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┃ 村上春樹長編小説 ┃
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‡02 1980(昭和55)年06月17日(火) 講談社『1973年のピンボール』『群像』1980年3月号掲載
『群像』1980年3月号掲載 文庫:183ページ
P.092「猫の手を潰す必要なんて何処にもない。とてもおとなしい猫だし、悪いことなんて何もしやしないんだ。それに猫の手を潰したからって誰が得するわけでもない。無意味だし、ひどすぎる。でもね、世の中にはそんな風な理由もない悪意が山とあるんだよ。あたしにも理解できない、あんたにも理解できない。でもそれは確かに存在しているんだ。取り囲まれてるって言ったっていいかもしれないね。」
P.105「遠くから見れば、大抵のものは綺麗に見える。」
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https://ja.wikipedia.org/wiki/1973%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%94%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB
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┃村上春樹さん作家デビュー40周年┃
┃ 『村上JAM』 ┃
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2019(令和元)年06月26日(水) 18:30 都内某所開催予定
村上春樹さん作家活動40周年を記念したスペシャルライブの開催が決定しました。音楽監督に村上春樹さんと親交の深い大西順子さん、特別ゲストに北村英治さん、渡辺貞夫クインテットなど豪華メンバーを迎える、まさに奇跡のライブ。さらに、村上作品のスペシャルな朗読も。
ご応募は締め切りました
この度は村上JAMへのたくさんのご応募ありがとうございました!当選発表はご招待状の発送を持って変えさせていただきます。ご招待状は
†2019(令和元)年06月17日(月)までにお手元に届く予定です。村上JAMの模様は
2019(令和元)年08月25日(日)、
2019(令和元)年09月01日(日)に全国38局で放送予定です。(放送時間は各放送局にお問い合わせください)今回、残念ながら当選されなかった方もぜひ放送でお楽しみください。今後とも村上RADIOをどうぞよろしくお願いいたします。
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┃ 『村上RADIO ~The Beatle Night~』 ┃
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2019(令和元)年06月16日(日) 第6回放送
19:00-19:55放送 TOKYO FM/JFN38局ネット
20:00-20:55放送 エフエム山形
21:00-21:55放送 FM沖縄
‡2019(令和元)年06月17日(月) 聴取可能期限21:38まで
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この番組は、村上春樹史上初、自らがディレクターとなり
テーマに合わせて選曲し、語ります! (C)フジモトマサル
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ビートルズの初期のヒットソングのカヴァーを集めました。
ビートルズのヒットソングはなにしろ星の数ほどあるので、
今回は時代を区切り、アルバム『ラバー・ソウル』以前の曲だけに限りました。
彼らが若き日に産み出した瑞々しい音楽を、
村上特選のひと味違うカヴァーでたっぷり楽しんでください。 村上春樹
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こんばんは、村上春樹です。今夜はビートルズの初期ヒットソングのカバー特集です。The Beatle Night――どうして初期だけかっていうと、あまりにもヒットソングの数が多いからですね。だから今回は範囲をぐっと絞って、アルバム「ラバー・ソウル」以前に発表されたものだけに限りました。でも素敵な曲ばかりですよ。ビートルズは、『ラバー・ソウル』以降の曲がだいたい高く評価されているし、まあそれはそのとおりなんです。「ラバー・ソウル」以降のビートルズの曲は、歌詞の内容も深くなっているし、コード進行も洗練されています。でも初期のビートルズの音楽には、“大きく息を吸い込んで吐いたら、それがそのまま素敵な音楽になっていた”みたいなナチュラルな感覚があります。今夜はドラッグ・カルチャーに足を踏み入れる以前のビートルズがつくった、若々しくオリジナルな音楽を、ひと味違うカバーで楽しんでください。
①♪Madison Time♪ Donald Fagen with Jeff Young & the Youngesters
『The New York Rock And Soul Revue ?? Live At The Beacon』Giant Records 1991
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②♪Tu Perds Ton Temps♪ (♪Please Please Me♪) Petula Clark
『Plaza De Toros』MAGIC 1963
ペトゥラ・クラークがフランス語で歌う「プリーズ・プリーズ・ミー」。フランス語の題は“Tu Perds Ton Temps(チュ・ペル・トントン)”。この「チュ・ペル・トントン」という繰り返しは気持ちよく耳に残って、僕は個人的にわりと好きです。なんでまたフランス語で、と思われるかもしれませんが、ペトゥラ・クラークはカナダ人だから、フランス語でカバーしても、とくに不思議はないんです。“Tu Perds Ton Temps”は英語でいえば“You are wasting your time”、「それは時間の無駄よ」ということです。初期のビートルズの曲は、みんな勝手な歌詞をつけて、適当に歌っていたんです。あとになると管理が厳しくなりますけど。
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僕が同時代的に初めて聴いたビートルズの曲は、実はこの「プリーズ・プリーズ・ミー」なんです。僕はこのとき14歳くらいだったんだけど、たしか米軍放送のFEN(Far East Network)で聴いて、「これはすごい」と一発で思いました。何がどうすごかったか?それはよくわかりません。
そのときもよくわからなかったし、今でもまだよくわからない。ただ「この音楽の響きはこれまでにはなかったものだ」ということだけはきっぱりと確信できました。それが僕のビートルズの音楽に対する第一印象でした。「これから新しい世界が始まるんだ」みたいな、わくわくした気分がありました。それは、ビーチボーイズの「サーフィンUSA」を初めて聴いたときにも感じたことです。実際に時代が大きく動いていたんでしょうね。
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③♪I Saw Her Standing There♪ Little Richard
『Come Together (Black America Sings Lennon & McCartney)』Ace 2011
リトル・リチャードが歌う「I Saw Her Standing There」。へえ、リトル・リチャードがこんな曲を歌うんだ、と意外に思うんだけど、しっかりシャウトして、ソウルしています。ジョン・レノンはリトル・リチャードの音楽が大好きで、初期のビートルズは彼の曲をいくつかカバーしています。「カンザス・シティー」とか「ロング・トール・サリー」とか。だからリトル・リチャードがビートルズの曲を逆にカバーし返してくれたことは、彼らにとってはすごく嬉しかったと思います。「え、あのリトル・リチャードが僕らの曲をカバーしてくれるわけ?」みたいな感じで。ジョン・レノンが少年時代、学校の帰りに友だちの家に寄って、初めて「ロング・トール・サリー」を聴いたとき、あまりの衝撃に声も出なかったということです。そういうのが彼の音楽の原体験になっています。この「I Saw Her Standing There」をつくったのは、ジョンではなくポールですが、ベースのリフ部分はチャック・ベリーのある曲からそのままパクったんだと、あとになってポールは告白しています。いいんです。みんなパクるんです、多かれ少なかれ、最初は。そういえば、ビーチボーイズだって、チャック・ベリーからけっこうパクってますよね。
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④♪Do You Want To Know A Secret♪ Mary Wells
『Let It Be (Black America Sings Lennon, McCartney And Harrison)』Ace 2016
黒人シンガー、メアリー・ウェルズの歌ったビートルズ・ナンバー、“Do You Want to Know a Secret?”、「秘密を知りたいかい」です。この曲を書いたのはジョン・レノンだけど、歌っているのはジョージ・ハリスン。ジョージがレコーディングでソロ・ボーカルをとった最初の曲として有名です。 ジョージはスタジオで急に「おまえ、これ歌えよ」とジョンに言われて、どうやって歌えばいいのかわからなくて、すごく戸惑ったそうです。それまでほとんどソロをとらせてもらえなかったから、「そんなこと、急に言われてもなあ」みたいな感じだったんでしょうね。ジョンとポールは、歌うのは自分たち二人だけで十分だと思っていたんだけど、ジョージにもリンゴにもそれぞれファンがついてきたので、「あいつら歌は下手だけど、まあ少しくらい歌わせてやろうか。簡単な曲だし」と。この曲は、LP「プリーズ・プリーズ・ミー」に収められただけで、シングルカットはされませんでした。でも「ビリー・J・クレイマー & ザ・ダコタス」がカバーして、そのシングルは英国ヒットチャートの二位まで上がりました。ジョージ、わりに立場ないですよね。
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⑤♪She Loves You♪ Rita Lee
『Bossa'n Beatles』Lideres 2001
ブラジル人の女性歌手、リタ・リーが歌う「シー・ラブズ・ユー」です。バックミュージシャンも全員ブラジル人。ブラジル風ビートルズです。ビートルズがこの曲を吹き込んだのは1963年7月、この曲はアメリカとイギリス両国でヒットチャートの一位に輝いています。この「シー・ラブズ・ユー」がアメリカで「ビルボード」の一位になった週には、二位が「抱きしめたい」、三位が「プリーズ・プリーズ・ミー」と、ワン・ツー・スリーでビートルズがチャートの上位を独占しています。すごい人気だったんですね。
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僕は若い頃、ビートルズのレコードって自分では買ったことがなかったんです。ビートルズの音楽はもちろん好きだったけど、こういう音楽はラジオで聴くものだと思って、お金を出してまで買わなかった。わざわざ買わなくても、ラジオで毎日がんがんかかってましたから。そのせいで、ビートルズのヒット・ソングはよく知っているけど、ラジオではかからないマイナーな曲はあまり知らない、という状況が生まれました。簡単に言えば、ビートルズは好きだったけど、決して熱心なファンではなかったということですよね。 僕は、ジャズ喫茶に通ってマイルズとかコルトレーンとかを聴きまくり、当時からオペラなんかも聴きに行ってました。救いがたく小生意気な少年だったんです。「やなガキ」っていう方が近いかな。でも大人になってから、ふとしたきっかけで彼らの音楽をじっくり、腰を据えて聴くようになります。その話はまたあとで。
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⑥♪All My Loving♪ Suzy Bogguss & Chet Atkins
『Come Together - America Salutes The Beatles』Liberty 1995
♪オール・マイ・ラヴィング♪、ポールが書いた曲です。ギターの名手チェット・アトキンスをバックに、カントリー歌手のスージー・ボガスが歌っています。ビートルズの歌ったこの曲、なぜかシングルカットはされませんでした。ビートルズの場合、素晴らしい曲が次々に出てくるものだから、シングルカットが間に合わなかったというのが実状みたいですね。
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僕は専業作家になるまでずっとジャズ関係の仕事をしていて、十年近く朝から晩までジャズばかり聴いていました。もちろん楽しかったんだけど、十年続くとさすがに疲れて、仕事をやめてから三、四年くらい、「ジャズはちょっといいか」と思って、クラシックとロックばかり聴いていました。80年代の半ばには日本を離れて、ヨーロッパで何年か暮らしました。日本にいてもあまりいいことないから、外国でも行くか……みたいな感じで。最初、ギリシャのスペッツェスっていう島に住んで、そこでなんもせず、ただぼーっとしていました。音楽を聴く手段というと、カセットテープのウォークマンしかなかった。その日本から持ってきた何本かのテープの中に、たまたまビートルズの「ホワイト・アルバム」があって、海岸でのんびり釣りなんかしながら、毎日そのカセットテープを聴いてました。ギリシャの島って、海はきれいだけど、思いのほか魚は釣れないんです。釣れても、調理もできないような小さな雑魚ばかりです。おまけに突堤の先で釣りをしていると、近所の猫たちがまわりにいっぱい集まってきて、僕がたまに釣り上げると、みんなでわっととびかかってくるんです。で、まあ、しょうがないから魚がかかるたびに猫たちにあげてました。結構怖いですから。(ニャー、グルグル、猫の怒りの鳴き声)そんな毎日を送りながら「ホワイト・アルバム」を浜辺で聴いていると、音楽が不思議なくらい心に沁みてくるんです。これ、いいなあ、と実感しました。そしてビートルズの音楽にインスパイアされてというか、この年の冬に長編小説を書き始めました。それが長編小説『ノルウェイの森』です。
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⑦♪And I Love Her♪ Sarah Vaughan
『Songs Of The Beatles』Atlantic 1981
“And I Love Her”――この素晴らしいバラードはポールの手によるものです。でもここでは女性歌手サラ・ヴォーンが歌っているので、“And I Love Him”になります。サラのバックをつとめているのはマーティとデヴィッドのペイチ親子、ジョーとジェフとスティーヴのポーカロ・ファミリー、という「TOTO」の中心メンバーです。だからいつものサラ・ヴォーンとはひと味違います。
この曲でサラは“And I Love Him”って歌っていますが、コーラスは“And I Love Her”って歌ってます。どうでもいいことかもしれないけど、けっこう気になりますね。このアルバム「Songs of the Beatles」が発表されたのは1981年ですが、フュージョン方向に振れすぎているということで、ジャズ・ファンの間で当時あまり評判が良くなかったという記憶があります。 僕はけっこう好きでしたけど。
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⑧♪Can't Buy Me Love♪ Johnny Rivers
『A Tower Records Tribute To The Beatles』EMI 1996
ジョニー・リヴァースがカバーした「Can’t Buy Me Love」。このLPのジャケットには、LAのクラブ「ウィスキー・ア・ゴーゴー」における超ライブ録音(Very, very live!)と書いてあるんだけど、拍手とか歓声とか、どことなく後付けっぽいですね。しかしそれでもなんか、わいわい楽しそうです。切れの良いバック・バンドは、おそらく「レッキング・クルー」の面々でしょう。ベースライン、かっこいいですよね。
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アメリカで中古レコード屋にいくと、よく店員とか常連とかが集まって、音楽がらみのトリビア・クイズを出し合っているんです。オタクっぽいというか、そばで聴いていると楽しいです。たまに答えがわかるのがあると、思わず僕も「はぁい」と手を上げたくなるんだけど、もちろんそんなことはしません。たとえば「アメリカで最初にビートルズの曲をカバーした歌手は?」みたいな質問があります。これは簡単ですね。僕でもわかる。デル・シャノンの歌った『フロム・ミー・トゥ・ユー』です。まだビートルズがアメリカで無名の頃にとりあげてシングルで出して、ビルボード・チャートの77位まで上がりました。ビートルズのシングルの方は100位にも入らなかったんだけど。そんなどうでもいい知識をみんなで競い合うわけです。昔『ハイ・フィデリティー』(2000年製作、監督スティーブン・フリアーズ、原作ニック・ホーンビィ)という中古レコード店のオーナーが主人公になった映画がありましたけど、あのまんまの世界です。でも、そういう中古レコード屋文化みたいな独特の雰囲気も、だんだん消えていくのかもしれませんね。このあいだも久しぶりにニューヨークのヴィレッジあたりを回ったら、なじみのレコード・ショップ、半分くらい店じまいしていました。家賃がすごく上がって、店を維持しきれなくなったんだそうです。淋しいですね。デル・シャノンの歌う『フロム・ミー・トゥ・ユー』、それから続けて『You’ve Got To Hide Your Love Away』、ジャズ・ギタリスト、ジョン・ピッツァレリの歌で聴いてください。
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⑨♪From Me To You♪ Del Shannon
『The Complete UK Singles (And More) 1961-1966』Ace 2013
⑩♪You've Got To Hide Your Love Away♪ John Pizzarelli
『Meets The Beatles』RCA 1998
♪You've Got To Hide Your Love Away♪、♪君は愛を押し隠さなくては♪、ボブ・ディランっぽい雰囲気を持つなかなか素敵な曲ですが、当時の日本語のタイトルは「悲しみはぶっとばせ」、1960年代風というか、すごい言語感覚ですよね。そういえば『ベートーヴェンをぶっ飛ばせ』もビートルズの演奏でヒットしました。そう、この頃のビートルズはいろんなものを片端からぶっ飛ばしていたんですね。
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僕は40代になるまで、ビートルズのレコードを自分で買ったこともなかったし、正面からまともに彼らの音楽を聴いたこともありませんでした。ただ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のアルバムだけは、例外的に高校時代から手元に持っていて、隅々までけっこうしっかり聴いていました。高校のときわりに仲良かった女の子から「これを聴きなさい」と言われて貸してもらって、そのまま借りっぱなしになっていたんです。東芝の赤盤LP。悪いなあ、返さなくちゃなあ……と思いつつ、連絡がとれず、半世紀以上そのままになっています。半世紀、長いですよねえ。でも考えてみれば、その頃熱心なビートルズ・ファンだった16歳の女の子たちも、今ではもう孫の二、三人はいようかという年齢になっているんですね。時の経つのは速いです。まあ、皆さんも気をつけてください。というか、うーん、気をつけてどうなるってものでもないですが。
⑪♪Yesterday♪ Marianne Faithfull
『Lennon & McCartney Songbook』Connoisseur Collection 1990
この曲は当時、ほんとうにとことん流行ったんです。どれくらい流行ったかというと、僕が「この曲はもう一生聴かなくてもかまわない」と思ってしまうくらい流行りました。なにしろラジオのスイッチを点ければ、「イエスタデイ」が流れているんです。良い曲なんだけど、最後には「もういい、イエスタデイ、頼むからやめてくれ!」と叫びたくなりました。そんな僕でも、このマリアンヌ・フェイスフルが可憐な声で歌う「イエスタデイ」はときどき聴きたくなります。マリアンヌ・フェイスフル……最近はすっかりドスのきいた声になってしまいましたが、この頃は妖精のようなイノセントな歌声でした。
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『サージェント・ペパーズ』の話を続けます。先日、知り合いのオランダの人から「ジ・アナログズ(THE ANALOGUES)」というバンドのDVDが送られてきたんですが、これがビートルズそっくりに演奏するオランダのバンドでして、アルバム「サージェント・ペパーズ」に収録されている音楽をライブで、順番通り厳密に再現しているんです。それもわざわざリバプールまで行って、地元の観客の前でやってるんです。ヴィジュアル的には今ひとつ冴えないおっさんバンドなんだけど、楽器やらPAやらもすべて当時のオリジナルのものを揃えているという徹底ぶりで、そのすさまじい熱意に打たれます。コンセプトとしては、クラシック音楽の古楽器演奏と同じです。ビートルズは『サージェント・ペパーズ』を発表した頃にはもうライブ演奏をやめていましたから、彼らがどんな楽器を使ってどんな風に演奏したか、映像として残っていないので僕らにはなかなかわからない。ところがこのアナログズのライブ演奏を見ていると、「へえ、このサウンドはこんなふうに構成されていたんだ」みたいなことがだいたい一目で見て取れます。もちろんスタジオ録音をそのままライブで再現することはできないから、あくまで近似値なんだけど、それにしても目からウロコというか、一見一聴の価値はあります。「ジ・アナログズ」というバンドです。名前もなかなかいいですね。
⑫♪Norwegian Wood♪ Gary Burton
『Something's Coming! - The Groovy Sound Of Music - The Time Machine』BGO Records 2016
最後はこの曲、「ノルウェイの森」。「ラバー・ソウル」まではいかないつもりだったんですが、やはりこれが出てこないと番組が終わらない、というか(笑)。オリジナルの録音は1965年10月、もちろんジョンが書いた曲です。たぶんジョン以外の人には書けない曲ですよね。演奏しているのは、ジャズ・ヴァイブラフォン奏者ゲイリー・バートン。一人でヴァイブとピアノとベース、マリンバを演奏しています。多重録音です。若い頃のゲイリー・バートンって、独特の鋭い透明感があって、僕は好きでした。
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今日の最後の言葉。ちょっと長いけど、あるインタビューでのポール・マッカートニーの発言です。
「みんなは、ジョンにはハードなエッジがあり、僕のエッジはソフトだと決めつけている。長年そう言われ続けてきたもので、そういうものかと僕も思っていた。でも妻のリンダは言うんだ、『あなたにはハードなエッジがある。ただそれが表面に出てこないだけよ』って。そのとおりだ。僕はそうしようと思えば噛みつくこともできるし、しっかりハードな一面を持っている。また彼女は言う。『そしてジョンにはとてもソフトな一面があったわ』って。そうなんだ、ジョンのそういうソフトな面が、僕はすごく好きだった」そんな持ち味の異なる、優れた才能を持つ二人がたまたま出会い、理解しあい助け合い、また時には反発しあったからこそ、あれだけ見事な音楽が次々に生まれきたのでしょうね。その巡り会いの惑星直列的な素晴らしさに、ただ感心するしかありません。それでは今日はお別れです。
6月26日にいよいよ村上JAM、公開録音があります。お楽しみに。またお会いしましょう。
┌─―――――┐
|スタッフ後記|放送を終えて、
└─―――――┘番組制作を担当したスタッフのコメントをご紹介します。
◎村上春樹がビートルズを語る。それはきっと夢のような、世界中のファンも喜ぶ番組になりました。高校時代の同級生が安田君といって、オノヨーコさんの甥でした。年の瀬にはヨーコさんとジョンからのクリスマスカードが届いて、毎年それを僕に見せてくれた。今回の番組、ヨーコさんにも伝えてと安田君に言わないと!(延江エグゼクティブプランナー)
◎神戸の町でガールフレンドから「サージェント・ペパーズ……」のレコードを借りている村上少年、スペッツェス島の突堤の先でのんびり釣りをする春樹さんと猫、そして「ホワイト・アルバム」のカセットテープ。初期ビートルズはいつも記憶の扉を“トントン”とノックしてくれます。ちょうど村上さんの小説の夏の風景のように。ところで、僕はジョージ・ハリスンが好きです。(エディターS)
◎ビートルズの初期ヒットソングカバー特集。小説「ノルウェイの森」の誕生秘話が村上さん本人の口から語られる、大変貴重な回となりました。鳥肌立ちました!村上さんのヨーロッパ滞在記はエッセイ「遠い太鼓」でも読むことができます。(構成ヒロコ)
◎6月の「村上RADIO」は、ビートルズ初期のカバー特集です。村上さんからこの企画を最初に聞いた時、なぜ初期なんだろうと思いました。一般的に評価の高い後期ではない、複雑な音楽になる前のビートルズ。番組を作ってるうちに、その謎は解けたような、本家越えという野望なんて微塵も感じさせない、無垢な音楽が並んでいます。自分も後期だけじゃない初期のビートルズをカバーできる人間でありたいと思った、6月の「村上RADIO」です。(キム兄)
◎6月の村上RADIOのテーマは初期のビートルズ。仕事にかこつけてビートルズを聞きまくりたい…と思っていた6月初旬。しかし、6月26日に行われる、村上春樹さん作家デビュー40周年JAMの準備も並行して行っているゆえ、そこまで浸れなかった6月でした。村上JAMの模様は後日ちゃんと番組に致しますので、村上JAMに当選しなかった方は、放送でお楽しみくださいね。愛を込めて、皆さまにこの素晴らしいライブの模様をお届けしますゆえ…。(レオP)
◎聴き慣れたはずのビートルズの曲も、ちょっと変わったカヴァーバージョンに村上春樹さんのおしゃべりが加わって、とても新鮮に聴けましたね。放送では、ビートルズの原曲がおしゃべりのBGMとして散りばめられていましたが、カヴァーバージョンと並べて聴いて、ビートルズの素晴らしさも再発見できた気がします。ところで、村上春樹さんのお話の中に出てきた、赤盤LPってなんのことかと思ってちょっと調べてみたら、なんとかっこいいアナログレコード!こんな赤い透明なレコード盤があったんですね!(CADイトー)
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https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/index_20190616.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/村上春樹
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村上春樹が語るビートルズとの出会い「これから新しい世界が始まるんだ」
2019(令和元)年06/16(日) 20:11 YAHOO!JAPANニュース配信
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめたラジオ番組「村上RADIO~The Beatle Night~」が、6月16日(日)にTOKYO FMにて放送されました。この番組では村上さん自らディレクターもつとめ、リスナーに“聴いてもらいたい曲”をかけています。
第6回の放送となる今回は、村上さんが選んださまざまなアーティストによる、ビートルズのカバー曲を紹介しました。本記事では、そのなかから前半の2曲についてお話しされた概要を紹介します。
◆「Madison Time」Donald Fagen with Jeff Young & the Youngesters
今夜はビートルズの初期ヒットソングのカバー特集です。The Beatle Night。どうして初期だけかっていうと、あまりにもヒットソングの数が多いからです。だから今回は範囲をぐっと絞って、アルバム『ラバー・ソウル』以前に発表されたものだけに限りました。素敵な曲ばかりですよ。ビートルズは『ラバー・ソウル』以降の曲がだいたい高く評価されているし、それはそのとおりなんです。『ラバー・ソウル』以降のビートルズの曲は、歌詞の内容も深くなっているし、コード進行も洗練されています。でも、初期のビートルズの音楽には、“大きく息を吸い込んで吐いたら、それがそのまま素敵な音楽になっていた”みたいなナチュラルな感覚があります。今夜は、ドラッグ・カルチャーに足を踏み入れる以前のビートルズがつくった、若々しくオリジナルな音楽を、ひと味違うカバーで楽しんでください。
◆「Tu Perds Ton Temps(Please Please me)」Petula Clark
ペトゥラ・クラークがフランス語で歌う「プリーズ・プリーズ・ミー」。フランス語の題は“Tu Perds Ton Temps(チュ・ペル・トントン)”。この「チュ・ペル・トントン」という繰り返しは、気持ちよく耳に残って、僕は個人的にわりと好きです。なんでまたフランス語で、と思われるかもしれませんが、ペトゥラ・クラークはカナダ人だから、フランス語でカバーしても、とくに不思議はないんです。“Tu Perds Ton Temps”は、英語で言えば“You are wasting your time”、「それは時間の無駄よ」ということです。初期のビートルズの曲は、みんな勝手な歌詞をつけて、適当に歌っていたんです。あとになると管理が厳しくなりますけど。僕が同時代的に初めて聴いたビートルズの曲は、実はこの「プリーズ・プリーズ・ミー」。僕はこのとき14歳くらいだったんだけど、たしか米軍放送のFEN(Far East Network)で聴いて、「これはすごい」と一発で思いました。何がどうすごかったか? それはよくわかりません。そのときもよくわからなかったし、今でもまだよくわからない。ただ「この音楽の響きはこれまでにはなかったものだ」ということだけは、きっぱりと確信できました。それが僕のビートルズの音楽に対する第一印象でした。「これから新しい世界が始まるんだ」みたいな、わくわくした気分がありました。それは、ビーチボーイズの「サーフィンUSA」を初めて聴いたときにも感じたことです。実際に時代が大きく動いていたんでしょうね。
◆「I Saw Her Standing There」Little Richard
リトル・リチャードが歌う「I Saw Her Standing There」。へえ、リトル・リチャードがこんな曲を歌うんだ、と意外に思うんだけど、しっかりシャウトして、ソウルしています。ジョン・レノンはリトル・リチャードの音楽が大好きで、初期のビートルズは彼の曲をいくつかカバーしています。「カンザス・シティー」とか「ロング・トール・サリー」とか。だからリトル・リチャードがビートルズの曲を逆にカバーし返してくれたことは、彼らにとってはすごく嬉しかったと思います。「え、あのリトル・リチャードが僕らの曲をカバーしてくれるわけ?」みたいな感じで。ジョン・レノンが少年時代、学校の帰りに友だちの家に寄って、初めて「ロング・トール・サリー」を聴いたとき、あまりの衝撃に声も出なかったということです。そういうのが彼の音楽の原体験になっています。この「I Saw Her Standing There」をつくったのは、ジョンではなくポールですが、ベースのリフ部分はチャック・ベリーのある曲から、そのままパクったんだと、あとになってポールは告白しています。いいんです。みんなパクるんです、多かれ少なかれ、最初は。そういえば、ビーチボーイズだって、チャック・ベリーからけっこうパクってますよね。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190616-00010008-tokyofm-ent
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村上春樹「ノルウェイの森」は、「ビートルズの音楽にインスパイアされて…」
2019(令和元)年06-16 (日) 19:50
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめたラジオ番組「村上RADIO~The Beatle Night~」が、6月16日(日)にTOKYO FMにて放送されました。この番組では村上さん自らディレクターもつとめ、リスナーに“聴いてもらいたい曲”をかけています。
第6回の放送となる今回は、村上さんが選んださまざまなアーティストによる、ビートルズのカバー曲を紹介しました。本記事では、そのなかから中盤の3曲についてお話しされた概要を紹介します。
◆「Do You Want To Know A Secret」Mary Wells
黒人シンガー、メアリー・ウェルズが歌ったビートルズ・ナンバー“Do You Want to Know a Secret?”、「秘密を知りたいかい」です。この曲を書いたのはジョン・レノンだけど、歌っているのはジョージ・ハリスン。ジョージがレコーディングでソロ・ボーカルをとった最初の曲として有名です。
◆「She Loves You」Rita Lee
ブラジル人の女性歌手、リタ・リーが歌う「シー・ラブズ・ユー」です。バックミュージシャンも全員ブラジル人。ブラジル風ビートルズです。ビートルズがこの曲を吹き込んだのは1963年7月。この曲は、アメリカとイギリス両国でヒットチャートの1位に輝いています。この「シー・ラブズ・ユー」がアメリカで「ビルボード」の1位になった週には、2位が「抱きしめたい」、3位が「プリーズ・プリーズ・ミー」と、ワン・ツー・スリーでビートルズがチャートの上位を独占しています。すごい人気だったんですね。僕は若いころ、ビートルズのレコードは自分では買ったことがなかったんです。ビートルズの音楽はもちろん好きだったけど、こういう音楽はラジオで聴くものだと思って、お金を出してまで買わなかった。わざわざ買わなくても、ラジオで毎日がんがんかかってましたから。そのせいで、ビートルズのヒット・ソングはよく知っているけど、ラジオではかからないマイナーな曲はあまり知らない、という状況が生まれました。簡単に言えば、ビートルズは好きだったけど、決して熱心なファンではなかったということですよね。僕は、ジャズ喫茶に通ってマイルズとかコルトレーンとかを聴きまくり、当時からオペラなんかも聴きに行ってました。救いがたく小生意気な少年だったんです。“イヤなガキ”っていうほうが近いかな。でも、大人になってから、ふとしたきっかけで彼らの音楽をじっくり、腰を据えて聴くようになります。
◆「All My Loving」Suzy Bogguss & Chet Atkins
「オール・マイ・ラヴィング」、ポールが書いた曲です。ギターの名手チェット・アトキンスをバックに、カントリー歌手のスージー・ボガスが歌っています。ビートルズの歌ったこの曲、なぜかシングルカットはされませんでした。ビートルズの場合、素晴らしい曲が次々に出てくるものだから、シングルカットが間に合わなかったというのが実状みたいですね。
僕は専業作家になるまで、ずっとジャズ関係の仕事をしていて、10年近く朝から晩までジャズばかり聴いていました。もちろん楽しかったんだけど、10年続くとさすがに疲れて、仕事を辞めてから3、4年くらい「ジャズはちょっといいか」と思って、クラシックとロックばかり聴いていました。80年代の半ばには日本を離れて、ヨーロッパで何年か暮らしました。日本にいてもあまりいいことないから、外国でも行くか……みたいな感じで。最初、ギリシャのスペッツェスっていう島に住んで、そこでなんにもせず、ただぼーっとしていました。音楽を聴く手段というと、カセットテープのウォークマンしかなかった。日本から持ってきた何本かのテープのなかに、たまたまビートルズの『ホワイト・アルバム』があって、海岸でのんびり釣りなんかしながら、毎日そのカセットテープを聴いてました。ギリシャの島って、海はきれいだけど、思いのほか魚は釣れないんです。釣れても、調理もできないような小さな雑魚ばかりです。おまけに突堤の先で釣りをしていると、近所の猫たちがまわりにいっぱい集まってきて、僕がたまに釣り上げると、みんなでわっと飛びかかってくるんです。で、まあ、しょうがないから魚がかかるたびに猫たちにあげてました。けっこう怖いですから。そんな毎日を送りながら『ホワイト・アルバム』を浜辺で聴いていると、音楽が不思議なくらい心に沁みてくるんです。これ、いいなあ、と実感しました。そしてビートルズの音楽にインスパイアされてというか、この年の冬に長編小説を書き始めました。それが長編小説「ノルウェイの森」です。
https://tfm-plus.gsj.mobi/news/tZ0MvuF89q.html
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村上春樹 高校時代の女の子に「返せていないレコード」は…?
2019(令和元)年06/16(日) 19:50
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめたラジオ番組「村上RADIO~The Beatle Night~」が、6月16日(日)にTOKYO FMにて放送されました。この番組では村上さん自らディレクターもつとめ、リスナーに“聴いてもらいたい曲”をかけています。第6回の放送となる今回は、村上さんが選んださまざまなアーティストによる、ビートルズのカバー曲を紹介しました。本記事では、そのなかから中盤の3曲についてお話しされた概要を紹介します。
◆「And I Love Her」Sarah Vaughan ⇒“And I Love Her”――この素晴らしいバラードは、ポールの手によるものです。でもここでは、女性歌手サラ・ヴォーンが歌っているので、“And I Love Him”になります。サラのバックをつとめているのは、マーティとデヴィッドのペイチ親子、ジョーとジェフとスティーヴのポーカロ・ファミリー、という「TOTO」の中心メンバーです。だからいつものサラ・ヴォーンとはひと味違います。
◆「Can’t Buy Me Love」Johnny Rivers ⇒ ジョニー・リヴァースがカバーした「Can’t Buy Me Love」。このLPジャケットには、LAのクラブ「ウィスキー・ア・ゴーゴー」における超ライブ録音(Very, very live!)と書いてあるんだけど、拍手とか歓声とか、どことなく後付けっぽいですね。しかし、それでもなんか、わいわい楽しそうです。切れの良いバック・バンドは、おそらく「レッキング・クルー」の面々でしょう。ベースライン、かっこいいですよね。アメリカで中古レコード屋に行くと、よく店員とか常連とかが集まって、音楽がらみのトリビア・クイズを出し合っているんです。オタクっぽいというか、そばで聴いていると楽しいです。たまに答えがわかるのがあると、思わず僕も「はぁい」と手を上げたくなるんだけど、もちろんそんなことはしません。たとえば「アメリカで最初にビートルズの曲をカバーした歌手は?」みたいな質問があります。これは簡単ですね。僕でもわかる。デル・シャノンが歌った「フロム・ミー・トゥ・ユー』です。まだ、ビートルズがアメリカで無名のころに取り上げてシングルで出して、ビルボード・チャートの77位まで上がりました。ビートルズのシングルのほうは、100位にも入らなかったんだけど。そんなどうでもいい知識をみんなで競い合うわけです。昔、映画「ハイ・フィデリティ」(2000年製作、監督スティーブン・フリアーズ、原作ニック・ホーンビィ)という中古レコード店のオーナーが主人公になった映画がありましたけど、あのまんまの世界です。でも、そういう中古レコード屋文化みたいな独特の雰囲気も、だんだん消えていくのかもしれませんね。このあいだも久しぶりにニューヨークのヴィレッジあたりを回ったら、なじみのレコード・ショップ、半分くらい店じまいしていました。家賃がすごく上がって、店を維持しきれなくなったんだそうです。淋しいですね。
◆「From Me To You」Del Shannon、「You’ve Got To Hide Your Love Away John Pizzarelli」John Pizzarelli ⇒“You've Got To Hide Your Love Away”、「君は愛を押し隠さなくては」。ボブ・ディランっぽい雰囲気を持つ、なかなか素敵な曲ですが、当時の日本語のタイトルは「悲しみはぶっとばせ」。1960年代風というか、すごい言語感覚ですよね。そういえば「ベートーヴェンをぶっ飛ばせ」もビートルズの演奏でヒットしました。そう、このころのビートルズは、いろんなものを片端からぶっ飛ばしていたんですね。僕は40代になるまで、ビートルズのレコードを自分で買ったこともなかったし、正面からまともに彼らの音楽を聴いたこともありませんでした。ただ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のアルバムだけは、例外的に高校時代から手元に持っていて、隅々までけっこうしっかり聴いていました。高校のとき、わりに仲良かった女の子から「これを聴きなさい」と言われて貸してもらって、そのまま借りっぱなしになっていたんです。東芝の赤盤LP。悪いなあ、返さなくちゃなあ……と思いつつ、連絡がとれず、半世紀以上そのままになっています。半世紀、長いですよねえ。
https://tfm-plus.gsj.mobi/news/n09o9Lr04R.html
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村上春樹「もう一生聴かなくてもかまわない」と思ったビートルズの曲は?
‡2019(令和元)年06/17(月) 21:11配信
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめたラジオ番組「村上RADIO~The Beatle Night~」が、6月16日(日)にTOKYO FMにて放送されました。この番組では村上さん自らディレクターもつとめ、リスナーに“聴いてもらいたい曲”をかけています。第6回の放送となる今回は、村上さんが選んださまざまなアーティストによる、ビートルズのカバー曲を紹介しました。本記事では、そのなかから後半の2曲と村上さんの“好きな言葉”についてお話された概要を紹介します。
◆「Yesterday」Marianne Faithful ⇒ この曲は当時、本当にとことん流行ったんです。どれくらい流行ったかというと、僕が「この曲はもう一生聴かなくてもかまわない」と思ってしまうくらい流行りました。なにしろラジオのスイッチを点ければ、「イエスタデイ」が流れているんです。良い曲なんだけど、最後には「もういい、『イエスタデイ』、頼むからやめてくれ!」と叫びたくなりました。そんな僕でも、このマリアンヌ・フェイスフルが可憐な声で歌う「イエスタデイ」は、ときどき聴きたくなります。最近はすっかりドスのきいた声になってしまいましたが、このころのマリアンヌ・フェイスフルは妖精のようなイノセントな歌声でした。『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の話を続けます。先日、知り合いのオランダの人から「ジ・アナログズ(The Analogues)」というバンドのDVDが送られてきたんですが、これがビートルズそっくりに演奏するオランダのバンドでして、アルバム『サージェント・ペパーズ』に収録されている音楽をライブで、順番通り厳密に再現しているんです。それも、わざわざリバプールまで行って、地元の観客の前でやってるんです。ヴィジュアル的には今ひとつ冴えないおっさんバンドなんだけど、楽器やらPAやらも、すべて当時のオリジナルのものを揃えているという徹底ぶりで、そのすさまじい熱意に打たれます。コンセプトとしては、クラシック音楽の古楽器演奏と同じです。ビートルズは『サージェント・ペパーズ』を発表したころには、もうライブ演奏をやめていましたから、彼らがどんな楽器を使って、どんなふうに演奏したか、映像として残っていないので、僕らにはなかなかわからない。ところが、このアナログズのライブ演奏を見ていると、「へえ、このサウンドは、こんなふうに構成されていたんだ」みたいなことが、だいたい一目で見て取れます。もちろん、スタジオ録音をそのままライブで再現することはできないから、あくまで近似値なんだけど。それにしても、目からウロコというか、一見一聴の価値はあります。「ジ・アナログズ」、名前もなかなかいいですね。
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◆「Norwegian Wood」Gary Buerton ⇒ 最後はこの曲、「ノルウェイの森」。『ラバー・ソウル』まではいかないつもりだったんですが、やはりこれが出てこないと番組が終わらない、というか(笑)。オリジナルの録音は1965年10月、もちろんジョンが書いた曲です。たぶん、ジョン以外の人には書けない曲ですよね。演奏しているのは、ジャズ・ヴァイブラフォン奏者ゲイリー・バートン。1人でヴァイブとピアノとベース、マリンバを演奏しています。多重録音です。若いころのゲイリー・バートンは、独特の鋭い透明感があって、僕は好きでした。今日の最後の言葉。ちょっと長いけど、あるインタビューでのポール・マッカートニーの発言です。「みんなは、ジョンにはハードなエッジがあり、僕のエッジはソフトだと決めつけている。長年そう言われ続けてきたもので、そういうものかと僕も思っていた。でも、妻のリンダは言うんだ。『あなたにはハードなエッジがある。ただそれが表面に出てこないだけよ』って。そのとおりだ。僕はそうしようと思えば噛みつくこともできるし、しっかりハードな一面を持っている。また彼女は言う。『そしてジョンにはとてもソフトな一面があったわ』って。そうなんだ、ジョンのそういうソフトな面が、僕はすごく好きだった」そんな持ち味の異なる、優れた才能を持つ2人がたまたま出会い、理解し合い、助け合い、また、ときには反発し合ったからこそ、あれだけ見事な音楽が次々に生まれきたのでしょうね。その巡り会いの惑星直列的な素晴らしさに、ただ感心するしかありません。それでは今日はお別れです。またお会いしましょう。
TOKYO FM「村上RADIO~The Beatle Night~」6月16日(日)放送分より
ern***** 1日前 ビートルズは最終的に中期の頃が最高である、が定説になって久しいがでも結局は初期に戻る。で、このまま初期に留まるのか?は10年後の楽しみにしておく。要するにビートルズは永遠である。
ama***** 1日前 ノルウェーの森は考えてみると不思議な歌詞だよね。彼女の部屋で一夜を過ごしたのに朝になったら彼女が居なくなっている状況は不可解だな。自分の部屋に連れ込んだ彼女が居なくなるのなら理解出来るんだけどね。
sss***** 1日前 ゲイリーはチックとのクリスタルサイエンスだよね。久しぶりに聴きたくなった。
https://tfm-plus.gsj.mobi/news/8DwNClXf9q.html