中盤を制され、退場で破綻し、惨敗で終えた多摩川クラシコ。
第43回を数える〈多摩川クラシコ〉は、リーグ3連敗中のホーム川崎が、ようやく持ち前の“らしい”サッカーを取り戻して連敗をストップ。今季ホーム初勝利ならびにJ1通算200勝を達成した。
FC東京は前節・福岡戦での勝利のイメージを継続し、先発に変更なく多摩川クラシコに挑んだが、構える形の福岡とは異なる川崎のスタイルに苦心。序盤こそゴールに近づく形は見られたものの、川崎の前からの速いプレスと攻守の切り替え、セカンドボールの回収で上回られ、次第にペースを奪われたまま、34分に左サイドでドリブルを仕掛けた三浦のグラウンダーのクロスを木本がクリアしようとスライディングするも、そのボールがポストに直撃。跳ね返ったところに駆け込んできた脇坂が押し込んで、川崎が先制した。
前半はその1点で折り返すが、後半は開始からその点差以上に川崎のペースに。FC東京は押し込まれながらも、川崎のシュートミスなどにも助けられて持ちこたえていたが、72分にDFの背後への浮き球に反応したエリソンをペナルティエリアから飛び出してGK波多野が止めようとするも、足を引っかけて一発退場。追う立場ながら1人少ない状況に陥ったFC東京は、仲川を下げてGK野澤大志ブランドンを投入。川崎の攻撃を耐えながら、カウンター一発で同点に追いつく算段だったのだろうが、波多野退場以前にジャジャ・シルバ、ディエゴ・オリヴェイラ、小柏の3枚替えも活きないまま、さらに川崎の圧を受け続けるはめになる。
82分に、川崎は遠野とエリソンに代わって山内と山田を送り込むと、その直後に左サイドからペナルティエリアへドリブルで突破した山内のクロスを、ゴール前に駆け込んだ山田が押し込んで、川崎が追加点を挙げる。ここで落胆の色も出始めたか、FC東京は防戦一方となると、アディショナルタイムに瀬古のパスを受けた橘田がネットを揺らして快勝した。
FC東京は、クラモフスキー監督の采配うんぬんの声もあるが、それ以前にパスの精度を欠き、ズレが生じていたことが、中盤の支配力の差になっていた。また、アタッキングサードに入ってからのシュートアクションが遅いため、シュートを打てずままにカウンターを喰らう場面も散見。ボールを持とうとするとどうしても最終ラインでの横パスが多くなるため、ラインも下がり気味。ダイレクトパスやワンタッチを繰り出すと中盤でも相手を交わして前進できるが、それが少なくなると、外を回すうちに手詰まりになる場面多数。逆サイドへの展開もあまりなく、左サイド偏重の攻撃一辺倒では、なかなか難しい。
荒木0トップが有効だと評していたサポーターも多かったようだが、それはあくまでも福岡戦で通用していただけであって、チームとしての戦術が固まったという訳ではない。遠藤、荒木、松木が下がった後、ディエゴ・オリヴェイラの1トップでは機能しないといった声も見かけるが、ボールを受けるディエゴ・オリヴェイラへの預け方(依存し過ぎ)が問題なのであって、ディエゴ・オリヴェイラが限界というのは全くのお門違いだ。周囲に適距離でサポートに来る動きをしたり、ディエゴ・オリヴェイラがボールを背負ってキープしているところでそれを追い越す動きをするとか、そういった連動性が生まれると、好調時のような攻撃も可能になるはずだ。
ただ、現状では相当なパスの精度や展開力を身につけなければ、中盤を支配し、シュートへ持ち込むことが出来ないのもあからさまとなった。それ以上にボランチで奪われ、最終ラインが守勢に疲弊し、失点を重ねている状況を修正しなければ、勝ち点積み上げは難しいと言わざるをえない。
次節は中3日、ミッドウィークでの浦和戦。FC東京は新国立ではいまだ無敗だが、そのジンクスが破れるとなると、続く週末の国立での鹿島戦、さらに東京ダービー、ルヴァンカップを挟んで、現在首位の町田という厳しい日程を考えると、首脳陣への批判の矛先も鋭くなってくる。時間も少なく、やれることも多くはないが、まずは心身共にリフレッシュして、ひたむきなチャレンジで90分を戦い抜いてもらいたい。
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明治安田J1リーグ 第5節
2024年3月30日(土)15:03KO
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
入場者数:22,543人
天候:晴 / 気温:23.3℃ / 湿度:20%
主審:上田益也
副審:大塚晴弘、村井良輔
第4の審判員:岩田浩義
VAR:榎本一慶
AVAR:赤阪 修
川 崎 3(1-0 / 2-0)0 FC東京
【得点】
(川):脇坂泰斗(34分)、山田 新(83分)、橘田健人(90+2分)
(東):
〈試合経過〉
26分 警告 東京 木本恭生
34分 得点 川崎 脇坂泰斗
64分 交代 川崎 瀬川祐輔 → 佐々木旭
64分 交代 東京 遠藤渓太 → ジャジャ・シルバ / 荒木遼太郎 → ディエゴ・オリヴェイラ / 松木玖生 → 小柏 剛
72分 退場 東京 波多野豪
75分 交代 東京 仲川輝人 → 野澤大志ブランドン
82分 交代 川崎 遠野大弥 → 山内日向汰 / エリソン → 山田 新
83分 得点 川崎 山田 新
84分 交代 東京 木本恭生 → 中村帆高
90+2分 得点 川崎 橘田健人
90+5分 交代 川崎 家長昭博 → 小林 悠 / 脇坂泰斗 → 山本悠樹
【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 13 波多野豪
DF 05 長友佑都
DF 03 森重真人
DF 04 木本恭生
DF 49 バングーナガンデ佳史扶
MF 07 松木玖生
MF 08 高 宇洋
MF 37 小泉 慶
FW 22 遠藤渓太
FW 39 仲川輝人
FW 71 荒木遼太郎
〈控えメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 02 中村帆高
DF 32 土肥幹太
FW 11 小柏 剛
FW 33 俵積田晃太
FW 70 ジャジャ・シルバ
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
〈監督〉
ピーター・クラモフスキー
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【明治安田J1リーグ 2024シーズン FC東京試合日程】
第01節 02月24日(土)15:00△FC東京 2-2 C大阪(A・ヨドコウ)
第02節 03月02日(土)15:00△FC東京 1-1 広 島(H・味スタ)
第03節 03月09日(土)16:00✕FC東京 1-2 神 戸(H・味スタ)
第04節 03月16日(土)13:00〇FC東京 3-1 福 岡(A・ベススタ)
第05節 03月30日(土)15:00✕FC東京 0-3 川 崎(A・U等々力)
第06節 04月03日(水)19:30 FC東京 ✕ 浦 和(H・国 立)
第07節 04月07日(日)17:00 FC東京 ✕ 鹿 島(H・国 立)
第08節 04月13日(土)16:00 FC東京 ✕ 東京V(A・味スタ)
第09節 04月21日(日)15:00 FC東京 ✕ 町 田(H・味スタ)
第10節 04月27日(土)14:00 FC東京 ✕ 新 潟(A・デンカS)
第11節 05月03日(金)15:00 FC東京 ✕ 京 都(H・味スタ)
第12節 05月06日(月)14:00 FC東京 ✕ 札 幌(A・札幌ド)
第13節 05月11日(土)17:00 FC東京 ✕ 柏 (H・味スタ)
第14節 05月15日(水)19:00 FC東京 ✕ 名古屋(A・豊田ス)
第15節 05月19日(日)15:00 FC東京 ✕ 横浜FM(H・味スタ)
第16節 05月26日(日)15:00 FC東京 ✕ G大阪(H・味スタ)
第17節 05月31日(金)19:00 FC東京 ✕ 鳥 栖(A・駅スタ)
第18節 06月16日(日)18:00 FC東京 ✕ 磐 田(H・味スタ)
第19節 06月22日(土)19:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS)
第20節 06月26日(水)19:00 FC東京 ✕ 札 幌(H・味スタ)
第21節 06月30日(日)18:30 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ)
第22節 07月06日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 (A・三協F柏)
第23節 07月13日(土)19:00 FC東京 ✕ 新 潟(H・国 立)
第24節 07月20日(土)18:00 FC東京 ✕ 鹿 島(A・カシマ)
第25節 08月07日(水)19:00 FC東京 ✕ G大阪(A・パナスタ)
第26節 08月11日(日)19:00 FC東京 ✕ 川 崎(H・味スタ)
第27節 08月17日(土)19:00 FC東京 ✕ 東京V(H・味スタ)
第28節 08月24日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都(A・サンガS)
第29節 08月31日(土)18:30 FC東京 ✕ 広 島(A・Eピース)
第30節 09月14日(土)or15日(日) FC東京 ✕ 名古屋(H・国 立)
第31節 09月21日(土)or22日(日) FC東京 ✕ 浦 和(A・埼 玉)
第32節 09月28日(土)or29日(日) FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス)
第33節 10月05日(土)or06日(日) FC東京 ✕ 鳥 栖(H・味スタ)
第34節 10月19日(土)or20日(日) FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ)
第35節 11月03日(日) FC東京 ✕ 湘 南(H・味スタ)
第36節 11月09日(土) FC東京 ✕ 町 田(A・国 立)
第37節 11月30日(土) FC東京 ✕ 磐 田(A・ヤマハ)
第38節 12月08日(日) FC東京 ✕ C大阪(H・味スタ)
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