王者に敗れるも、変革に期待を抱かせた新生・FC東京。
30年目のJリーグ、2022年シーズンの開幕を告げるオープニングマッチとなる〈多摩川クラシコ〉は、王者・川崎を苦しめたものの惜敗。だが、新たなスタイルにも大いなる期待を抱かせた90分間となった。
試合前に新型コロナウイルス感染症の陽性判定が6名を数えたこともあり、主力メンバーと思しき選手の名もないなか、期待のニューカマーの松木玖生が先発入り。CBはエンリケ・トレヴィザンと木本恭生のコンビ、アンカーの位置には青木拓矢が配された。
序盤は川崎のペースで進み、大島僚太や脇坂泰斗から前線のマルシーニョやレアンドロ・ダミアンへパスを送り、立て続けにゴールチャンスを生むが、FC東京のGKヤクブ・スウォビィクのファインセーヴやエンリケ・トレヴィザンが身を投げ出してブロックするなど、間一髪で失点を免れる。
中盤を支配されていたFC東京だったが、ワンタッチのパスを繋げるようになると、中盤で奪って松木が永井謙佑へスルーパスを送り、ペナルティエリア内右からレアンドロに決定機。左サイドでボールを奪った永井がライン際を持ち上がり、グラウンダーのクロスを送ると、ディエゴ・オリヴェイラの落としに松木が左脚のミドルと川崎ゴールを襲うも、川崎のGKチョン・ソンリョンがことごとく阻む。その後も安部、青木と繋いでペナルティアーク手前からのレアンドロのシュートは枠の僅か右に。センターライン付近からの小川諒也の前方へのパスを松木が収めてディエゴ・オリヴェイラへパスを送り、ペナルティアーク付近からディエゴ・オリヴェイラが素早く右脚を振り抜くも、またもやGKチョン・ソンリョンが立ちはだかる。
後半も前半からの勢いに乗ったFC東京のペースで試合は展開。川崎はチャナティップがあまり機能せず、序盤に見せた速いプレスからボールを奪取することも出来なくなっていくと、51分にレアンドロが抜け出してGKと1対1となり、この試合最大の得点機がくるが、レアンドロのシュートはまたしてもGKチョン・ソンリョンに阻まれる。59分にもレアンドロがペナルティエリア手前でチャナティップに倒されてFKを獲得すると、レアンドロからのクロスを永井謙佑が頭で合わせてネットを揺らすが、オフサイドの判定に。VARのチェックが入るも、判定は覆らず。
FC東京が決定機を逃していると、川崎は脇坂泰斗を遠野大弥に交代させたあたりからようやく反撃の糸口を手繰り寄せると、81分に遠野大弥の速いCKをニアでレアンドロ・ダミアンが頭ですらし、好セーヴを続けていたGKヤクブ・スウォビィクの頭上を綺麗に越えるヘディングシュートを決めて、ホームの川崎が先制点を挙げる。
ただ、FC東京は意気消沈せず、紺野和也を送り込んで前への推進力を高めていくと、89分にはその紺野和也が昨年のアウェイ広島戦で見せたようなペナルティエリア右手前の位置からファーサイドへシュート。これは惜しくも左ポストを叩く。松木が塚川孝輝に蹴られてプレーが中断したり、87分の車屋紳太郎の負傷退場などもあり、7分のアディショナルタイムが加算されると、さらにFC東京が川崎陣内で猛攻を仕掛けていく。クロスのクリアを拾ったレアンドロからのパスを受けた青木のシュートは、またしてもGKチョン・ソンリョンのビッグセーヴに阻まれ、その後もディエゴ・オリヴェイラやレアンドロが立て続けにゴールを狙うも実らず。第39回多摩川クラシコは川崎に軍配が上がった。
開始から15～20分くらいまでは、新たなスタイルに取り組む難しさを痛感していたが、その後は支配率や攻撃回数でも川崎を上回り、一部の主力選手を欠くなかで、大きな期待を抱かせる内容となった。注目度の高い松木が予想以上なパフォーマンスで魅了したのをはじめ、好セーヴを連発したヤクブ・スウォビィク、安定をもたらしたエンリケ・トレヴィザンと木本のCBコンビも良好。そして安部の躍動は、引き続きFC東京の核になる存在であることを知らしめた。
もちろん課題もあって、急造右SBの渡邊凌磨のところは川崎に狙われていたし、セーヴは良かったヤクブ・スウォビィクは、フィードを度々川崎の選手へ渡してしまいピンチを招くことも。
さらに厳しいことを言えば、それほど調子が良くなかった川崎がワンチャンスを決め切ったのに対し、FC東京は優勢に試合を運びながらも数あるチャンスをものに出来なかった。この差はあまりないように見えて、非常に大きな差だ。それでも新たなスタイルにチャレンジして間もないなかで、積極的なサッカーを終始貫けたのは好材料だ。この流れを止めることなく、5日後のルヴァンカップ初戦、そして来週末のホーム開幕戦となる名古屋戦へ繋げてもらいたい。
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【明治安田生命J1リーグ 第01節】
2022年2月18日（金）19:05試合開始 等々力陸上競技場
入場者数 17,544人
天候 晴 ／ 気温 7.7℃ ／ 湿度 32％
主審 木村博之 ／ 副審 山内宏志、淺田武士
第４の審判員 御厨貴文
ＶＡＲ 飯田淳平 ／ ＡＶＡＲ 井上知大
川 崎 1（0-0 / 1-0）0 FC東京
得点：
（川）レアンドロ・ダミアン（81分）
（東）
〈試合経過〉
03分 警告 東京 エンリケ・トレヴィザン
50分 警告 東京 松木玖生
53分 警告 川崎 車屋紳太郎
56分 交代 東京 渡邊凌磨 → 長友佑都
58分 警告 川崎 チャナティップ
62分 交代 川崎 マルシーニョ → 知念 慶 ／ チャナティップ → 塚川孝輝
72分 交代 東京 松木玖生 → 三田啓貴
76分 交代 川崎 脇坂泰斗 → 遠野大弥
81分 得点 川崎 レアンドロ・ダミアン（川崎 1-0 FC東京）
84分 警告 東京 レアンドロ
87分 交代 川崎 車屋紳太郎 → 山村和也 ／ 東京 永井謙佑 → 紺野和也
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
ＧＫ 24 ヤクブ・スウォビィク
ＤＦ 06 小川諒也
ＤＦ 50 エンリケ・トレヴィザン
ＤＦ 30 木本恭生
ＤＦ 23 渡邊凌磨 → 長友佑都（56分）
ＭＦ 16 青木拓矢
ＭＦ 31 安部柊斗
ＭＦ 44 松木玖生 → 三田啓貴（72分）
ＦＷ 11 永井謙佑 → 紺野和也（87分）
ＦＷ 09 ディエゴ・オリヴェイラ
ＦＷ 20 レアンドロ
≪サブスティテューション≫
ＧＫ 13 波多野豪
ＤＦ 28 鈴木準弥
ＤＦ 29 岡崎 慎
ＤＦ 05 長友佑都
ＭＦ 14 内田宅哉
ＭＦ 07 三田啓貴
ＦＷ 17 紺野和也
≪監督≫
アルベル
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【FC東京 2022シーズンスケジュール・J1リーグ】
第01節 02月18日(金)19:00 ✕FC東京 0-1 川 崎（Ａ・等々力）
第02節 02月26日(土)15:00 FC東京✕名古屋（Ｈ・味スタ）
第03節 03月06日(日)16:00 FC東京✕Ｃ大阪（Ａ・ヨドコウ）
第04節 03月12日(土)15:00 FC東京✕広 島（Ｈ・味スタ）
第05節 03月19日(土)14:00 FC東京✕京 都（Ａ・サンガＳ）
第06節 04月02日(土)19:00 FC東京✕横浜FM（Ａ・日産ス）
第07節 04月06日(水)19:00 FC東京✕神 戸（Ｈ・味スタ）
第08節 04月10日(日)14:00 FC東京✕浦 和（Ｈ・味スタ）
第09節 04月16日(土)13:00 FC東京✕札 幌（Ａ・札幌ド）
第10節 04月29日(金)19:00 FC東京✕Ｇ大阪（Ｈ・国 立）
第11節 05月03日(火)17:00 FC東京✕福 岡（Ａ・ベススタ）
第12節 05月08日(日)15:00 FC東京✕鳥 栖（Ｈ・味スタ）
第13節 05月14日(土)14:00 FC東京✕磐 田（Ａ・ヤマハ）
第14節 05月21日(土)15:00 FC東京✕ 柏 （Ｈ・味スタ）
第15節 05月25日(水)19:00 FC東京✕清 水（Ａ・アイスタ）
第16節 05月29日(日)15:00 FC東京✕鹿 島（Ｈ・味スタ）
第17節 06月18日(土)18:00 FC東京✕湘 南（Ａ・レモンＳ）
第18節 06月26日(日)19:00 FC東京✕鳥 栖（Ａ・駅スタ）
第19節 07月02日(土)18:00 FC東京✕福 岡（Ｈ・味スタ）
第20節 07月06日(水)19:00 FC東京✕札 幌（Ｈ・味スタ）
第21節 07月10日(日)19:00 FC東京✕浦 和（Ａ・埼 玉）
第22節 07月17日(日)18:00 FC東京✕磐 田（Ｈ・味スタ）
第23節 07月30日(土)19:00 FC東京✕広 島（Ａ・Ｅスタ）
第24節 08月07日(日)18:00 FC東京✕清 水（Ｈ・味スタ）
第25節 08月13日(土)19:00 FC東京✕Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第27節 08月27日(土)19:00 FC東京✕ 柏 （Ａ・三協Ｆ柏）
第28節 09月03日(土)・04日(日) FC東京✕横浜FM（Ｈ・味スタ）
第29節 09月10日(土)・11日(日) FC東京✕Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第26節 09月14日(水) FC東京✕神 戸（Ａ・ノエスタ）※
第30節 09月17日(土)・18日(日) FC東京✕京 都（Ｈ・国 立）
第31節 10月01日(土)・02日(日) FC東京✕鹿 島（Ａ・カシマ）
第32節 10月08日(土) FC東京✕湘 南（Ｈ・味スタ）
第33節 10月29日(土) FC東京✕名古屋（Ａ・豊田ス）
第34節 11月05日(土) FC東京✕川 崎（Ｈ・味スタ）
※神戸がACLにおいてGS敗退の場合、8月20日(土)19:00に変更の可能性あり
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