ではなくて固形の石鹸で洗った服ってのも
今朝から何かと剣突を喰わされているが、思い当たる節は今のところそれだけ。
感づく人は感づくし、嫌な人は嫌だもんね。
嫌味の種も尽きたか、今度は避けているような。
当方、お金が無いもんだから、様々に滞納したりしてる。
ガス代も払えないもんで、おまけに、いま借りてるマンションがプロパンなもんだから
ワタクシは脇も臭いらしい。
これも、云われるまでは気づかぬ。
はて困った。
この蒸し暑い東京では、毎日風呂に入らんと、大変なことになるようだ
それは盛岡滝沢も同じかな
さて困った。
都市ガスを引いてあるアパートに引っ越すか
当面は毎日水浴び、行水だな
ちゃんと、いい匂いのする石鹸使って
水道代も嵩むが
団体で暮らしていかなきゃならねんだから仕方ないちゃ仕方ないか