「からし種ほどの物語」
かつて娘はそこにいました。
日差しに満ちた暖かい世界に…。
しかしある時、
突然、夜が来たのです。
夜がそのたもとの深い両手を広げて、
娘をそのとばりの中にすっぽりと包み込んでしまいました。
するとどうでしょう、
あんなに美しくやさしかった娘の心まで、
まるでもうすっかり恋をあきらめたように、
その黒いベールをまとってしまいました。
「照明さん、照明さん…。私のスポットライトはどこにいったの…?
私は悲劇のヒロインをまだ続けているのかしら…?」
娘は、時折悲しい昔の恋を思って、
そんな事を言いましたが、それでも長い夜は続きます。
寂しく凍てつく、悲しい夜でした。
そんな夜が続くうちに、我慢強いはずの娘も、
ほんの少しだけ辛くなりました。
せっかく太陽の娘として生まれたのに、
その時は暖かな恋心も忘れて、
厳しい寒さに耐えていたからです。
きっと、生きる理由が見つからなくなったのかもしれません。
それでも神はしっかりと娘の事を覚えておられました。
娘の心には、いつも祈りと賛美の言葉があったからです。
そして、この次に娘が祈りの為にうつむいた顔を上げた時、
一つの希望の種を心に授けられました。
すると、みるみる娘の瞳が輝いて、
もとの美しさが戻って来たのです。
闇はまたしても光に勝てなかったのですね…。
娘が、まだまだやつれた心ながら、
ゆっくりと立ちあがろうとした時、
目の前には愛がおりました。
愛は、よろける娘に肩をかしました。
一度立ちあがってもすぐに倒れそうな娘を
何度も抱きしめてくれました。
そうやって、愛は娘を見詰め続けましたから、
やがて娘もはじめて彼を「あなた」と呼んでしまったのです。
そして、それはそれは小さな声で、彼に尋ねたのです。
娘は、他の愛と苦しみをよく知っていたので不安だったのです。
「あなた、チャーリー・ブラウン…?
私はあなたのスヌーピー…?」
愛はほほ笑んでこう言いました。
「仰せの通りに…。でも私の本当の名前は希望です…。
二人がひとつになったとき、さらに光り輝く希望です。」
やがて神がくれたからし種ほどのものは、
鳥をも養えるほどの大木になりました…。
それが本当の愛だったからです。
何しろ希望と言うやつが娘にすっかり恋をしてしまって、
愛にまで姿を変えてしまったのですから…。
ですから、そんなに美しい崇高な愛だから、
たとえ、どんなに辛い事があっても、
あなた方の今いる人生がどんなに素晴らしいものであるか、
親しい人々がよく知っているのですよ。
おわかりですか…、チャーリー・ブラウン…。
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忘れたのだろうか??
パソコンが不調で携帯からです。
覚えてなくても問題ないです。(笑)
38の誕生日に、
その場で書いてくれました。
ロマンチストですから、
こういったお話は、あっという間に書きますね。
今は自分で否定しちゃってね。
小説もあったんだけど、
破棄しちゃうし・・・
筆を折ってしまいましたからねぇ。。。。