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*** june typhoon tokyo ***

Raheem DeVaughn@COTTON CLUB

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 2005年にソロ・デビュー・アルバム『The Love Experience』(ザ・ラヴ・エクスペリエンス)をリリースした“ヒッピー・ソウル”アーティスト、ラヒーム・デヴォーン(Raheem DeVaughn)の初来日公演@COTTON CLUBに行ってきた。

 1979年にニュージャージーで生まれ、ワシントンDCで育ったラヒームは、ジャズのチェロ奏者アヴドゥル・ワダッドを父に持つネオ・ソウルの奇才。自らの音楽を“R&Bヒッピー・ネオ・ソウル・ロック”と呼んでいるらしく、アヴァンギャルドなスタンスを持ったアーティスト。
 アルバム『ザ・ラヴ・エクスペリエンス』を聴くと、とにかくスムース&メロウ。コーラスを多く重ねたり、琴線に訴えかけてくるいわゆる“泣き”のメロディ・ライン、粘着質で濃厚なヴォーカル・ワークと、アダルト・コンテンポラリーの薫りを漂わせている作風だ。マーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドなどのまどろみ系、プリンス風のねっとりとしたファンク、ボーイズIIメンのスローを思わせるコーラスなどがアーバンなスタイルで再現された、とでも言おうか。ハウス系プロデューサーのケニー・ドープやフィラデルフィアのタッチ・オブ・ジャズ周辺の制作陣が参加している。

 当初は、まったりとしたアダルトな空間がホールを支配するんだろうなぁ、と思っていたのだが、開演前にDJが流している楽曲は意外にも洗練されたR&B/ヒップホップ、ソウル・ミュージック。後にそのDJが、インディ時に結成していたアーバン・アヴェニュー31やクロスローズ(Crossrhodes)なるユニットからの盟友であるW・エリントン・フェルトン(W. Ellington Felton)であることが判るのだが、なかなかいいセンスをしている。ライヴのソロ・パートでは、ヒューマン・ビートボックスも披露していた。
 ステージには5~10枚弱の絵が飾られていて、キーボードの前には白いキャンバスが。クレジットには“Painter”の表記もあって、実際ライヴ中に観客に背を向けながら黙々と絵を描いていく。ステージ中央、ドラム前には襟の立った男性が描かれていた絵があったが、これはマーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイン・オン』をモチーフにしたものだろう。

 メンバー構成は、左からキーボード、ドラム、ベース、そしてDJ兼ラップ、バック・ヴォーカル×2に、前述のペインターとラヒームが加わるといった布陣。DJのW・エリントン・フェルトンがラヒームを呼び込むと、キャップを被ったビラル・サラーム(Bilal Salaam、最近リリースした『BLAH』はイイ出来!)、デイバッグを背負ったステッフェン・スミス(Stephen Smith)、そしてラヒームがステージ・イン。最後にペインターのデモント・パインダー(Demont Pinder)がステージに(ラヒームが手掛ける作品のアートは、彼の作品が使われているらしい)。
 ラヒームはジャケットのような渦巻きヘアではなく、シンプルな短髪。ただ、“神風”という日の丸ハチマキをしている。ペインターのデモントのTシャツのバック・プリントは、“一番”とあって、かなりベタな親日ぶりを表現。(笑)

 メロウな導入を予想をしていた自分だったが、いきなりヒップホップ・マナーの展開で圧倒する。観客の年齢層も高めなこともあって、アルバムから泣きのスローを期待していた人は驚いたんではないか。そのせいかもしれないが、年齢層が若めの会場とは違い、ノリノリのヒップホップでありながら会場はかなり大人しいスタートだった。
 バンド・サウンドはファット&タイトで、酩酊感のある瞑想を誘う心地良いキーボードが漂う。ラヒーム・サウンドの核となるファットなベースと“ビッグ・ファット”なドラマーが叩き出す硬質なサウンドは、非常にアーバンなアグレッシヴ性を携えていた。バック・ヴォーカリスト2人、さらにDJのW・エリントン・フェルトンが加わってコーラス3人となり、それぞれがソロ・パートを繰り出すといった展開は、都会的なヒップホップ・スタイルのアクト。マーヴィン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、アル・グリーン、シャカ・カーンなどからアシッドジャズ、さらに現代のヒップホップ、ハウスなどを吸収してきた彼らの多様性とカテゴライズや年代の枠に囚われない姿勢が、アーティスティックな実験精神に満ちたステージにしっかりと表現されていた。
 新曲の後で披露した「Ask Yourself」では、途中でラヒーム、バック・ヴォーカル、ペインターが突然バタッと床に倒れる (ドラマーも大きな身体を縮込ませて頭をもたげている)。しばらくしてラヒームが床に倒れたまま歌い出し、ペインター、バック・ヴォーカル、ドラマーなどの身体をポンと叩いて起こしていく。
 また、“ストップ”という詞に反応して、ステージ・メンバーが全員一瞬止まったり(“だるまさんがころんだ”のようだった)、「Believe」では、スナップと鼻歌混じり風の声のみでステージ右から後方、そして左とラヒームとコーラス2人で周ってステージに戻るという演出も。
 さらに、パープルのクローク(マント)を羽織って、神風ハチマキを外して王冠を被り(ステッフェン・スミスがデイバッグを背負って入場したのは、このクロークと王冠を持ってくるためだった…笑)、“KingにはQueenが必要なんだよ! KingにはQueenが!”と女性客を煽ったりも。これが海外だったり若い客層や箱が違えば“ウォー”となるところだろうが、大人し目の客層、シャイな日本人、そしてMCの英語が解からないという三重苦によって(爆)、そこまではならなかった(数人だが反応しているレディがいてよかった。ラヒームもその彼女に反応し“クイーンがいるぜ!”とコールしていた)。ただ、観客の表現反応以上に、訴求力はあったんではないかと思えた。微笑ましい笑顔や拍手に、それが表われていた。

 途中までは座りながら、ラヒームらに促されるように手を振りかざしたりハンドクラップをしていた人たちが多かったのだが、ラヒームの“パーティ・タイムにしようか”“腰をシェイクしたいだろ?”の声でスタンディングに。それでも最前列の客などは座っている人も多かったのだが(当然自分は真っ先に立ち上がりましたが…爆)、会場が一気に激しく揺れるグルーヴへ。コール&レスポンスで、ラヒームが“~LADIES”“~BOYS”と言い分けていても、どちらのパートに誰もが“ウォー”と言ってしまうなど、英語力がないかあるいはこの手のスタイルに慣れていないのかという感じがあったことも否めない、なかなか難しいステージだったと思うが、それでも最後は多くを“パーティ・ピープル”にさせてしまう力量は、素晴らしかった。

 否応なしに飛び込んでくる楽曲という訳ではないし、時に瞑想系のミュージックなどでは単調に聴こえてしまうきらいもあるかもしれないが、粘着性のあるヴォーカルでありながらしれっと聴かせてしまうあたりは、アヴァンギャルドな音楽をするアーティストにありがちな自己陶酔なところは全くない。寧ろ、聴き手とともに純粋に音楽を楽しもうという精神が感じられた。偏見なく聴く耳を少しだけ傾け好奇心を持ったなら、気に入るには時間はかからないだろう。

 途中で数回、「CDや絵を持ってきてくれたらサインをするよ!」と言っていたので、してもらえばよかったなーと、ちょっぴり後悔。ライヴは6/18まであるので、出来ればもう一回見たい(そしてサインをゲットしたい)ところなのだが、スケジュール的にも経済的にも(こちらの邦がデカイ…)ちょっと無理そう。新曲も数曲やったし、アルバム・リリースのツアーでまた来日してもらいたいものだ。

 そうそう、ペインターのデモントがステージで描きあげた絵は、最初ジョー・デマジオかルー・ゲーリック?と思ったけど、よーくみたら、イチローだった。しかもハチマキを手にとりながら「必勝」という文字をキャンパスに書き込んでいました。(笑)


ラヒーム・デヴォーンのサイトはこちら
ラヒーム・デヴォーンのマイスペースはこちら
アーバン・アヴェニュー31のサイトはこちら
W・エリントン・フェルトンのマイスペースはこちら
クロスローズのマイスペースはこちら
ビラル・サラームのマイスペースはこちら。 

ジーノ・ヤング、ドゥウエレ、カール・トーマス、サイ・スミスあたりが好きな人はオススメ。

Raheem_devaughn_theloveexperience_1Crossrhodes













◇◇◇

<MEMBER>
Raheem DeVaughn (vo)
W. Ellington Felton (DJ, rapper)
Andrae Alexander (key)
Karlston Ross (b)
Christopher Bynum (ds)
Demont Pinder (painter)
Bilal Salaam (back vo)
Stephen Smith (back vo)


<SET LIST>

The Love Experience

Mellow Tone (NEW SONG)
Ask Yourself
Believe

Can't Hide Love
You

ADMIT IT
PUT IN WORK



今回はセットリストはボロボロです。(汗;)
思い起こし、調査して補完する予定…。

Raheem DeVaughn - YOU
</object>
Raheem DeVaughn - Guess Who Loves You More
</object>

◇◇◇

<SET LIST>

01 Lost One
02 The Love Experience
03 Sweet Tooth
04 Mellow Tone
05 Ask Yourself
06 Believe

≪W. Ellington Felton SECTION≫
07 Funky Feeling
08

≪Bilal Salaam SECTION≫
09 So What

≪Steve Smith SECTION≫
10

≪CrossRhodes SECTION≫
11 Admit It
12 3 Sides

13 Can't Hide Love
14 Guess Who Loves You More
≪ENCORE≫
15 You

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