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*** june typhoon tokyo ***

THE ROOTS@Billboard Live TOKYO

The_roots今年ライヴ二発目は、The Roots@Billboard Live TOKYOの1st ステージ。土曜日ということもあってか、確かな人気なのか、会場は満員。ルーツは2000年くらいからほぼ毎年来日しているのは、やはり確かな人気があっての集客力ということなのだろう。
 メンバーは左からキーボードのカマール、同じくキーボードとサックス、ギターを操るラモント・コールドウェル、デカアフロも健在のドラムのクエスト・ラヴ、パーカッションのフランク・ナックルズ。そのナックルズの前にかなりデカいソーサフォンを演奏するデイモン・ブライソンとベースのオーウェン・ビドルが配され、MCのブラック・ソートとスキルズがステージを闊歩する。

 群雄割拠のヒップホップ・シーンにおいて、数多のヒップホッパーたちがさまざまなアプローチで自己を表現している。そのなかには、いわゆる“フェイク”も多く含まれているだろう。何を持って“フェイク”なのか、ということについては見解が分かれるが、少なくともザ・ルーツが“リアル”であるということは間違いない。徹底的に生音に徹し、ジャズ、ソウル、ファンク、ロック……ジャンルレスなサウンド・アプローチで常に“生きている音”を発することを念頭におき、それをステージで体現しているからだ。それは、「音楽を枠で括ってしまうことは愚かなことだ。それは、今の地球上で争っている人間たちも同じ。便宜上の区分けや多少の差異はあっても、先入観や偏見のもとに都合よく枠に閉じ込めてしまうことは愚かなことなんだ。みな根源(=ROOTS)は一緒さ」とでも言っているかのようだ。
 
 ライヴはスタートからメドレー・スタイルというか、ノンストップで続く。途中でドラム&パーカッションの2人によるパフォーマンス・ブレイク(2人以外は一旦ステージ・アウト)があるが、それを除けば原則的にノンストップ。息をつく暇がないとはこのことだ。そういったライヴ・スタンスは彼らにとって大きな意図が隠されているような気がするが、どうなんだろう。同じような曲調の連続であるならば解かるが、アップからスローといった展開でもサウンドは輪廻のように続く。それも「音楽はどこかで必ずつながっている根があるんだ」ということを表現するためなのだろうか。

 その唯一といってもいいパフォーマンス・ブレイクにしても、単なるブレイクではなく、一つの音楽表現スタイルをしっかりと創り上げている。使われているのはクエスト・ラヴのドラムとフランク・ナックルズのパーカッションのみ。クエストが先導するドライなドラムのリズムにフランクが応え、またその逆返しも。大波と小波、動と静といったリズムを刻みながら、興奮のクライマックスへと雪崩れ込む。オーディエンスのヴォルテージもあがるのだが、自分はそういう心持ちとともに、「最初に人間が使ったと思われる楽器は打楽器だといわれている。原始より“打ち叩く”という行為で発されたその音が、今もなおこのステージで表現されている。人を揺れ動かす根源(=ルーツ)は、いつも同じさ」と言っているような気がしてならなかった。

  もちろん、そんな堅苦しい印象は自身だけなのかもしれない。スキルズが攻撃的なラップ、ブラック・ソートがMIMS「This Is Why Im Hot」のフックを挟んで会場をアゲていったり、ラモント・コールドウェルがスウィング・アウト・シスター「ブレイクアウト」(Swing Out Sister「Breakout」、Softbank携帯CM曲でもおなじみ)のフックを歌い上げる「クイルス」(Quills)や“MUSIC!!”と高らかに宣する「イン・ザ・ミュージック」(In The Music)はかなりヒート・アップしたし、心地良いキーボードが奏でるメロディの上を軽やかにフロウが泳ぐ「ザ・ネクスト・ムーヴメント」(The Next Movement)やジャジーでメロウな「プロシード」(Proceed)など、数多くの極上のグルーヴをしっかりと堪能出来たのだから。「ザ・ネクスト・ムーヴメントや「プロシード」などの浮遊感漂うグルーヴあたりを聴くと、ヒップホップとはいいながら、かなりソウルフルなユニットだということに気づく。彼らはフィラデルフィア出身だが、フィラデルフィアといえば、名前の通り“フィリー・ソウル”と呼ばれるサウンドが生まれた土地だ。

 ひとつ残念だったことがあるといえば、アンコールがなかったことか。これは1stステージだったということもあっただろうか。自分は基本的にステージ二部制の場合には2ndステージを好む方なのだが、今回は事情から1stステージとなった。それは、本編のステージが充実していたから、より期待してしまっていたということもあるのだろうが。演奏が終わって、メンバーがステージ・アウトしてすぐに場内にBGMが流れたから嫌な予感はしたんだけれども…ね。

 まぁ、毎年来日してくれるようだから(この春には10作目『Rising Down』を発表予定だというし)、それは次回の楽しみにしておこうか。最後にファンサーヴィスで、パーカッションのフランク・ナックルズが高々と、しかも勢いよく投げたスティックの2本目が天井に乗っかってしまって落っこちてこなかったのが笑えたし、ヨシとしよう。(笑)


◇◇◇


≪MEMBER≫

Black Thought (MC)
Quest Love (Dr/MD)
Skills (Vo)
Kamal (Key)
Owen Biddle (B)
Frank Knuckles (Per)
Damon Bryson (Sousaphone)
Lamont Caldwell (Key/Sax/G)

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