ブルーバックス「iPS細胞とはなにか」
(朝日新聞大阪本社科学医療グループ編)を読みました。
たいへん分かりやすく良い本だと思います。
iPS細胞の科学的な細かい部分は、簡略化し
素人でもバクッと分かるように書かれています。
再生医療の取り巻く環境、利害関係者がどういったものか
概要を理解することが出来ました。
ニュースでは、ほとんど報道されていないこと、つまり
再生医療自体は、まだまだ沢山の課題がありノーベル賞が
取れた技術は、確かにキーファクターであるものの、それは
必要な技術のほんの一部に過ぎないことが分かりました。
先日ノーベル賞で話題となった細胞の初期化工程ですら、
山中伸弥教授の技術のみで安全かつ効率的にすべてが完璧に
行なわれるわけではないと。(NHKの”サイエンス・ゼロ”の方が
その辺りの解説は詳しかったかもしれません)
今、会社役員はこぞって、再生医療こそが次に儲かる市場だ、
再生医療関連商品で
2、3年のうち(つまり、自分たちが役員として会社にいる間)に
一声、売上100億円となる事業を複数個作れ!
と命令を下し、目下、経営計画を作らせています。
ばっかじゃねぇ~のそんなもんあるか~
まず、そもそも論として、
現時点、企業が利益先行主義で再生医療関連に手を付けるべきではないと思います。
この技術深化の先にあるのは、難病の解析、その解決のための新薬製造や
移植しか手段がない患者に安全な臓器を提供するなど、
沢山の人が今、苦しんでいる病気を、将来的に克服することにあります。
酷な言い方ですが、今の患者には間に合わないものが多いでしょう。
故に本技術は未来の人類全体への貢献を意味していて、利益はその結果として、
後からついて来るものであると、頭に叩き込まなければいけないと認識します。
卑しい目で、”目先の儲け”、”自分達の保身を担保する材料を得ること”
を期待し目をギラつかせ、汚れた手で触っていい分野ではないと思います。
やるのなら、腹をくくって、10年、20年、いや50年先と
根気よく付合っていく覚悟がなければいけないと考えますが、
そんな紳士的な考えを持ち合わせている人物はうちの役員にはいないでしょう。
まず、そもそも、どこまで彼らが状況を理解した上で指示を
出しているのか、甚だ疑問、、、。
今回に限った話ではないが無知ほど恐ろしいものはなし。
特定の一部の人物が騒いでいる話でなく役員会議を通って
会社全体指示となっている点が、実にたちが悪く、実に痛い、、、。
また、絵に描いた餅的、浮世離れした荒唐無稽な
経営方針が打ち出されることは、間違いないでしょう。
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