首記 仮処分ってのは、どのような効力を持つのでしょうか?
以下、参考にしてください。
◇正式な裁判の前に効力が生じる。異議申し立てもできる
コブク郎 関西電力高浜原発の再稼働(さいかどう)を差し止める仮処分(かりしょぶん)決定が出たね。「仮」なのに原発を動かせないの?
A 正式な裁判で結論が変わる可能性はあるけれど、仮処分だけですぐに効力が生じるよ。
コ 仮処分って、そもそもどういう制度なの?
A 正式な裁判を起こして判決が出るのを待っていると取り返しのつかない損害が生じたり、差し迫った危険があったりする時に、暫定(ざんてい)的な措置(そち)を裁判所に命じてもらう仕組みだよ。
コ 効力が続くのは正式な裁判が終わるまで?
A そうとも限らない。仮処分決定に不服があれば、同じ裁判所に処分の取り消しを求める「異議」や、処分を凍結する「執行(しっこう)停止」の申 し立てができるんだ。決めるのは別の裁判官。それでも主張が通らなければ、上級の裁判所に抗告(こうこく)することもできる。訴えが認められれば、正式な 裁判が続いていても再稼働はできるようになるよ。
コ そうだとしても、スピーディーに一定の結論が出る仮処分は便利だね。
A そうだね。昨年5月には、東京電力福島第一原発事故の影響で関西に自主避難し、東電に損害賠償(ばいしょう)を求めた男性について、京都地裁が賠償金の仮払いを命じる仮処分を出したんだ。男性は事故後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で働けなくなっていたというから、経済的にも助けになったみたいだよ。
コ いいことばかりなのかな?
A 仮処分決定の内容がその後の司法手続きで覆(くつがえ)された場合、仮処分を申し立てた人が、命じられた側から損害賠償を求められることもあ る。それに備え、今回は違うが、あらかじめ高額の担保金を積むよう、裁判所から命じられるケースもあるよ。そうなると、申し立てをためらう人が出てもおか しくない。制度上の課題といえるね。
(太田航)
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