┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓‡1995/11/20(mon) UK
①┃ 『THE BEATLES ANTHOLOGY 1』 ┃ 1995/11/21(tue) JP、US
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 〇Disc one〇
01.♪Free As A Bird♪ 77年(ジョンのみ)、94.2~3.「アンソロジー・プロジェクト」の中で作られたビートルズの「新曲」。ジョンが77年頃に書いた曲の、未完成のデモ・レコーディング・テープに、このプロジェクトのために集まったポール、ジョージ、リンゴが手を加えて完成させることで実現した「全員参加の新曲」である。ということで、作者クレジットは4人の名前が書き連ねられており、プロデュースの方は4人とジェフ・リン。元々の音源はジョンのピアノとボーカルだけからなるもので、ジョンのボーカルも枯れ気味で荒っぽい。ただ、逆にそれがビートルズ時代の ジョンを彷彿とさせられる。曲調も、ジョンがソロ作品用に書いた曲にしてはビートルズっぽい。また、サビは1回目をポール、2回目をジョージが歌っているが、これは後から付け加えられたパートである。しかし、ここではポールよりもジョージの好サポートぶりが光る。得意のスライドを駆使したもの憂げなギター・ソロが曲と合っているし、バック・ボーカルも目立つ。ポールの方はベース、ピアノ、アコースティック・ギターなどで貢献しているが、敢えて目立たず、手堅くサポートしてジョンを引き立てようとしているのが分かる。 リンゴのドラムも「いかにも」といった感じ。ということで、聴く前は「本当に大丈夫か?」「あんまり聴きたくないなあ」と思っていた「新曲」だったが、紛れもない「ビートルズ・サウンド」に仕上がっていて、結局、感動させられてしまった。なお、エンディングのジョンの語りはMade for John Lennonと聞こえるが、逆回転して聴くと「うまくいったぞ」といったような言葉が登場するそうだが、確かめようがない。また、この曲のビデオ・クリップは、ビートルズの曲をイメージしたシーンが多く挿入されたもので、よく見ないと分からないシーンも多く、「謎解き」しながら見ても楽しめそうな実に素晴らしいものだった。 ただこの曲、この後マキシ・シングルが発売になったわけだが、アルバムと同時発売にしなかった「商売上手」的なやり方にはちょっと抵抗を覚えた。「新曲」が聴きたい人に2枚組の、しかもレア・テイク集を買わせるというのも何とも・・・。
02.Speech:John Lennon 70年のジョンのコメント
03.♪That'll Be The Day♪ 58年 1958年、クオリーメン(ビートルズの前身)がリバプールの電器店で行った自主制作レコードの「ファースト・レコーディング」のテイク。現在では(ホンモノかどうか怪しいとはいえ)57年の「ジョンとポールの運命の出会いの日」のテイクが発掘されているものの、それ以前はずっと「ビートルズ最古の音源」といわれてきた。当時のクオリーメンのメンバーはジョン、ポール、ジョージ(全員ギター担当)にドラムのコリン・ハントン、ピアノのダブ・ロウの5人。楽曲はバディ・ホリーの代表曲で、ボーカルはジョン。しかし、ジョンはまだ自分のボーカル・スタイルを確立していないようで、完全にバディ・ホリーの物真似に終始、 声も後のジョンと比べると軽い印象を受ける。当時若かったせいか、それとも録音状態のせいか分からないが・・・。演奏の方はバディ・ホリー・バージョンの完璧なコピーで、彼のオリジナル・バージョンとほとんど変わりない。しかし、ポールによるバック・ボーカルのパートは、オリジナル・バージョンにないもの。確かに、演奏自体拙く、とても将来、世界中に旋風を巻き起こすバンドとは思えないものだが、こうしたところに 彼らならではのセンスを感じる。
04.♪In Spite Of All The Danger♪ 58年の「ファースト・レコーディング」前のテイクと同じ、「ファースト・レコーディング」のテイク。こちらはポールとジョージの共作とクレジットされているオリジナル。ただし、ポールは「ジョージが作ったのはギター・ソロ。あの頃僕らは、ギター・ソロを作った人も作者としてクレジットしなければいけないと勘違いしていた」とコメントしているので、ポールの単独作品と考えてよいだろう。しかし、ポールの作品でありながらボーカルはジョン。まだまだ、ジョンが「絶対的リーダー」だったことを思い知らされる。 バラード調の曲で、この時期の作品にしては意外とよくできていると思う。ただ、ジョンの声の軽さや、ポールの音程の外れたコーラスが目立ち、やはりまだまだ拙い。でも、微笑ましく思えるのはファン心理か(笑)。なお、以上の2曲はメンバーのみが「回し聴き」するためにレコード化されていたが、このレコードはずっとダブ・ロウの手元にあり、彼は80年代に入ってオークションに出そうとした。しかし、これを知ったポールが阻止、その後はずっとポールの手元にあった。 それを「アンソロジー・プロジェクト」に合わせて提供、こうして公式発売されることとなった。ただ、That'll Be The Dayの方は、ポールがラジオで流したことがあったため、以前からブートなどで比較的簡単に聴くことができた。
05.Speech:Paul McCartney 94年のポールのコメント
06.♪Hallelujah, I Love Her So♪ 60年 60年、ジョン、ポール、ジョージにスチュアート・サトクリフ(b)というメンバーでポールの家で行われた「ホーム・レコーディング」のテイク。楽曲はレイ・チャールズのナンバーで、エディ・コクランのカバーも有名。ここでは、そのエディ・コクランのバージョンをヒントにカバーしている。なお、60年代にはアニマルズもカバーしている。ボーカルはポールだが、デビュー以前のポールは、エルヴィス・プレスリーのスタイルを真似たようなボーカルを聴かせることが多かったようで、 ここでも、そうしたスタイルのボーカルが聴ける。また、「伝説の人」スチュも参加しているはずだが、ベースの音が全然聞き取れない。そこにいたけど弾かせてもらえなかったのか、聞こえないほど小さな音で演奏したのか、ちょっと謎である。しかし、いきなり演奏の途中から始まる編集がかなり不満。ブートではコンプリートで聴けたのに・・・。
07.♪You'll Be Mine♪ 60年 同じく、60年の「ホーム・レコーディング」のテイク。ポール作の、イージー・リスニング風のバラードで、ブートでは作者クレジットはMcCartneyとなっていた。わざとイージー・リスニング調の雰囲気を出そうと、ポールが太い、低音で歌っているのが笑える。そして間奏のジョンの語り、妙な低音の声はもちろん、セリフもナンセンスな言葉遊びを駆使していて、ジョンならではのユーモアのセンスを感じる。そして、エンディングの「シャウト」というよりも「わめき声」といった方がいい奇妙な叫び声もおかしい。どことなく、後年のYou Know My Nameを思わせる、なんていうのはちょっと飛躍し過ぎだろうか? また、この曲でもスチュのベースの音が聞こえない。
08.♪Cayenne♪ 60年 これも「ホーム・レコーディング」より。ポール作のギター・インストで、ブートではThinking Of Linkingというタイトルがつけられていた。ポール作のギター・インストだけど、リード・ギターはどことなくぎこちないので、ジョージと考えた方が自然だろう。また、ここでようやくスチュのベースが聴ける。しかし、途中で止まってしまったり、リズムが乱れたりと実に拙く、 「全くの素人」という、「伝説」が本当だったということを思い知らされるところだ。なお、(3)☆TAKEの独断と偏見のところで述べた通り、このセッションでは、もっと多くの興味深いテイクがブートで発掘されているので、それらも公式に出して欲しかったところだ。
09.Speech:Paul 1962年10月、リバプールの病院向け有線放送で流されたという、何とも貴重なポールのコメント。しかし、何で次の曲のイントロに被るかなあ。
10.♪My Bonnie♪ 61.6.22.「トニー・シェリダン・セッション」で紹介済みにつき、こちらを参照
11.♪Ain't She Sweet♪ 61.6.22.「トニー・シェリダン・セッション」で紹介済みにつき、こちらを参照
12.♪Cry For A Shadow♪ 61.6.22.「トニー・シェリダン・セッション」で紹介済みにつき、こちらを参照
13.Speech:John 71年のジョンのコメント。
14.Speech:Brian Epstein 64年、エプスタインはジョージ・マーティン・プロデュースのもと、自らの自伝本の朗読をレコーディングしたとかで、このコメントはその一部を抜粋したもの。
15.♪Searchin'♪ 62.1.1.「デッカ・オーディション」で紹介済みにつき、こちらを参照
16.♪Three Cool Cats♪ 62.1.1.「デッカ・オーディション」で紹介済みにつき、こちらを参照
17.♪The Sheik Of Araby♪ 62.1.1. 「デッカ・オーディション」で紹介済みにつき、こちらを参照
18.♪Like Dreamers Do♪ 62.1.1.「デッカ・オーディション」で演奏されたポールのオリジナル作品で、64年になって女性ベーシストがいたことで知られるビート・バンド、アップルジャックスに贈られている。「デッカ・オーディション」のところで述べた通り、以前流出していたこのオーディション関連の公式アイテムでは、Lennon-McCartney作品は含まれていなかったので、この曲はここではじめて「公式発表」されたということになる。もちろん、ブートでは聴くことができたが・・・。 このオーディションのポールのボーカルは、若干「張り切り過ぎ」なところが目につくが、この曲でもやはりそう。ちょっと「生意気」な感じもするが、でも、逆にそこがよい、という感じもしないでもない。
19.♪Hello Little Girl♪ 62.1.1「デッカ・オーディション」で演奏されたジョンのオリジナル作品で、63年になってNEMS所属のフォアモストに贈られている。この曲もやはり、ここではじめて「公式発表」されたことになる。また、キャバーンなどでは頻繁に演奏されていたそうで、デビュー以前の重要なレパートリーだったようだ。事実、60年の「ホーム・レコーディング」でも録音されているが、そのテイクは全くアレンジの違う、カントリー・ポップ調のものだった。 正直、私はそっちのテイクの方が好きだが、ここでは、サビで掛け合いっぽいコーラスを導入、この当時のビートルズにとっては画期的なアレンジではないかと思われる。
20.Speech:Brian Epstein これもエプスタインによる自伝の朗読
21.♪Besame Mucho♪ 62.6.6. 62年6月6日に行われたジョージ・マーティンのレーベル、パーロフォンのオーディションの音源。オーディション、といっても、実はこれ以前にエプスタインがマーティンから「内定」を貰っていたことが最近の調査で判明している。よって、事実上の「顔見せ」程度のセッションだったようである。ビートルズがマーティンとはじめて顔を合わせた日であり、ピート・ベストがアビー・ロード・スタジオで演奏した、唯一のセッションとなった。この曲の方は、「ハンブルク・ライブ」、「デッカ・オーディション」でもお馴染みのスタンダード・ナンバーのカバー。 ただし、ここではジョンとジョージのバック・コーラスがなく、最初から終わりまでポールがひとりで歌っている。マーティンは「ジョンかポールか、どちらかをメイン・ボーカリストに据えようかと思っていた」とコメントしているので、ひょっとすると、「ポールをメインに」と考えたマーティンの指示でこういうスタイルで演奏されたのかもしれない。なお、このテイクは(2)解説のところでご紹介した幻の未発表テイク集SESSIONSにも 収録される予定があったので、既に多くのブートで出回っていた。
22.♪Love Me Do♪ 62.6.6. これも「パーロフォン・オーディション」のテイクで、曲は後にビートルズのデビュー・シングル(PAST MASTERS Vol.1収録)となり、ファースト・アルバムPLEASE PLEASE MEにも収録されたポールの作品。間奏で公式テイクにはなかった転調を施した、なかなか興味深いアレンジとなっている。しかし、もたつき気味のピートのドラムのせいもあり、リズムが乱れ気味で、せっかくの試みも失敗に終わっているという感は否めない。 正直、マーティンが彼の腕に疑問を抱いたのも仕方がないかなあと思える。また、この曲にハーモニカを加えたのは実はこの日がはじめて。そのために、以前はジョンが歌っていたlove me do, whoo love me doのフレーズを急遽ポールが歌わなければいけなくなったこともあり、どことなくポールのボーカルも緊張気味。しかし、こんな拙い演奏を聴いて「特によいとも思わなかったが、何か光るものを感じた」というマーティンの感性には驚くばかりだ。 実はこのテイク、存在こそ知られていたが、音の方はブートでも発掘されていなかったものなので、私にとっても衝撃的なものだった。なお、この日は他にもP.S. I Love YouとAsk Me Whyも演奏されている。
23.♪How Do You Do It♪ 62.9.4. デビュー・シングルのセッションで録音された曲。マーティンが用意した、ミッチ・マレーというソング・ライターの書いた曲で、マーティンがこの曲をデビュー・シングルにしようとした、しかしビートルズの4人(ここから、ようやくリンゴ参加)は、頑なにオリジナルでいきたいと主張、デビュー・シングルはLove Me Doとなり、この曲は幻のデビュー・シングルとなった・・・。この辺のエピソードは、 あちこちで語られていることなので、既にお馴染みだろう。事実、この曲はロック的な要素の全くないポップ・ソングで、確かに「売れ筋」かもしれないが、ビートルズには不似合いに思われる。4人も「やる気なさそうに演奏した」そうで、本当にノリは悪い。ただし、サビのバック・コーラスなどはビートルズならではのものがあり、「やる気がない」中でもちゃんと自己主張しているあたりに意地のようなものを感じる。 結局、この曲は後にリバプール出身で、エプスタインのマネージメント、マーティンのプロデュースでデビューするジェリー&ザ・ペイスメイカーズのデビュー・シングルとなり、全英No.1ヒットとなった。なお、古目のビートルズ本には、この曲は「幻のセカンド・シングル」で、レコーディングはセカンド・シングルPlease Please Meのセッションとされていることもあるが、これは誤り。ただし、Please Please Meのセッション時にも、 マーティンがこの曲をやろうと提案したのは事実。また、このテイクは、幻の未発表テイク集SESSIONSに収録される予定があり、ブートなどでもかなり以前から発掘されていた。
24.♪Please Please Me♪ 62.9.11. これはDisk-1最大の発掘。シングルLove Me Doのセッションのテイクで、曲の方は後にセカンド・シングルとなるジョンの作品。9月4日のセッションでリンゴのドラムに不安を持ったマーティンは、この日、アンディ・ホワイトというセッション・ドラマー(アルバム・バージョンのLove Me Doでもドラムを叩いた)を用意、ということで、ここでドラムを叩いているのはアンディ・ホワイト。彼が参加したこの曲のテイクが残っていたというのも初耳で、本当に驚かされた。 ハーモニカは入っていないし、サビのコーラスも若干異なっている。反面、疑問もある。この曲はもともと、ロイ・オービソン風のスロー・ナンバーだったが、セカンド・シングルのセッションの際、マーティンの指示でテンポをあげてレコーディングされた、というエピソードでよく知られていた。しかし、ここで聴ける通り、デビュー・シングルのセッションの時点で既にテンポはあがっており、全然ロイ・オービソン風じゃない。ひょっとすると、 マーティンが「テンポをあげるように」アドバイスしたのは、このセッションでのことだったのでは?? そう思って聴くと、本当に謎の多い、面白いテイクだ。
25.♪One After 909♪ [Sequence] 途中で切れるテイクやレコーディング中のメンバーの会話。
26.♪One After 909♪ 63.3.5. サード・シングルFrom Me To Youセッションでレコーディングされたジョンの作品。デビュー以前からのレパートリーで、60年の「ホーム・レコーディング」、62年の「キャバーン・リハーサル」などのテイクも発掘されているが、それ以上に69年の「ゲット・バック・セッション」でも演奏され、70年のアルバムLET IT BEで公式発売された曲、といった方が分かりやすいところ。 しかし、ここではそれらのテイクと全く違う、軽目の、マージー・ビート風のアレンジで演奏されていて、どことなく同時にレコーディングされたFrom Me To Youにも似た雰囲気に仕上がっている。このテイクは幻の未発表テイク集SESSIONSに収録される予定があった他、ブートなどでも既に発掘済みで、比較的お馴染みのものだった。ただ、ギター・ソロやイントロの違う、別テイクも多く流出しているようだ。 確かに、アレンジが軽いのと、ジョージのギターがぎこちないという欠点はあるけど、ボーカル・パートははつらつとしていて、個人的にはLET IT BEバージョンよりも好感を持っている。
27.♪Lend Me Your Comb♪ 63.7.2. BBCのラジオ・セッションよりのテイク。LIVE AT THE BBCのところで述べた通り、LIVE AT THE BBCが廃盤(注:2001年6月8日再発!)になってしまったので、現在公式発売されている唯一のBBCセッションのテイクということになる。放送は7月16日のPop Go The Beatlesの第5回。カール・パーキンスのカバーで、前半はジョンとジョージのハモリ、サビはポールのソロ・ボーカルという面白い構成。 しかし、LIVE AT THE BBCの廃盤といい、この曲を後から「小出し」にしたやり方などは、大いに疑問といわざるを得ない。
28.♪I'll Get You♪ 63.10.13. イギリス国内に「ビートルズ旋風」を巻き起こし、「ビートル・マニア」なる言葉を生み出した日といわれている、人気テレビ番組「サンデー・ナイト・アット・ロンドン・パラディアム」でのライブ・テイク。曲の方はシングルShe Loves YouのB面として発表された(PAST MASTERS Vol.1収録)ジョンとポールの共作。この曲自体、ライブ・テイクがほとんど残っていないので、こうして聴けるのは嬉しいところ。当然、ジョンはボーカルをとっているので、 公式テイクにあったハーモニカは入っていない。しかし、(3)☆TAKEの独断と偏見のところで述べた通り、ライブというのは全曲を聴いてこそ意味のあるもので、こうして1曲だけ取り出してこられてもなぁ、という気もしないでもない。一応、この番組の全テイクを収録したブートはあるけど、公式発売してこそ意味があるような気もするが・・・。
29.Speech:John 70年のジョンのコメント
30.♪I Saw Her Standing There♪ 63.10.24 63年10月、デビュー後初の海外公演となったスウェーデン公演時に行われた、ストックホルムでのラジオ・ライブ。以下、34.までがこのラジオ・ライブからのテイクだが、このライブ・テイクは、以前からブートなどでお馴染みのもので、コアなファンの間でも「1963年のベスト・パフォーマンス」との呼び声の高かったもの。 そのライブを全7曲中、5曲がこうして公式発売されたことは、実に喜ばしいことである。この曲はファースト・アルバムPLEASE PLEASE MEに収録されたポールのオリジナルで、リード・ギターのフレーズが公式テイクと違う点、間奏の後のサビをカットしたショート・バージョンであるのは、ライブではいつも見られたこと。
31.♪From Me To You♪ 63.10.24 これもスウェーデンでのラジオ・ライブのテイクで、曲の方はサード・シングルとして発表された(PAST MASTERS Vol.1収録)ジョンとポールの共作。ハーモニカのパートをギターで再現しているが、これもライブではいつもやっていた。
32.♪Money [That's What I Want]♪ 63.10.24 同じく、スウェーデンのラジオ・ライブのテイク。曲はバレット・ストロングのカバーで、アルバムWITH THE BEATLES収録曲。アルバムの発売は同年11月なので、ここでは発表前に披露したということになる。いきなりイントロでポールがシャウトしていたりと、とてもテンションの高い演奏。
33.♪You Really Got A Hold On Me♪ 63.10.24. スウェーデンのラジオ・ライブのテイク。曲はスモーキー・ロビンソンのカバーで、アルバムWITH THE BEATLES収録曲。これもアルバム発表前の演奏ということになる。ジョンが一部、間違ってワン・コーラス目とツー・コーラス目の歌詞を入れ替えて歌ってしまっているんだけど、なぜか間違ったジョンが堂々と歌っていて、正しい歌詞を歌うジョージの方が申し訳なさそうに歌っているあたりに、2人の性格や立場が現れていて面白い。
34.♪Roll Over Beethoven♪ 63.10.24. スウェーデンのラジオ・ライブ。曲はチャック・ベリーのカバーで、これも当時はまだ発表前だったアルバムWITH THE BEATLES収録曲。いつになく荒っぽい感じのジョージのボーカルがとても魅力的。一部のパートをカットしたショート・バージョンで、エンディング付近にはジョンとポールのコーラスも入っているが、これはライブではいつものこと
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓‡1995/11/20(mon) UK
②┃ 『THE BEATLES ANTHOLOGY 1』 ┃ 1995/11/21(tue) JP、US
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ◎Disc two◎
01.♪She Loves You♪ 4 November 1963 The Prince of Wales Theatre, London 2:50
02.♪Till There Was You♪ 4 November 1963 The Prince of Wales Theatre 2:54
03.♪Twist and Shout♪ 4 November 1963 The Prince of Wales Theatre 3:05 ☆Live on the Royal Variety Performance; mono
04.♪This Boy♪ 2 December 1963 ATV Studios, London 2:22
05.♪I Want to Hold Your Hand♪ 2 December 1963 ATV Studios 2:37
06.Boys, what I was thinking... (Eric Morecambe and Ernie Wise speaking to the Beatles live on Two of a Kind) 2 December 1963 ATV Studios 2:06
07.♪Moonlight Bay♪ 2 December 1963 ATV Studios 0:50 ☆Live on Two of a Kind; mono
08.♪Can't Buy Me Love♪ (Takes 1 & 2) 29 January 1964Pathe Marconi, Paris, France 2:10
09.♪All My Loving♪ (live on The Ed Sullivan Show; mono) 9 February 1964CBS-TV Studio 50, New York City 2:19
10.♪You Can't Do That♪ (Take 6) 25 February 1964 EMI Studios 2:42
11.♪And I Love Her♪ (Take 2) 25 February 1964 EMI Studios 1:52
12.♪A Hard Day's Night♪ (Take 1) 16 April 1964 EMI Studios 2:44
13.♪I Wanna Be Your Man♪ 19 April 1964IBC Studios, London 1:48
14.♪Long Tall Sally♪ 19 April 1964 IBC Studios 1:45
15.♪Boys♪ 19 April 1964 IBC Studios 1:50
16.♪Shout♪ 19 April 1964 IBC Studios 1:31 ☆live for『Around the Beatles』
17.♪I'll Be Back♪ (Take 2) 1 June 1964 EMI Studios 1:13
18.♪I'll Be Back♪ (Take 3) 1 June 1964 EMI Studios 1:58
19.♪You Know What to Do♪ (demo) 3 June 1964 EMI Studios 1:59
20.♪No Reply♪ (demo) 3 June 1964 EMI Studios 1:46
21.♪Mr. Moonlight♪ (Takes 1 & 4) 14 August 1964 EMI Studios 2:47
22.♪Leave My Kitten Alone♪ (Take 5) 14 August 1964 EMI Studios 2:57
23.♪No Reply♪ (Take 2) 30 September 1964 EMI Studios 2:29
24.♪Eight Days a Week (sequence) (Takes 1,2&4) 6 October 1964 EMI Studios 1:25
25.♪Eight Days a Week♪ (complete) (Take 5) 6 October 1964 EMI Studios 2:48
26.♪Kansas City♪/♪Hey-Hey-Hey-Hey!♪ (Take 2) 18 October 1964 EMI Studios 2:44
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓‡1995/11/20(mon) UK
②┃ 『THE BEATLES ANTHOLOGY 1』 ┃ 1995/11/21(tue) JP、US
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ◎Disc two◎
01.♪She Loves You♪ 63.11.4. ジョンの「宝石ジャラジャラ発言」で有名なイギリス王室の御前コンサート、「ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス」からのテイクで、この後3.までがこのステージからのもの。この曲はビートルズ4枚目のシングル(公式テイクはPAST MASTERS Vol.1収録)で、当時大ヒット中だった。カウントはポール。
02.♪Till There Was You♪ 63.11.4. これも「ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス」より。曲はアルバムWITH THE BEATLESに収録された、スタンダードのカバー。公式テイクと違う、エレキ・ギターでの演奏はライブでいつも行われていたもの。また、ポールがMCで、「ソフィ・タッカーもレコーディングした曲」とジョークを言っているが、 これもライブでよくやっていたこと。ただし、私はこのジョークの意味、実は分からない(笑)。ただ、ポールは王族を前に緊張しているようで、MCにいつものはつらつとした感じがなく、声も震え気味。それに、ライブでよく演奏されたポールのボーカル曲、All My LovingやI Saw Her Standing Thereではなく、この曲を持ってきているあたり、ポールなりの配慮のような気がする。
03.♪Twist And Shout♪ .63.11.4. これも「ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス」より。曲はアルバムPLEASE PLEASE MEに収録されたアイズレー・ブラザーズのカバー。ポールとは逆に、敢えてこんなヘビーな曲を持ってくるあたりはいかにもジョンらしい。この曲の演奏前に、例のジョンによる「宝石発言」を聴くことができる。この発言で緊張がとれたのか、急に演奏、ボーカルとも、いつものビートルズに戻っている。 特にポールは、イントロでマイクから離れたところでEverybody !などと叫びまくっていて、前曲での緊張が一気に吹き飛んだかのよう。Anthologyのビデオで「ジョンはどんな大きなステージでも緊張することがなく、そんなジョンの姿にはいつも勇気づけられた」と、ポールはコメントしているが、まさにそれを実証するかのようなシーンともいえそう。 こうして、MCまで含めて収めてもらえると、ライブ・テイクも聴きやすく、また、楽しめるというもの。ただし、このステージの模様はAnthologyのビデオでも見ることができるので「ライブは音だけ聴くより、映像もあった方が楽しめるなあ」という想いもある。
04.♪This Boy(こいつ)♪ 63.12.2. 当時のイギリスの人気コメディアン・コンビ、エリック・マーカム&アー二ー・ワイズによるコメディ番組「マーカム&ワイズ・ショウ」からのテイクで、この後の7.までが同番組からのもの。この曲は当時の最新シングルI Want To Hold Your HandのB面に収められたジョンの作品(PAST MASTERS Vol.1収録)。 ジョン、ポール、ジョージの3人が、一本のマイクに顔を寄せ合って歌うシーンが印象的だった。しかし、ここにきて、64年当初の寒い邦題、「こいつ」が復活しているのが何とも・・・(笑)。
05.♪I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)♪ 63.12.2. 同じく、「マーカム&ワイズ・ショウ」より。この曲は当時の最新シングル(PAST MASTERS Vol.1収録)だった。
06.Speech:Eric Morecambe And Ernie Wise マーカム&ワイズとビートルズのトーク。人気コメディアンと、対等に渡り合ってるあたりにビートルズの4人のユーモアのセンスを感じる。
07.♪Moonlight Bay♪ 63.12.2. これも「マーカム&ワイズ・ショウ」より。ビートルズとマーカム&ワイズによる共演で、曲はドリス・デイのバージョンで知られるスタンダード。ケニー・パウエルの弾くピアノに合わせて、ビートルズと「突っ込み」のアー二ー・ワイズが歌う。そして、「ボケ」のエリック・マーカムがビートルズの曲名を叫びまくるという、いかにもコメディっぽいもの。 ただ、マーカムは途中I Like Itと、ジェリー&ザ・ペイスメイカーズの曲名を口走っているんだけど、これは計算された「ボケ」なのか、単に彼がこの曲をビートルズの曲と勘違いしただけなのか、ちょっと深読みしてしまう(笑)。なお、このシーンはビデオ版のAnthologyにも収録されており、こうしたコメディは映像付きの方が楽しめること間違いなし。 そのビデオを見ると、このシーンでビートルズはカンカン帽に縦じまのスーツという恰好で歌っているのが分かる。ただ、リンゴはドラム・セットの前に座ったまま。ちょっと気の毒な気も・・・。また、マーカムはビートルズかつらを被って叫んでいて、なかなか笑える。ビートルズの音楽だけを頑なに追求するファンにとっては「なんだ、このテイク」かもしれないけど、 やはり、ビートルズを語る上では「ユーモアのセンス」は無視できないわけで、私にとっては純粋に楽しめるテイクである。
08.♪Can't Buy Me Love♪ 64.1.29. 64年1月、パリ滞在中に行われた同曲のセッションより。この曲はシングル発売され、後にアルバムA HARD DAY'S NIGHTにも収録されたポールの作品。ここで聴けるのはテイク2で、公式テイクにはない、ジョンとジョージによる掛け合いコーラスが入る他、R&B風の曲調に仕上がっていて、全く趣が異なる。 途中ポールが歌詞を忘れて、適当に歌っているのも笑える。この「掛け合いコーラス」というのは面白いアイデアだが、公式テイクでは使われなかった。このテイクは、このアルバム以前から多くのブートで発掘されてきたものだが、「ブートを買わない」人にとっては、かなり衝撃的なものだったんじゃないだろうか。 私もブートではじめて聴いた時、かなりの衝撃を受けたものだった。
09.♪All My Loving♪ 64.2.9. アメリカ上陸後、はじめてビートルズの演奏する姿が流されたことで知られる「エド・サリヴァン・ショウ」より。曲はアルバムWITH THE BEATLESに収録されたポールの作品。ライブでは2コーラス目のハモリはジョージが担当(公式テイクではポール自身)していた。しかし、なぜ1曲だけ取り出してくるかなあ。 何度も書いている通り、ライブ・テイクを1曲だけ取り出してこられても・・・。この「エド・サリヴァン・ショウ」に関しては、CDとビデオで「コンプリート版」を出して欲しいと願わずにはいられない。
10.♪You Can't Do That♪ 64.2.25. シングルCan't Buy Me LoveのB面として発表され、後にアルバムA HARD DAY'S NIGHTにも収録されたジョンの作品。公式テイクとは違う、テイク6で、バック・トラックを完成させるために録られたものだそうで、ジョンのボーカルはガイド・ボーカル(仮に歌っている)なので、「軽く流して歌っている」といった感じ。 当然、ポールとジョージのバック・ボーカルも入っていない。しかし、確かにガイド・ボーカルだけど、ジョンの声がかなり前に出てきているので、ジョンのボーカルを堪能できる、嬉しいテイクでもある。私はこのアルバムではじめて聴いたテイク。
11.♪And I Love Her♪ 64.2.25. アルバムA HARD DAY'S NIGHTに収録されたポールの作品。「初のアコースティック・セットでレコーディングされたオリジナル作品」だったこの曲だが、ここではまだエレキ・ギターとドラム(公式テイクではボンゴ)が使われていて、「バラード」という感じすらしないのが面白い。 これが「ポール初の本格的なバラード」に仕上がろうとは・・・。ブートなどでも全然聴くことのできなかったテイクということもあり、同アルバム中、衝撃的なテイクのひとつだった。
12.♪A Hard Day's Night♪ 64.4.16. シングル・カットされ、アルバムA HARD DAY'S NIGHTに収録、同名初主演映画のテーマ曲になったことでも知られるジョンの作品。テイク1ということもあって未完成で、イントロも例の衝撃はなくって、むしろ変な感じだし、間奏も間延びしたような全然違うギター・ソロで、当然ピアノも入っていない。 ボーカルの方もジョンは殺伐とした声を聴かせているが、ポールの方は軽く流して歌っている感じ。歌詞の間違いも多く、最後には笑い声まで・・・。という、実に間延びした演奏だが、スタジオの雰囲気が伝わってくるので好感は持てる。
13.♪I Wanna Be Your Man(彼氏になりたい)♪ 64.4.19. 寸劇とライブからなるテレビの特番「アラウンド・ザ・ビートルズ」より。ライブのシーンは、以前「ザ・ビートルズ・ライブ」というビデオとして発売されていたので、ご覧になった方も多いだろう。この番組で行われたライブは、いわゆる「口パク」だったものの、音の方はレコードではなく、この番組用に新たに録られたテイクが使われた。 この曲はリンゴのレパートリーでWITH THE BEATLES収録曲。ジョージが12弦ギターを弾いている上、一部の歌詞をカットした「ショート・バージョン」になっているので、公式テイクとはかなり趣が異なる。
14.♪Long Tall Sally♪ 64.4.19. これも「アラウンド・ザ・ビートルズ」より。ポールの歌うリトル・リチャード・ナンバーで、同名4曲入りEPに収録(PAST MASTERS Vol.1収録)された他、ライブのラスト・ナンバーとして知られていた。しかし、もともと短い曲なのに、ここではショート・バージョン。そして、ギター・ソロはジョンで、 イントロに短いギターのフレーズが入っていたりと、他では聴けないテイクに仕上がっていて面白い。
15.♪Boys♪ 64.4.19. 同じく「アラウンド・ザ・ビートルズ」からだが、これは放送では使用されなかったテイク。曲の方はアルバムPLEASE PLEASE MEに収録された、シュレルズのカバーだが、この曲がこの番組用に録られていたというのは初耳だった。イントロでポールによるものと思われる話し声が聞こえる他、ハンド・クラッピングの音も・・・。 この曲もまた「ショート・バージョン」。
16.♪Shout♪ 64.4.19. これも「アラウンド・ザ・ビートルズ」より。曲の方はアイズレー・ブラザーズのカバーだが、ビートルズは公式にはレコーディングしていない。BBCなどのラジオではともかく、ビートルズがテレビで非公式曲を演奏するというのは実に珍しく、はじめて「ザ・ビートルズ・ライブ」のビデオで見た時はかなりの衝撃を受けた。 しかも全メンバーが交互にボーカルをとるというスタイルも珍しいので、なかなか貴重なテイクといえる。ただこの番組では、他にもLove Me DoからI Want To Hold Your Handまでのシングル曲をメドレーにした「シングル・メドレー」、当時の最新シングル曲だが、公式テイクと違ってジョンとポールのダブル・ボーカルによるCan't Buy Me Loveなども演奏されていたので、 ぜひそれらも収録して欲しかった。ビデオ「ザ・ビートルズ・ライブ」では見ることができたが、今や廃盤だし・・・。
17.♪I'll Be Back♪ [Take 2] 64.6.1. アルバムA HARD DAY'S NIGHTに収録されたジョンの作品。ここに収められたのは、そのテイク2で、ジョンのカウントからはじまるが、まだアレンジが煮詰められておらず、ワルツ風の曲に仕上がっている。また、うまくいかないのを理解できたのか、途中でジョンがふざけ気味に歌い出して、そのまま演奏は中断される。
18.♪I'll Be Back♪ [Take 3] 64.6.1. 前のテイクで演奏が中断された後はじまるテイク3。ワルツ風のアレンジがうまくいかないことに気付き、すぐにアレンジを変えたのが分かる。かなり公式テイクに近いが、まだエレキ・ギター中心で、バラード調、というよりは軽いノリのポップ・ソングといった仕上がり。2つのテイクを続けて聴くと、曲を仕上げていく過程がよく分かり、 こうした選曲、編集は実に喜ばしく思われる。個人的には、公式テイク以上に前面に出ているジョンの声に引き付けられるところ。ここまで、A HARD DAY'S NIGHTからのアウト・テイクが多く収められているが、実はブートでもこのセッションのアウト・テイクはそんなに多く出回っていなかった。それなだけに、ブートを収集している方でも、 この辺のテイクは純粋に楽しめたんじゃないだろうか。
19.♪You Know What To Do♪ 64.6.3. このアルバムで最大の発掘! アルバムA HARD DAY'S NIGHTセッション終了後、ビートルズはワールド・ツアーに出るわけだが、その直前に行われたデモ・セッションより。このセッション自体が語られる機会はほとんどなかったわけで、それだけでも貴重だが、もっと驚きなのはこの曲。ジョージの未発表オリジナル作品なんだけど、 その存在自体が初耳。曲自体はシンプルだし、どうということのないものだけど、しかし「こんな曲があったんだ」ということそれだけでも驚愕もの。凄い発掘だ!
20.♪No Reply♪ [Demo] 64.6.3. これも同じセッションから。この曲は後にBEATLES FOR SALEに収録されるジョンの作品だが、実はこの曲、もともとビートルズ用に書かれたものではなく、ブライアン・エプスタインのNEMS所属のトミー・クイックリーのために書かれたものだった。ということで、ここで聴けるのは、そのトミー・クイックリーのために作られたデモ・レコーディング。 後の公式テイクのような「深み」も「哀愁」もない、普通のポップ・ソングに仕上がっている。ボーカルも全編ジョンとポールのハモリからなる。とはいえ、トミー・クイックリーのバージョンはレコーディングされたものの、未発表に終わった。しかし、ここで注目はドラマー。当時リンゴは病気入院中。そのため、この後のワールド・ツアーには代役としてセッション・ドラマー、ジミー・ニコルが同行したというエピソードは有名。 だが、ここでドラムを担当しているのはもちろん入院中のリンゴでもないし、ジミー・ニコルでもない(このセッションは彼が帰宅後に行われている)! 一体ドラムを叩いたのは誰なのか、不明のままだ。私の勝手な予想では、ポールじゃないかと思う。第一、ただのデモ・レコーディングのために、セッション・ミュージシャンは呼ばないだろうし・・・。
21.♪Mr. Moonlight♪ 64.8.14. アルバムBEATLES FOR SALEに収録されたドクター・フィールグッド&インターンズのカバー。最初はテイク1で、ジョンのイントロのシャウトだけでストップ「ちょっと惜しかったぞ」というポールの「突っ込み」が面白い。続いて登場するのがテイク4。公式テイクに近い演奏だが、オルガンが入っておらず、間奏はトレモロを使ったエスニック調の、ちょっと面白い音のジョージによるギター・ソロ。 はまっているとはいえないが、「何か変わったことをやろう」という意欲は感じられる。事実65年以降のビートルズは、「何か変わったこと」を試みることで、次々に「常識」を覆していくことになる。
22.♪Leave My Kitten Alone♪ 64.8.14. アルバムBEATLES FOR SALEのセッションでレコーディングされたリトル・ウィリー・ジョンのカバー。結局この曲は同アルバムの選曲に漏れ、未発表に終わっていた。しかし、ジョンがMoneyやDizzy Miss Lizzyなどにも通じる、ドスのきいたハードなボーカルを聴かせる素晴らしい出来で「もったいない」という想いが強い。とにかく完成度は異常に高い。 おそらく同アルバムには6曲ものカバー・ソングが収録されているので、「オリジナルとカバーのバランス」を考えてアルバムには収めなかったんだろうけど、やっぱりもったいない。ピアノの音も聞こえるが、おそらく弾いているのはマーティンか? なお、このテイクは80年代に企画された未発表テイク集SESSIONSに収録される予定だった。そのため、ブートでも大量に出回っていたので、「未発表テイクの定番」としてお馴染みだった。 そのブートに収録されていた時から、既にここで聴けるようにボーカルにエコーがかかっていたりとか、リミックスが施されていたが、これはSESSIONSのために行われたものと思われる。
23.♪No Reply♪ 64.9.30. ここで20.に続いて同曲の登場だが、こちらはアルバムBEATLES FOR SALEセッションより。20.と比べれば公式テイクに近いが、やはり「深み」には欠けている。また、ここでもまだジョンとポールのダブル・ボーカル。特にエンディング付近に公式テイクにはないハモリがあるが、これがなかなか悪くない。ただし、歌詞を間違って笑い出したりと、 まだまだ完成には程遠いという印象。
24.♪Eight Days A Week♪ [Sequence] すぐに中断するテイクをいくつか繋ぎあわせたもの。
25.♪Eight Days A Week♪ [Complete] 64.10.6. アルバムBEATLES FOR SALEに収録されたジョンとポールの共作。24.に続けて登場する「完奏バージョン」だが、イントロが公式テイクで聴けるギターでも、「フェイド・イン」でもなく、コーラスからはじまる。このコーラスはエンディング部分でも登場、「フェイド・イン」という画期的な手法と比べると「衝撃」は小さいものの、 これも面白く、興味深い試みである。また、公式テイクではジョンの声の方が前に出ている(ジョン1人のダブル・トラック説もある)が、ここではポールの方が目立っているという印象が強い。
26.♪Kansas City♪/♪Hey! Hey! Hey! Hey!♪ 64.10.18. アルバムBEATLES FOR SALEに収録されたリトル・リチャードのカバー。間奏でYeah, Kansas City !などと叫んでいたり、公式テイク以上にポールが乗りまくっている様子が伝わってきて、公式テイクと比較しても遜色のない出来である。いや、私は公式テイクよりもこっちの方が出来がよいような気もする。 このアルバムのセッションのアウト・テイクはLeave My Kitten Alone以外、ブートでもほとんど発掘されていなかったので、どのテイクも興味深い。
https://en.wikipedia.org/wiki/Anthology_1
①http://www.geocities.co.jp/Broadway/5266/beaAlb20.html
②http://www.geocities.co.jp/Broadway/5266/beaAlb20-2.html
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