RX NB UNIT(その1)
この基板は高周波増幅部、ミキサー、ノイズ・ブランカー、Sメーターが一体化されているが、700と700Sでは、少々違いがある。
一般的に、無線機の広告において、高周波増幅部は、性能伝々・・受信性能を示す部分として、フィルター部と共に花形の部分であろう。
しかしながら、ガックリさせるようですみませんが、この数十年、そんなにビックリするほどは変わっていないと思う。
理想型は真空管時代から何も変わっておらず、基本は、S/N、増幅度、選択度、最大出力電圧の4つ位で、この中で多少の「宣伝ポイント」(HFであれば、2SK○○○をカスケードに接続しました・・とか、クワッドにしましたとか)を誇張する戦法が長らく続いている。
TS-700シリーズでは、
凡例
VT:バリキヤップ同調
nT:半固定同調
機種;TS-700
基板;X55-1060-00
構成;VT-3SK35-VT-VT
TS-700G2
X55-1120-00
VT-VT-3SK41-VT-VT
TS-700S
X55-1170-00
Pre-amp;nT-2N5485-nT
VT-3SK40-VT-VT-VT-VT
と変化している。
web情報によると、1973年に初代TS-700が¥129,000で発売され、1977年発売のTS-700Sは、¥149,800円、
これは当時の初任給換算でおおざっぱにいうと2倍位であったとされています。
発売された時代、私はHFしか興味が無く、しかも無線が出来ない環境となり、オーディオに踏み出した時代だったので、当時はカタログを見た記憶さえも無いですが、知っていても、私には当然買えない値段でしたね。。
改めて、TS-700Sの回路を眺めてみると、RF段のコイルが5段同調で、しかもバリキャップでチューニングを行っている。
144MHzアマチュア機で、こういうチューニングをする豪華構成のリグがあったのだと驚く。
その後、他機種も調べてみたら、モービル機でさえ似たような構成だったりしたので、さらにびっくりした。144MHz機って、お金かかっているんですね。
また、700GⅡでは、FETの前に2段同調だったのが、700Sでは1段になり、FET後が4段となっており、興味が沸く部分でもある。
ただ、同調回路にトラッキング用トリマーコンデンサまでは付いていない。
そのために、自分のTS-700シリーズは、使用周波数範囲を狭く(Max600KHz位)設定して、トラッキングエラーが出にくいように調整したい。
ちなみに、当時はオーディオ機器に元気がある時代で、高級なFMチューナ一は、単体で、10~30万円という・・・
今ではあまり考えられないが・・けっこう売れており、こういった機種はバリコンを使い、概ね5段同調以上だったと思うが、トリマーコンデンサが付いている機種もあった。
もっとも、FMチューナーの場合、76~90MHzと可変範囲が広いという差がある。
TRIOも1977年に¥200,000で、KT-9900というチューナ―を発売しており、こちらは7段同調で、局部発振のバリコンも含めると、9連バリコンという凄い部品が使われており、高周波増幅部の基板もそれなりに、数倍以上デカい。
気になって来たので、先ほどwebで簡単に回路図探してみたら、このクラスのチューナーは、ソース接地2段増幅や、ソース接地+ゲート接地等と、色々工夫が見られて面白いが、、放送波の方が遥かに受信電圧が高いのに、何故に当時のFMチューナーは、こんなに増幅する必要があったのか?? オーディオ界得意のオカルト現象だったのでは?。
と言う訳で、アマチュア無線機と、高級FMチューナーでは、高周波増幅部にかけられる製造費用は、当然ながら、受信「命」のFMチューナーの方が数倍高いのは当然のようで、逆に言えば、アマチュア機は高周波増幅にお金をかけていないという事で、もっと向上の余地がある事を示唆していると思う。
オークションなどで、上記FMチューナーのジヤンク品が安く入手できたら、そのバリコンを利用して、受信専用のTS-700Sに組み込むor外付けのプリアンプを製作するのも面白いかなぁ~と考えている。
また、TS-700Sでは、プリアンプとして2N5485が追加されており、この部分はON/OFF出来るようになっている。
しかし、せっかく5段同調回路を使用しているにもかかわらず、プリアンプは単一同調なので、使用するのは、バンド内に強い電波が無く、しかも相手局がとても弱い時など、その時の各種電波条件によって判断する方が良さそう。
TS-700は各段での、ゲインはおおむね、高周波増幅部≒10dB、ミキサー部≒10dB、IF段≒80dBという構成となっている。
もう40年以上経っているので、新しい高周波デバイスが出ており、改造が楽しい部分ではあるが、安易にFETを変えたりすると、逆効果となる可能性もある。
数GHz帯用の半導体が144MHzで必ずしもいい結果を出すとは限らないし、AGC特性にも充分考慮したい。
最近の機種であるFT-991と比較すると、S≒0で、ギリギリFT-991で聞こえる局が、TS-700Sだと聞き取れない位の感度差があり、S/Nでは聴感上もっと差がある。
そのため144MHz帯でのN/Fが良く、AGG回路を変更しないで済むディユアルゲートFETを選択すれば、一番手っ取り早いが、FETのN/FはIdに依存するため、データーシートで良く検討する必要がある事と、ゲインを欲張って発振気味にならないようにしたい。
また、プリアンプの2N5485は、AGCも関係ないし、後段との同調インピーダンスのしがらみもないので、最新デバイスに変更し、半固定周波数は144.3MHz位に同調させ、SSB専用に使う予定。
新しいデバイスを探すのも楽しみだが、これまで、秋葉原に行くたびに「そのうち使おう」と思って購入していた部品も最近になって見つかり(買ったことすら忘れていた)、
そういったパーツも、永らくお待たせした分、1回くらい活躍させてあげたいなぁ~と、複雑な心境で、何かモヤモヤしています。
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