前半38分、神戸のDFからのパスを高い位置で米本が奪うと、米本の足下にこぼれたボールを自陣から走り込んできた高橋がドリブルで前線へ素早く運ぶショートカウンターへ。右サイド前方を走っていた前田へラストパスを送ると、前田がニア右隅にファインゴールを突き刺して、FC東京が先制。その後は、落ち着きを取り戻し、ボールを支配出来るようになってきたFC東京が、ゴールを獲りに前がかりとなる神戸の裏のスペースを狙って攻勢をかけ、後半に東のアシストによる前田のゴール2発が生まれて3対0で快勝。前田の6年ぶりとなるハットトリックでFC東京のJ1通算200勝を祝う勝利を挙げた。
前田の決定力はもちろん、途中出場の東の的確な判断でのラストパス、積極的に攻勢の起点となった高橋がいい働きを見せた。一方、代表から戻ってきた森重がCBに構えたことで、ゴールを割らせないという部分でしっかりと役割を果たした。また、初先発となった新加入のGK、ブラダ・アブラモフもその身長の高さとリーチの長さを活かして好セーヴ。初戦ながらも良いパフォーマンスを見せたのではないか。
ただ、結果は3対0だったが、内容としてはそれほど差のあるものではなかった。試合開始から20分あたりまでは神戸が攻め込む時間帯が続き、決していい入りではなかった。鹿島戦の反省点を意識し過ぎたのか、失点してはいけないという思いが強かったあまりに中盤以下と前線の距離が開いてしまい、前線にボールが渡っても後ろからの後押しがほとんどない状態。最終ラインもズルズルと引いてしまうという悪循環に陥りかけていた。
神戸が積極的にサイドチェンジを繰り返すと(鹿島、清水もそうだったが、今後はさらにFC東京に対してサイドチェンジで揺さぶるチームが増えてくると思う)、その対応に苦心し、中盤の積極的な前へ推進力が失われてしまっていた。下手に前へ出て交わされて攻め込まれてしまうという危機感でなかなか前へ出られなかったのだろうが、仕掛けていいリスクとそうでないリスクを見極めて連係がとれていれば、前線のみ孤立という状況は生まれないはずだ。それらは技術というよりも精神的な部分が大きいところだろう。ピンチを早く摘み取ることに執心することも大事だが、ピンチを迎えても冷静に対処し、対処後の着想までをも考えられるようになると、もう一段上のレヴェルのサッカーが出来るのだと思う。
前半のアディショナルタイムの神戸の決定機で渡邉千真のゴールが決まって同点に追いつかれていたら、試合の展開は全く異なったものになっただろう。後半の入りもあまり良くなかったように見えたし、結果だけを見て反省を疎かにすると、上位チームには反撃を食らうこと必至だ。この試合はひとまずここで終え、よりさまざまなところでの精度の高さを求めながら(トラップや球離れの判断、スローイングからのボールキープなど)、新たな気持ちで残りの試合に全力を尽くすべきだ。
残り7試合で年間順位首位・広島との勝ち点差は5。得失点差で上回ることは厳しい状況ゆえ、1位となるためには勝ち点で並ぶだけでは駄目だ。となると「勝ち点差>試合数」が一つの目安となる終盤において、現在のFC東京は優勝するためにはギリギリの位置だろう。まだ、広島、浦和と上位との直接対決は残っている。残り試合は一戦必勝態勢で、勝ち点3を積み上げ続けていくしかない。
◇◇◇
【J1リーグ 2ndステージ 第10節】
2015年09月12日/味の素スタジアム/19:04キックオフ
観衆:22,328人
天候:晴、無風
気温:25.1度 湿度:73%
主審:松尾一/副審:木川田博信、堀越雅弘
FC東京 3(1-0/2-1)0 神戸
得点:
(東):前田遼一(38分)、前田遼一(69分)、前田遼一(78分)
(神):
≪スターティングラインアップ≫
46 GK ブラダ・アブラモフ
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
05 DF 丸山祐市
06 DF 太田宏介
04 MF 高橋秀人
07 MF 米本拓司
22 MF 羽生直剛 → 橋本拳人(76分)
16 FW ネイサン・バーンズ → 平山相太(84分)
17 FW 河野広貴 → 東慶悟(57分)
20 FW 前田遼一
≪サブスティテューション≫
13 GK 榎本達也
29 DF 吉本一謙
50 DF 松田陸
37 MF 橋本拳人
39 MF 東慶悟
09 FW 平山相太
21 FW サンダサ
≪マネージャー≫
マッシモ・フィッカデンティ
◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 1stステージ】
第01節 03月07日(土)14:00△ FC東京 2-2 G大阪(A・万 博)
第02節 03月14日(土)14:00△ FC東京 0-0 横浜FM(H・味スタ)
第03節 03月22日(日)17:00〇 FC東京 2-0 神 戸(A・ノエスタ)
第04節 04月04日(土)16:00〇 FC東京 1-0 甲 府(H・味スタ)
第05節 04月12日(日)16:00〇 FC東京 1-0 湘 南(A・BMWス)
第06節 04月18日(土)16:00✕ FC東京 1-2 広 島(H・味スタ)
第07節 04月25日(土)18:30〇 FC東京 1-0 山 形(A・NDスタ)
第08節 04月29日(祝)14:00〇 FC東京 1-0 新 潟(A・デンカS)
第09節 05月02日(土)16:00〇 FC東京 2-1 川 崎(H・味スタ)
第10節 05月06日(休)19:00〇 FC東京 3-2 仙 台(A・ユアスタ)
第11節 05月10日(日)16:00✕ FC東京 0-1 鹿 島(H・味スタ)
第12節 05月16日(土)15:30✕ FC東京 1-4 浦 和(A・埼 玉)
第13節 05月23日(土)19:00✕ FC東京 0-1 名古屋(H・味スタ)
第14節 05月30日(土)19:00〇 FC東京 2-1 柏 (H・味スタ)
第15節 06月07日(日)16:00〇 FC東京 2-1 松 本(A・松本平)
第16節 06月20日(土)16:00〇 FC東京 2-1 鳥 栖(A・ベアスタ)
第17節 06月27日(土)19:00〇 FC東京 3-2 清 水(H・味スタ)
【明治安田生命J1リーグ2ndステージ】
第01節 07月11日(土)18:30✕ FC東京 0-2 川 崎(A・等々力)
第02節 07月15日(水)19:00〇 FC東京 3-1 新 潟(H・味スタ)
第03節 07月19日(日)19:00△ FC東京 0-0 山 形(H・味スタ)
第04節 07月25日(土)18:30✕ FC東京 1-2 鹿 島(A・カシマ)
第05節 07月29日(水)19:00〇 FC東京 3-1 仙 台(H・味スタ)
第06節 08月12日(水)19:00〇 FC東京 1-0 甲 府(A・中銀スタ)
第07節 08月16日(日)18:00〇 FC東京 2-1 G大阪(H・味スタ)
第08節 08月22日(土)19:00△ FC東京 0-0 名古屋(A・豊田ス)
第09節 08月29日(土)18:00△ FC東京 1-1 清 水(A・アイスタ)
第10節 09月12日(土)19:00〇 FC東京 3-0 神 戸(H・味スタ)
第11節 09月19日(土)19:00 FC東京×横浜FM(A・日産ス)
第12節 09月26日(土)18:30 FC東京×松 本(H・味スタ)
第13節 10月03日(土)19:00 FC東京×広 島(A・Eスタ)
第14節 10月17日(土)14:00 FC東京×湘 南(H・味スタ)
第15節 10月24日(土)14:00 FC東京×浦 和(H・味スタ)
第16節 10月28日(水)19:00 FC東京× 柏 (A・日立柏)/11月07日(土)14:00
第17節 11月22日(日)13:30 FC東京×鳥 栖(H・味スタ)
【J1リーグ 順位表 年間】
01 広 島 58/27/18/4/05/57/27/+30
02 浦 和 58/27/17/7/03/51/29/+22
03 FC東京 53/27/16/5/06/38/26/+12
04 G大阪 50/27/14/8/05/40/26/+14
05 鹿 島 44/27/13/5/09/46/35/+11
06 川 崎 44/27/13/5/09/46/39/+07
07 横浜FM 41/27/11/8/08/37/27/+10
08 柏 37/27/10/7/10/36/34/+02
09 湘 南 37/27/10/7/10/32/34/-02
10 名古屋 36/27/10/6/11/32/34/-02
11 神 戸 32/27/08/8/11/35/34/+01
12 仙 台 30/27/08/6/13/39/38/+01
13 鳥 栖 30/27/07/9/11/33/51/-18
14 甲 府 29/27/08/5/14/20/34/-14
15 新 潟 26/27/06/8/13/33/48/-15
16 松 本 22/26/06/4/16/24/44/-20
17 清 水 21/27/04/9/14/31/48/-17
18 山 形 18/26/03/9/14/18/40/-22
※(勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点差)
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