宝石、と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは「ダイヤモンド」ではありませんか?
その宝石の代名詞「ダイヤモンド」ですが、日本に輸入されているダイヤモンドの約80%は「工業用」のダイヤモンドなのですよ
工業用のダイヤモンドと聞いても、ピンと来ないかもしれません
でもね、天然資源の中で、最も硬度を持つ物質であり、電気を通さず、熱伝導にも優れているため、「切る」「削る」「磨く」「穴をあける」など、私達の暮らしに役立つものを生産する上で、無くてはならない工具として、工業用ダイヤモンドは幅広く使われているのです ダイヤモンド=高価な宝石、ではないのですね
これが今日の一つ目の豆知識でした、ふふふ
でも、ここで工業用ダイヤモンドについて、詳しくお話をしても、それほど楽しくはないと思うので、話を宝石のダイヤモンドに戻しましょう
今さらですが、あらためて「ダイヤモンドの4C」について。
「カラット Carat」、「カラー color」、「カット Cut」、「クラリティー Clarity」この頭文字をとって4Cと呼ばれます。
一つ目のカラットは、重さ。
じつは、1カラットは0,2グラム、200ミリグラム、です
このようにカラットは重さですので、ダイヤモンドだけではなく宝石全般に「重さを表す言葉」として使います。例えば、「このルビーのリングは、センターのルビーが0.3カラットで、まわりのダイヤモンドの合計は0.5カラットです」このように表現します。
次は、カラーですね。
そう「色」です。ダイヤモンドは、希少性の高い極々一部のカラーダイヤ(これはまた別の機会にお話ししましょう)を除いては「無色」の宝石ですが、実際にはグレードが落ちていくと、だんだん無色透明ではなくなっていきます。最も透明に近いものが「D」というカラーで表現され、ワンランクずつ下がって、E、F、G、H、I、J、K・・・と続きます。下になればなるほど黄色みがかっていきます。なぜかABCはありません。
次はカット、です。
カットと聞くと、真っ先に思い出されるのが舌を噛みそうな「ラウンドブリリアントカット」かもしれません。
ラウンドブリリアントカットは58面体。ダイヤモンドに注がれた光が、光学的に最も効率よく反射する形として考え出されました でも、このラウンドブリリアントカットに似たカットでも、そのダイヤモンド企業が独自に「我が社のこのカットが最高」と考えられてカットされる「フランダースカット」や「アッシャーカット」というものもあります。
他には、ハートシェイプ、マーキースカット、ペアシェイプ、エメラルドカットなど、「カット」と聞くと、ダイヤモンドの形と思われがちですが、実際には「カット」と呼ばれている4Cのうちの1つの「C」は、じつはダイヤモンドの形(カットやシェイプ)ではなく、「カットグレード」と表現されるもの、です
これは、カット面やカットの角度がどのように研磨されているか?ダイヤモンドと光が如何に相互作用するか?を評価するもの、なんですね。
このカットグレードは5段階評価。もっとに優れたカットグレードは「Excellent」。次は「Very Good」、「Good」、「Fair」と続き、最後が「Poor」です。
カットの良し悪しは、ダイヤモンドの輝きを大きく左右します。カット面同士の角度や対称性がベストのバランスを取っていなければ、十分な量の光が反射されず、美しい輝きが放たれないのです。
想像してみてください
ラウンドブリリアントカットは58面もあります。その一面一面それぞれに光が入り、光学的にすべての面が効率的に光をはね返す・・・だから、あのダイヤモンドの「キラッキラ!」の輝き、になります。
ところが、そのカット面がいびつだったり、カットの角度が決められた角度ではなく、少しでも歪んでいて、正確でなければ、光学的に計算された最高の反射は起こらない 確かに鉱物としてはダイヤモンドだけれど、極端に言えば輝きはガラス程度、ということもあり得るのです
最後は、クラリティー。
ダイヤモンドの透明度を表します。もしダイヤモンドの中に、たとえ小さくとも傷があったり、内包物があったとしたら、透明度が低くなります
最も内包物のないものが「VVS1」。その次が、「VVS2」。そのあとは「VS1」「VS2」「SI1」「SI2」となります。
「VVS1」って、何のアルファベットなのかな、って思いませんか?これは記号ではなく、単語の略です。VVS1は、「very very slighty included 1」の略です。「ほんとに、ほんとに、わずかな 内包物 1」(1,は内包物が1個、という意味ではありません)です。「V」が一個なくなるとvery が一つなくなるってことです
さあ、これでダイヤモンド博士になりましたね
ダイヤモンドには、このようにしっかりとした基準が世界的な機関で決められているので、宝石としての価値が最も分かり易い宝石と言えるでしょう。価格も、これら4Cによって決まっていきます。
では、実際に考えてみましょうか。
Aさん。「私は、とにかく大きなダイヤのリングを装うのが夢だったの。そこが私の基準大きなダイヤモンドをお願いします
」という場合。
Aさんの予算と照らし合わせながら、「大きさを優先して、Jカラーのもので、カットはFair。クラリティーはSI2・・・さあ、こんなのはどうでしょう?」ということになります。
Bさんは、Aさんと予算は同じです。でもBさんは、こんなふうにおっしゃいました。「私は大きさよりも、ダイヤモンドの宝石としての価値を重視したいです小さくて良いです。」
それでは、「大きさは0,3カラット。でもカラーはF、カットはGoodで、VS2。これはいかがでしょう?」
このように、パズルのように4つの「C」を組み合わせながら、いろいろと考えるのも1つの楽しみ、ですよ
「おー、そういうことだったのね」とわかっていただけましたか?
見た目だけ・・・や、勧められるがままに・・・ではなく、最低限、自分で「わかって」眺める、選ぶ、は、新しい楽しさになること、まちがいなしです